ある日、CLASSY.編集部に売り込みにきたモデルは車いす。「なぜこれまで車いすモデルを起用しなかったのですか」の問いに、最初は編集部一同、何も答えられませんでした。「車いすユーザーはもちろん、リモートワークで座っている時間が長い時代。〝すわりコーデ〟の提案に、私を起用しませんか?」という彼女の熱い想いに応えることを決意!このページではそんな制作秘話をお届けします。
体の事情でオシャレを諦めてしまったすべての人たちに、届いてほしい!
曽塚レナさん/そづか れな(32歳)シンガーソングライター・モデル
5年前に事故で脊髄腰椎損傷、車いす生活に。右足はある程度の自由が利き、少しなら立ち姿勢や歩行も可能。オシャレが好きでちょっと派手なものが好き!
CLASSY.チームとアフタートーク!
スタイリスト 平沼洋美さん
辛口カジュアルなスタイルがお得意。今回はレナさんらしさもMIXさせ、ちょっとロックな女のコを衣装で表現!
ライター 野田春香
本企画の着回しストーリーを考案。よりリアリティを持たせるため、レナさんの一挙一動を記録。
編集 月田
本企画の担当編集。車いすユーザーの方にも、健常者にも、この企画を楽しんでもらうため奔走!
月田「撮影を振り返ってどうだった?今回は慣れているモデルさんでも大変なボリューム感だったから、疲れただろうなと心配で」
レナ「翌日はチーンってなりましたけど(笑)、すごく楽しかったです。今までキメ顔でしか撮影したことなかったから、何げない表情の作り方がわからなくて。モデルとしての課題も見つかりました」
野田「20時までに終えなきゃいけなかったのに、19時の時点でまだ10カット残ってたね。着替えもバタバタだったと思うけど、控室の様子はどうでした?」
平沼「最初は、着替えの作業にも遠慮があったかな。丁寧にやらなきゃって。でも時間が迫ってくるうちにそうも言ってられなくて、それがかえってレナちゃんといいチームワークを築けた」
レナ「そうですね!特にボトムスの着替え。抱きかかえてもらって私が立つ→ボトムスをお尻から足元まで下ろす→座る→足元に残ったボトムスを平沼さんが回収→着替えのボトムスを足首に通す→また抱きかかえてもらってボトムスをお尻まではく→座ってトップスを着替える…というのを繰り返し、大急ぎでやってました」
月田「レナちゃんと平沼さんのチームワークに感謝!」
野田「レナちゃん、慌ただしくなってからのほうが表情が生き生きしてたけど、そういう状況を楽しめるタイプ?」
レナ「それもあります(笑)。とにかくやらなきゃ!って。後は昔から、疲れてきてからのほうが素の表情が出やすくていいね、って言われるんですよ。正直最後のほうは疲れて足も少し痛かったんですけど、そんなこと言ってる場合じゃないなって、ハイになれました」
月田「足が痛かったと後から聞いて申し訳なくて、今後は改善していきたいと改めて思い直したよ」
レナ「私は皆さんのプロ意識の高さに驚きました。衣装を決める際も、たったひとつの装飾の有無で〝これは車いすユーザーにとって邪魔じゃない?〞と聞いてくれたり、アクセサリーは現場の雰囲気に合わせて選んだり。一着の服、一点の小物へのこだわりもすごいなって。私もシチュエーションに合わせて、カメラにどう映るべきなのかを1カットずつ真剣に考えなきゃと初心に返りました」
平沼「普段から純粋にファッションを楽しんでほしくてコーディネートを考えてるけど、今回改めて〝誰が着てもいい〞というメッセージを届けたいと思えた!今までは健常者目線でしか考えられなかったけど、レナちゃんがCLASSY.に売り込みにきてくれたから気づけたこと。車いすユーザーも、障害のある人も、見てくれた人がこれを機にファッションを前向きに楽しんでくれたらいいな」
野田「レナちゃんは、今回の『着回しダイアリー』を誰にどんな気持ちで読んでほしい?」
レナ「私のような車いすユーザーや、体の自由が利かない人、今入院していて退院した後どう生活していいかわからないと悩んでる人たちへ…ファッションを楽しんでいい、夢を諦めなくていい、ということを伝えられたらうれしいです!」
NHKのバリアフリー・バラエティー『バリバラ』が完全密着
9月9日(木)放送予定!
今月の『着回しDiary』の制作過程が放送されます! 9/9(木)、NHK Eテレ20:00~20:30。【再】9/12(日)00:00~00:30 ※放送日時・内容は変更となる可能性もあります。詳しくは番組HPまで
フォトギャラリー(全画像を見る10枚)
撮影/遠藤優貴(MOUSTACHE) モデル/曽塚レナ ヘアメーク/森 ユキオ(ROI)スタイリング/平沼洋美、中西ナオ 取材/野田春香 撮影協力/Billboard Live TOKYO、AWABEES、UTUWA 再構成/Bravoworks.Inc