「箪笥(たんす)」や「湯湯婆(ゆたんぽ)」「抽斗(ひきだし)」など、ごく身近なところにあるものでも、漢字表記になると意外と読めなくなるもの。むしろ、漢字の印象などから、まったく別のものだと勘違いしてしまう場合もあるでしょう。今回は、そんな“知っていると面白い身近なものを表す漢字”をご紹介します。
1.「鹿尾菜」
「鹿の尾っぽの菜」と書いて「鹿尾菜」。「これが本当に身近なものなの?」と疑ってしまう人もいるかもしれませんね。
「鹿尾菜」はこう見えて海藻の一種で、主に北海道から九州までの沿岸で採れます。日常でも、にんじんや大豆とともに、煮物として食卓に登場することも少なくありません。きっとあなたも、一度は口にしたことがあるはず。
そんな「鹿尾菜」の正しい読み方は……
「ひじき」です。
ちなみに「羊栖菜」と書いても同じ意味で「ひじき」と読みますよ。
2.「鱚」
魚へんに喜ぶと書いて「鱚」。魚へんがつくことから、魚に関する漢字だと推測できますね。「鱚」は、一年を通じて出回っている魚ですが、特に旬は6月~8月頃。初夏から夏にかけてが旬の魚です。
主に食用として利用されることが多く、煮つけや天ぷらなど、鱚を使ったさまざまなレシピがあります。もしかするとあなたも、過去に食べたことがあるかもしれませんね。
そんな「鱚」正しい読み方は……
「きす」です。
ちなみに、地方によっては「きすご」と呼ばれることもありますが、元々「きす」ではなく「きすご」が本来の呼び方だったそうですよ。
3.「水虎」
「水虎」という動物を聞いたことがあるでしょうか?
「水虎」とは「水辺での生活にも適した虎」……のことではなく、水中にすむ、ある空想上の動物を意味する言葉です。「すいこ」ではありませんよ。「空想上の動物」が一番のヒントかもしれませんね。
そんな「水虎」の正しい読み方は……
「かっぱ」です。
「かっぱ」というと、漢字表記は「河童」が一般的ですが、「水虎」とも書きます。ぜひこの機会に「水虎」という表記も覚えておくと良いでしょう。
4.「如露」
思わず「にょろ?」と読んでしまう人もいそうな「如露」。何だか難しそうな言葉に聞こえるかもしれませんが、その正体は、私たちのごく身近にある“道具”です。
植物を育てる時に欠かせない、あの道具と言えば?
「如露」の正しい読み方は……
「じょうろ」です。
「如雨露」と書いても、同じ意味で「じょうろ」と読みます。「如雨露」のほうが「雨」という漢字も入っていて、よりイメージしやすいかもしれませんね。
“身近なものを表す漢字”、あなたはいくつ読めたでしょうか? こうして漢字にしてみると、身近なものも、まるで初めてみたもののように思えてしまうから不思議ですよね。
もし余裕があれば、今回登場した漢字も覚えておくと良いでしょう。1つの知識としてはもちろん、話のネタにもなりますし、色々なところで役に立つかもしれませんよ。
参考文献
現代言語セミナー〔編〕『つい他人に試しくなるもっと読めそうで読めない漢字』角川ソフィア文庫
文/大内千明 画像/Shutterstock(decoplus、Regreto、Vassamon Anansukkasem、studiovin)
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