「雹(ひょう)」や「霙(みぞれ)」「旱(ひでり)」などといった、気候を表す漢字。あなたはどのくらい知っているでしょうか? 今回は、意外と知らない人も多い“日本の気候に関する漢字”をピックアップしてご紹介。数ある気候に関する漢字の中でも、特に難問を揃えてみました。ぜひチャレンジしてみてくださいね。
1.「東風」
「東風」とは「冬の季節風が終わり、早春に吹く東寄りの風」を意味する言葉です。見たままに、「ひがしかぜ」「とうふう」と読んでしまう人も多いのではないでしょうか?
もちろん「ひがしかぜ」や「とうふう」も誤りではないのですが、今回はちょっと珍しい読み方を当ててみましょう。ヒントは“ひらがな2文字”。ちなみに「東風」と書いて「あゆ」とも読みますが、それとも違う読み方のほうです。
そんな「東風」の正しい読み方は……
「こち」です。
「ひがしかぜ」や「とうふう」、「あゆ」も読み方は違いますが、すべて「こち」と同じ「東寄りの風」を意味する読み方ですよ。
2.「凩」
一見、簡単そうに見える「凩」。「凩」は「十月下旬から十一月にかけて吹く、冷たく強い北風」のことで、「冬の到来を告げる風」とも言われています。また、ひらがな表記ですが、童謡の歌詞にも「凩」という言葉が出てきますね。
よく「凧(たこ)」や「凪(なぎ)」などと間違われやすい「凩」。
そんな「凩」の正しい読み方は……
「こがらし」です。
もしかすると、「『木枯らし』という表記のほうがなじみがある」という人もいるかもしれませんね。「凩」でも「木枯らし」でも、同じ意味で「こがらし」と読みますよ。
3.「雁渡し」
「雁渡し」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 「雁渡し」とは「秋、雁が渡って来るころに吹く北風」を意味する言葉です。「雁」はカモ科の水鳥で、カモより大きくて、白鳥よりも小さい体をしています。「がんわたし」ではありませんよ。
「雁渡し」の正しい読み方は……
「かりわたし」です。
ちなみに「雁渡し(雁わたしと表記されることも)」は、秋の季語として、俳句などにも用いられることがあります。
4.「虎落笛」
「冬の強風が、竹垣や柵(さく)などにあたり、ひゅうひゅうと鳴るさま」を「虎落笛」と言います。この漢字は、ちょっと難問かもしれませんね。ヒントは、「虎落笛」の区切り方。「虎落笛」は本来、「虎落」+「笛」でできている言葉です。「とららくぶえ」などのように「虎」「落」「笛」と区切って読むのは誤りですよ。
そんな「虎落笛」の正しい読み方は……
「もがりぶえ」です。
ちなみに「虎落」とは、「竹を斜めに組み合わせて、縄で結びつけた柵」のことを言います。難しく、珍しい読み方ですが、これを読めたら周囲に知的な印象を与えられそうです。
5.「乾風」
「乾いた風」と書いて「乾風」。「乾風」は「からかぜ(湿気が少ない風の意)」とも読みますが、今回は「冬に吹く北西季節風の西日本での呼び名」のほうを当ててみましょう。「虎落笛」に引き続きなかなかの難問ですが、こちらも読めたらかなりすごいかも!
そんな「乾風」のヒントはひらがな3文字。「乾風」=「○○○」ですよ。「もしかしてこれかな?」という候補はあったでしょうか?
正解は……
「あなじ」と読みます。
ちなみに「乾風」は、「雁渡し」と同じく、俳句の季語として使われることもある言葉です。
何となく、漢字自体は見たことがあるものもあれば、読み方の検討すらつかなかったものもあったのではないでしょうか。もし今回読めなかった漢字があれば、1つの知識として、正しい読み方を覚えておいて損はありませんよ。
参考文献
現代言語セミナー〔編〕『つい他人に試しくなるもっと読めそうで読めない漢字』角川ソフィア文庫
文/大内千明 画像/Shutterstock(Simic Vojislav、LarsZ、Iryna Prokofieva、Dean Drobot、ra2 studio)