今年は暖冬予想であったはずが、やはり年が明けると、天気予報やニュースで「雪」が多く登場するようになりました。
ということで「雪」を使った意外と読めない漢字を紹介します。常用漢字表記載の「雪」の読みは「ゆき(訓読み)/セツ(音読み)」ですが、もちろん、それだけではありません。
1.「雪ぐ」
最初は「雪ぐ」と送りがなが付いたら、何と読むでしょうか? 例文は「自分の身に受けた恥を雪ぐ」。
正解は、「そそ(ぐ)」または「すす(ぐ)」でした。どちらも、「水などで洗い流すように、恥や汚名などを消し去り、名誉を回復する」という意味になります。「洗濯」の「濯」も、同じく「すすぐ(すすぎ)」と読みますが、もとの意味はこれと同じですね。また、「雪辱」という言葉は「はずかしめをそそぐ」と下から上に読めます。つまり、これも「受けた恥を消し去る」という意味を表しているのです。
2.「雪洞」
次は、「雪洞」です。何と読むでしょうか? 例文は「ひな飾りの雪洞に灯りをともす」。
正解は、「ぼんぼり」でした。「雪」を「ぼん」と読むわけではなく、「ぼんぼり」(語源は「ほんのり」という説あり)という言葉を表記するのに「雪洞」という漢字をあてた、「熟字訓(当て字)」です。「雪洞」は、「紙または絹張りの覆いをつけた照明具」のこと。小型の「行灯(あんどん)」と言ったら、おわかりでしょうか。そう、「〽あかりをつけましょぼんぼりに……」です(実はこの歌のタイトルは「ひなまつり」でなく「うれしいひなまつり」!)。
なお、「雪洞」自体は「セツドウ」とも読みますが、そう読んだ場合は「登山で、露営などのために雪を掘って作った縦穴または横穴」という意味になります。
3.「雪花菜」
最後は、「雪花菜」です。今回一番の難問かもしれませんので、ヒントを…「食品名」です。例文は「豆腐を作った搾りかすが雪花菜となる」。
正解は、「おから」でした。例文でわかるように、「卯の花(うのはな)」という名でも呼ばれる「お総菜」から、家畜の「飼料(えさ)」までと、幅広く利用されます。なお、「切(き)らず」という名前をご存じですか? 「おから」の「から」が「空(から)」に通じるのを嫌って、言い換えた言葉(「切らずに使える」の意)です。したがって、今回のこの問題文は、「きらず」と読んでも正解とします。
先週末も、「首都圏」「関東地方」では予報通り、「雪」模様となりましたね。ところで皆さん、「首都圏」と「関東」はどちらが広いかおわかりですか? 実は、広いのは「首都圏」なんです。「関東(地方)」は、1都6県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、群馬県、栃木県、茨城県)ですが、「首都圏」は、「関東1都6県+山梨県」です。1956年に制定された「首都圏整備法」で、そう定義されています。私も数年前まで、「首都圏」は関東の上位(?)県「神奈川・埼玉・千葉」までと信じていました。では、今回はこのへんで。
《参考文献》「広辞苑 第六版」(岩波書店)/「新明解国語辞典 第八版」(三省堂)/「明鏡国語辞典 第三版」(大修館書店)/「新字源」(角川書店)/「難読漢字辞典」(三省堂)/「古語林」(大修館書店)
文/田舎教師 編集/菅谷文人(CLASSY.ONLINE編集室)