【草彅 剛さんが回答】アラサー女子の悩み相談「一人が心地よくなった自分が心配」

今月悩み相談を受けていただけるのは「草彅 剛さん」

’74年7月9日生まれ 血液型A型● ’17年9月に稲垣吾郎、香取慎吾とともに公式ファンサイト「新しい地図」を開設。俳優、声優、歌手、司会、YouTuberとしてマルチに活躍し、同年11月に開設した「YouTuber 草彅チャンネル」は’20年2月にチャンネル登録者数が100万人に到達。最近の主な出演作は映画『まく子』『台風家族』、舞台『バリーターク』『道（La Strada）』『家族のはなしPARTI』『アルトゥロ・ウイの興隆』など。’21年のNHK大河ドラマ『青天を衝け』に出演が決定。

今月のアラサー女子の相談は…「一人が心地よくなった自分が心配です」

草彅さんの回答「先ばかり見ないで、今に集中してもいいと思う」

僕と同じ境遇ですね（笑）。まず思ったのは、この方はあまりにも先のことを気にしすぎてるんじゃないかな。先のことを考えるのも大人には大切なことだと思うけど、そんな先の先まで考えなくてもいいと思うんです。「彼ができても結婚して一緒に住むのは無理かも」って、今の時点で彼氏はいないのにそこまで想像しなくても（苦笑）。僕は人生ってその場その場で変わるもので、どうなるかわからないと思ってるんです。1年先、半年先、1週間先の自分もどうなってるかわからない。いい出会いがあれば自分も変わるかもしれないし、先ばかり見ないで今のことに集中して楽しんだほうがいいと思います。一人の時間が快適になるのは当たり前ですよね。一人は自由でラクだし、誰かにわずらわされることもない。彼氏ができたらできたで楽しいこともあるだろうけど、一人とは違うから自分の時間とか何か失うものもあるかもしれない。どっちもどっちですよね。両方は得られないから、自分で選択するしかない。今は昔にくらべて親とか世間体を気にしなくていい時代になってきてるし、もっと歳を重ねた方でも一人で人生を楽しんでることが多い。周りの目も気にしなくていいんじゃないかな。それよりも今を楽しんだほうが、明るい未来が切り開けると思うんですよね。先のことばかり考えて計算するより、その時その時、自分に素直に正直に行動するほうが、本当の自分が思い描いている未来につながる気がします。

「僕のこと知れば知るほど、好きになると思う。 こんなにチャーミングなんだって（笑）」

僕が演じた凪沙はトランスジェンダーという初めての難しい設定でしたが、監督が引っ張ってくれて運命的な素晴らしい作品になりました。僕、いつも同じこと言ってますけど（笑）、いい作品にめぐり合えて本当に良かった。完成作を観終わった時は席をすぐ立てなくて、もう少し座っていたいと初めて思って。それくらい僕にとって衝撃的でエネルギーを注いだ作品なので、観る方には何か感じてもらえると思います。一果を演じた服部樹咲ちゃんは、演技をしたことがないからこその少女の純粋さと輝きを発する瞬間があって、テクニカルなことを考えてお芝居しても太刀打ちできない。彼女のピュアな透明感に翻弄されつつ、それでいいんだと無の状態になってお芝居できたから、僕も凪沙になれたのかな。凪沙を演じるには、自分の中から一果に対する愛情が芽生えて守りたい気持ちが湧きだすことが一番大切だと思いましたが、彼女が緊張してる姿を見ると役を超えて守りたかったですね。
作品や自分自身の演技がどうしたら良くなるのか、楽しく探りながら作るのがこの仕事の醍醐味ですが、僕は自分を俳優とは思ってないんです。ほかの仕事もあるし歌も歌いたいし踊りたいし。固定観念を持たず自分なりの表現をして、それを楽しんでもらえれば。「新しい地図」もそうですがオリジナルでハッピーなことを振りまいていければと思います。
今の自分は気に入ってます。考えてることは小学生みたいだけど（笑）。あまり繕ってカッコつけても疲れちゃうだけだし、なるたけ素直に生きていたい。周りには自由と言われますが、自分としてはそうでもないなあ（笑）。でも仕事はしやすいと思いますよ。僕のこと知れば知るほど、好きになると思う。こんなにチャーミングなんだって（笑）。って、自分で言っちゃうんですけど（笑）

『ミッドナイトスワン』
トランスジェンダーとして体と心の葛藤を抱え、新宿を舞台に生きる凪沙（草彅　剛）と、親から愛を注がれずに生きるもバレエダンサーを夢見る少女・一果（服部樹咲・新人）の姿を通して、切なくも美しい現代の愛の形を描く。孤独な二人が寄り添う、世界で一番美しいラブストーリー。内田英治監督が手掛けるオリジナル脚本に、草彅剛が初のトランスジェンダー役として挑む。他の出演／田中俊介、吉村界人、真田怜臣、上野鈴華、佐藤江梨子、平山祐介 根岸季衣／水川あさみ、田口トモロヲ、真飛　聖ほか 監督・脚本／内田英治 音楽／渋谷慶一郎●現在公開中。

撮影／平井敬治　ヘアメーク／荒川英亮　スタイリング／細見佳代（ZEN creative）　取材・文／駿河良美　撮影協力／AWABEES