3月より上演の舞台『メディア/イアソン』で初めてギリシャ悲劇に挑戦する井上芳雄さん。上演を前にお届けしているスペシャルインタビュー後編では、舞台をはじめ幅広い分野で引っ張りだこの井上さんが考える〝ウェルビーイングなこと〟についてお話ししていただきました。
――CLASSY.ではウェルビーイングなライフスタイルを発信しています。考え方やお仕事への向き合い方などメンタル面で意識している〝ウェルビーイングなこと〟を教えてください。
妻や家族の支えによって僕のウェルビーイングな生活が成り立っていると思います。一人だけだったらストイックになりすぎたり、遊びも極端な遊び方になっていたと思うんです。決して、悪い遊びをするわけではないですよ(笑)。仕事をしているときは集中していますが、今は家族がいるので、家に帰ったらのんびりモードになります。「次の休みは皆でどこに行こうか?」と話しているだけで癒されるんです。「仕事は終わり」と区切れることで、メリハリのある生活が送れている気がします。本当に、家族は僕にとってかけがえのない存在だなと思っています。
――ずっと舞台に出演されているので体力の維持が大変だと思いますが、健康管理、体力面で実践されている〝ウェルビーイングなこと〟は?
毎日、ギリギリでやっています(笑)。40代になってからメンテナンスに重きをおくようになりました。予防医学みたいな感じで、不調が出てから何かをするのではなく、そうなる前に対策するようにしています。この年齢までずっと舞台をやってきて、「このままでは危ないぞ」という感覚が養われてきたんです。鍼に前よりも行くようになりましたし、公演中はトレーナーさんに入ってもらって、昼公演と夜公演の間に体をほぐしてリセットする作業は必ずやっています。若いときは勢いで突っ走れたんですけれどね。40代で新しいやり方を見つけたように、これからも自分の体にきちんと向き合って一番合うやり方を見つけていきたいと思っています。
――「これがあると頑張れる!元気になる!」というものは何ですか?
下の子が5歳なのですが、にらめっこが上手なんです。「パパ、にらめっこしよーよ」といつも誘ってきて、すんごい顔をしてくるんです (笑)。僕はいつも負けてしまうんですが、息子の変顔の可能性を感じると元気になれます(笑)!
――パパが勝つことはないんですか?
僕は子供の頃から変顔が苦手というか、やろうと思わないタイプでした。それに「今は二枚目で売っているしな」などと頭をよぎってしまうので、上手くいかないですね(笑)。裏ワザというかずるいワザでメガネを鼻の穴に入れたりするのですが、息子は白目をむいていて僕のことが見えていないわけで(笑)。子供の照れのない必死で無垢な変顔には、いろんな意味で敵わないです!
――お仕事の現場で「これがあると頑張れる!元気になる!」というものはありますか?
差し入れが豊富だとか、素敵なコーヒーマシンがあるとか、そんな身近なことに喜びを感じるようになりました。僕は差し入れをしないタイプなので、すべて受け身なんですけれど(笑)。まだ若いつもりでいてしまい、差し入れは先輩がしてくださるものだと思っていたのですが、気づいたら差し入れをする立場になっていましたね(笑)。
――差し入れをするとしたら何にしますか?
難しいんですよねー。ラグジュアリーさを出すか、本当に求められているものにするか…。結局、〝カップラーメンたっくさん!〟とかがいいのかなー(笑)。カンパニーの雰囲気によりますしね、考え込まずに気の利いたものを出せる大人になりたいです!
――今回のカンパニーには何を差し入れたらよさそうですか?
来年から始まるお稽古で(※取材は11月)、皆の雰囲気をみながら考えます。キャストが少ないので、皆の好みを把握するのは難しくなさそうですよね。ギリシャ悲劇を頑張るのと同様に、気の利いた差し入れも頑張ってみます!
『メディア/イアソン』
【原作】『アルゴナウティカ アルゴ船物語』作:アポロニオス 翻訳:岡道男 『メデイア』作:エウリピデス 翻訳:中村善也【脚本】フジノサツコ【演出】森新太郎【出演】井上芳雄 南沢奈央 三浦宏規 水野貴似 加茂智里【日程】3月12日(火)~3月31日(日)世田谷パブリックシアター 4月4日(木)~6日(土)兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
井上芳雄
‘00年にデビュー以来、高い歌唱力と存在感でミュージカルや舞台を中心に活躍。コンサートや音楽・バラエティ番組への出演ほか、近年ではMCを務めるなど活動の場を広げ『美しい日本に出会う旅』『はやウタ』『行列のできる相談所』などにレギュラー出演中。近年の主な出演舞台は『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』『ジェーン・エア』『エリザベート』『ガイズ&ドールズ』『ベートーヴェン』など。
撮影/平井敬冶 ヘアメーク/大和田一美 スタイリング/吉田ナオキ 取材/よしだなお 構成/中畑有理(CLASSY.編集室)