【漢字】「悪口雑言=?」意外に読めない四字熟語3選【ベテラン国語教師が解説】

今回の漢字のテーマは、四字熟語です。四字熟語は「漢字四字で構成される成句や熟語」のこと。単に漢字が四つ連結したものではなく、普通は「ことわざや慣用句」として使用されるものを指します。中国の古典などに由来するものも多く、常用漢字外の難しい漢字を使うものもあります。しかし、今回の記事では、常用漢字の範囲内で、よく目や耳にするものではあるが、読み間違いやすいものを選びました。

意外に読めない!?四字熟語の読み方3選

1.「上意下達」

「上位者の考えや命令を下位の者

「上位者の考えや命令を下位の者に伝えること」の意味ですが、特に後半の「下達」の読みを間違いやすい。さて、何と読みますか?

「じょういげだつ」とか「じょういげたつ」ではありません。正しくは「じょういかたつ」です。「上・下」のセットは、「上品・下品」のように「ジョウ⇔ゲ」となるものと、「上流・下流」のように「ジョウ⇔カ」となるものがありますが、「上意下達」は後者のパターンですね。なお、「上意下達」は、いわゆる「トップダウン」ですが、その反対「ボトムアップ」にあたる「下意上達(かいじょうたつ)」というのもちゃんとあります。

2.「順風満帆」

次は、「彼の人生は順風満帆に見

次は、「彼の人生は順風満帆に見える」などと使う「順風満帆」です。「帆に追い風をいっぱいに受けて船が快調に進むこと」という意味で、スピーチなどでもよく聞きますが、さて、何と読みますか?

「じゅんぷうまんぽ」と読んでいませんか? 正しくは「じゅんぷうまんぱん」です。たしかに「帆」には「ほ」という読みもありますが、これは訓読みです。「ジュン・プウ・マン…」と音読みが続いていますので、ここは音読み「ハン」となります(ただし「ハン」が「ン」の次に来るために半濁音化して「パン」)。国語辞典の中には、わざわざ「まんぽと読むのは誤り」と注記を入れているものもありました。それだけ、読み間違える人が多いということでしょう。

3.「悪口雑言」

最後は、「口論相手に悪口雑言を

最後は、「口論相手に悪口雑言を浴びせる」などと使う「悪口雑言」です。「悪口をあれこれ言う」という意味は、漢字から容易に想像できますが、実は読みが難しい。さて、何と読みますか? これは、前半も後半も注意ですよ。

正解は「あっこうぞうごん」です。「わるくち」「あっく」「ざつげん」「ぞうげん」などのいろいろな間違いがありそうですね(なお、「ぞうげん」という読みもあるにはあるのですが、一般的ではないので誤読と取られる可能性があり、おすすめしません)。ちなみに、ほぼ同じ意味を持つ四字熟語に「罵詈雑言」というのがあります。二つ目の「詈」が常用漢字にない漢字で、大学入試やクイズ番組ではおなじみですが、「ばりぞうごん」と読みます。あわせて、覚えておきましょう。ただし、言葉の知識だけにしておいて、そのようなシチュエーションは避けたいものですね。

読み間違いやすい漢字は、四字熟語でも結構あるものです。では、また次回。

《参考文献》
・「新明解国語辞典 第七版」(三省堂)
・「明鏡国語辞典 第二版」(大修館書店)
・「広辞苑 第六版」(岩波書店)
・「残念な日本語」(宝島社)

文/田舎教師 構成/CLASSY.ONLINE編集室

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