『着回しDiary』ファンタジー担当の舞台裏って?【小道具編】|キツネ男、男女入れ替わり、宇宙旅行…

前回、大反響があった『着回しDiary』の舞台裏に迫るこの企画。独特のストーリー展開が特徴の『CLASSY.』の名物企画は、いったいどうやって作られているの…?今回は、「キツネ男」や「宇宙旅行」などのストーリーを手掛けてきた、編集・前田&ライター・棚田トモコさんの“ファンタジー担当コンビ”にCLASSY.ONLINE新米編集・平賀がインタビュー!
第2回は、「小道具・撮影手法」について。ファンタジーの世界観を作り上げるための、おふたりのこだわりとは…?

「キュンとする写真が撮れるかどうか」が勝負

(左)編集・前田、(右)ライター・棚田
(左)編集・前田、(右)ライター・棚田

平賀(以下、平):第1回の対談で、おふたりが『着回しDiary』にアツいメッセージを込めていることが明らかになりましたが、その他にこだわっていることはありますか?

ライター・棚田(以下、棚):私たち、「この写真が撮りたい!」ってカットありきでストーリーを決めることもあるくらい、「読者が見てキュンとするような写真」を撮ることに賭けているんです。『CLASSY.』のファッションページは実用的でシンプルなレイアウトが多いから、その中でページをめくった時に「何だこれ?」って手を止めてもらえるようなインパクトを出したくて。

編集・前田(以下、前):ファンタジーの設定なんて、他のファッションページでは絶対に撮らないような絵ばかりですもんね(笑)だからこそ、特に「小道具」や「撮影手法」にはこだわっています。現実離れした世界観を「いかにハリボテに見えないように表現するか」が課題なので。

平:「特にこの小道具はこだわった!」というものはありますか?

前:やっぱり「キツネ回」(2019年10月号)の“耳としっぽ”でしょう!カメラマンと打ち合わせした時点で「この小道具のクオリティ次第で明暗が分かれるよね」という話になって。下手なものを使うとチープさが目立ってしまうじゃないですか。だから色々探し回ったんですけど、なかなか理想のボリューム感を出せるものが見つからなくて。

棚:それで結局出会ったのが、ネ

棚:それで結局出会ったのが、ネットで見つけた『バニラニウム』さんという“けもみみ”専門店。ダメ元で相談したらノリノリで協力してくださって!尻尾のボリュームから耳の中の色まで、細かいところまで親身に提案してくれたんだよね。向こうも“けもみみ”への愛が深い方だったので、お互いの熱量が噛み合ったのかな。

ファンタジーを成立させるカギは、「小ネタにまで手を抜かない」こと

前:せっかく素敵なものを作って

前:せっかく素敵なものを作っていただいたからには、できる限り効果的に使わねば!という精神で、「キツネ」にまつわる小ネタをたくさん詰め込みましたよね。きつねうどんを食べるカット、おいなりさんを食べるカット、ごんぎつねのように甘栗を食べるカット、たぬきの置物と格闘するカット…もうたくさん!

棚:私なんて、どうしてもあのたぬきと闘うカットが撮りたくて、お店の方に一度断られたのに手土産を持って行って頼み込んだくらい。そんな風に思い入れのある小道具なので、実は先月の「魔女回」(2020年11月号)にもちゃっかり登場させちゃった(笑)

編集・前田(以下、前):あとは、自分で小道具を作っちゃうことも。例えば「スポサン回(2020年9月号)」でのソーシャルディスタンスの貼り紙とか、「ジェンダーレス回(2020年5月号)」での“HIROKI”(七海ひろきさん演じる覆面アーティスト)のポスターとか。しかもこのポスターは、なんと七海さんご本人が現場でサインを入れてくださったんです!そういう細かいところにも注目して欲しいですね。

平:本当だ…!1カット1カット

平:本当だ…!1カット1カットに並々ならぬこだわりがあるんですね。

一人一人が「できることを全力で持ち寄る」現場

前:でもやっぱり、「撮りたい絵

前:でもやっぱり、「撮りたい絵が撮れる」というのは周りの方の支えがあってこそ。慣れないカットが頻出するのでカメラマンさんも大変だと思うんですけど、みなさん熱心に協力してくださって。そして回を重ねるごとに撮影スキルが高くなっていくという(笑)

棚:例えば「魔女回」(2020年11月号)では魔法で小物が浮いているシーンを撮ったんだけど、これは天井から糸で小物を吊るしていて。この手法は「宇宙旅行回」(2020年8月号)の時に宇宙食を浮かせるカットで身につけたもの。「ああ、こうすれば撮れるのか!」という発見が増えていくんだよね。

前:あとは、スタッフの方々が出

前:あとは、スタッフの方々が出演者として協力してくれることも多いです。例えば「宇宙旅行回」(2020年8月号)では、スベシャルゲストとして宇宙人の「アーヤン」が登場するんですけど、実はスタイリストのアシスタントさんが演じてくれて!

棚:どうしても宇宙人は出したかったんだけど、顔が出ないからプロの方には頼みづらいし、身長が低い方がいいし…ということで、スタイリストさんがその子を紹介してくれたの。ネットで買った衣装を組み合わせて、宇宙人の格好をしてもらってね(笑)彼女も初めてとは思えないほどの名演技っぷりで、感動しちゃった!

前:「東京五輪回(2020年2

前:「東京五輪回(2020年2月号)」のラグビー観戦のシーンでは、観客として広告部の高尾さんも出ているんですよ!色々な年齢層の人がいた方が絵になるということで、高尾さんに「出てもらえませんか?」と相談したんです。そしたら「声かけたらみんな面白がっちゃって、人が集まりすぎちゃいました!」ってお友達もたくさん連れてきてくれて!あれは助かりました。

棚:「魔女回」(2020年11

棚:「魔女回」(2020年11月号)の黒猫は、スタイリスト乾さんのお友達の猫ちゃんに出てもらっているし。本当に、たくさんの方に協力していただいてこその『着回しDiary』だなあと毎回感じる。関わる方全員の熱量がとにかく高い!みんな、それぞれができることを集結させて「撮りたい絵」に向かって一生懸命なんだよね。

『CLASSY.』の広報的な立ち位置を目指したい

平:とても一体感がありますよね

平:とても一体感がありますよね。各々が「絶対妥協しない!」という意思を感じます。とはいえ、ここまで凝ったものを作ろうとすると、小道具にしろロケ地探しにしろ大変じゃないですか?

棚:もちろん、他のファッションページより向き合う時間が多いし、3〜4倍くらいの労力を使うかも。でも、やりがいはあるし、私と前ちゃん(前田)の2人でやりたいこと・伝えたいことが一致するから、ストレスがない。熱量とか好きなものの方向性も一緒だし。だからこそやりやすいし、常にモチベーション高くいられるんだと思う。

前:それに、毎回読者の方から嬉しい反応をいただけるので、それがやりがいになっています。「ああ、みんなで一丸となって作ったものがちゃんと届いたんだな、一方通行じゃなかったんだな」と。確かに純粋なファッションページとは毛色が違うものの、結果的に普段『CLASSY.』を読まない人にも手に取ってもらえる「きっかけ」になれたらいいなと思います。

スタッフの力を集結させた、連携プレーで作られている『着回しDiary』。小ネタにも注目して読んでみると、もっと楽しめるかもしれませんね。インタビュー最終回は、発売されたばかりの12月号の裏話をお届けします。楽しみにしていてくださいね!

構成/CLASSY.ONLINE編集室

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最新号 202412月号

10月28日発売/
表紙モデル:山本美月

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