11月3日(金)に映画『#つんドル』こと、『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』 が公開され、現在絶賛公開中です。この作品は元SDN48のメンバーの作家大木亜希子の実録私小説が原作。崖っぷちアラサーの元アイドル安希子が、都内の一軒家で一人暮らしをするサラリーマンのおじさん「ササポン」と同居生活を送りながら、自分を立て直していく姿を描く物語。主人公安希子の悩んでもがくエピソードのいくつかは、同世代であれば身に覚えのあるような、身につまされるものばかり。CLASSY.読者にもぜひおすすめしたい!ということで、今回お送りするのは今作主演女優の元乃木坂46メンバー深川麻衣さんと、多彩な活動で芸人以外の分野での注目が集まるバービーさんのスペシャル対談!
『#つんドル』は観るとイタい自分を思い出す、特大ブーメラン映画?
ーー仕事を頑張ったり自分をストイックに追い込むあまり、メンタルヘルスのバランスを崩してしまう主人公の葛藤や変化が、すごくリアルな内容でした。今回、深川さんは主人公・安希子を演じてみていかがでしたか?
深川麻衣さん(以下敬称略):安希子は猪突猛進型で、とにかく必死に生きててちょっと痛々しいところもあるんですけど、それがとってもチャーミングでもあって。人間味があって好きで素敵だなって思います。あのまっすぐさが人間らしいですよね。
バービーさん(以下敬称略):私は深川さんのことをまさにそういう人だと思っていて…今日は安希子さんそのものだと思って接しております(笑)。「あ〜!あのイタい人だあ〜〜〜!」と思って(笑)。映画は若い頃のイタい自分を見ているようでとっても辛かったですね!安希子は周りにいろいろ言いにくいことを言ってくれる友達がいてよかったなと思いました。私はそういう友達がいなかったので、恥ずかしいことをずっと野放し状態でしてましたから…(笑)。
ーー20 代の頃って大きな夢や目標を掲げがちなのに、自分の現状が追いついてなくがっかりしちゃう事がありますよね。お二人はそういう経験がありますか?
深川:20 代の頃は仕事にずっとがむしゃらで、「自分がこうしたい!」という理想と実際の現実がなかなか追いつかなくて…‥多分その設定自体が高すぎたりしたのかなと思って。それが悪いわけではないけど、自分の中で勝手にその差に苦しんでいることがありました。
バービー:具体的にはどういう理想を掲げちゃったんですか?
深川:アイドルグループを卒業して、お芝居の道に移ってから環境も大きく変わり、早く経験を積まないと、認めてもらえるように頑張らないと、と焦りみたいなものがありました。周りに比べて遅めのスタートというのもあって。ずっと前から長く俳優業をされてきた方と同じ土俵に立つにもかかわらず、埋められない差があったので。キャリアの差はどうしたって埋められないから、どうやったら追いつけるんだろうと考えたりしましたね…。最初の頃とか、それこそ主人公の安希子みたいにアイドルから今の事務所に移ったタイミングは、そう考えることが多かったですね。すごく視野が狭くなってしまって、それで勝手に自分で疲れることが多かったです。
バービー:私も芸人さんらしくしなきゃって自分を追い込んだ時期がありました!すごくお金を使った方がクズっぽく見えんじゃないかな?とか、キャラ設定も悪い方が芸人らしくて面白くなるかもとか…そういうドツボにはまってた時、あるかもしれないです。前日飲み明かして、お酒の匂いをさせたまま現場に入ったりとか。今振り返ると恥ずかしいし、はしたないし、よくあんなことをやってたなって(笑)!でも、多分そこを通らなくして今の自分はないと思うんです。 見た目も中身も、今より尖っていましたね。本当に尖った釘の付いたチョーカー、首にしてましたからね(笑)。
深川:私は内側に…自分自身に対して尖りすぎて、疲れちゃったので…。でも考え方が途中から変わってきたんです。「ダメで元々だ!」っていう気持ちに変わってきた。最初は自分に課したボーダーラインが高すぎて、理想と現実のギャップで疲れちゃったんですけど……でも、「自分が精一杯向き合った結果ならどうなっても受け入れる」ってスタンスになってからすごく気持ちが楽になりました。
バービー:それは何かきっかけがあったんですか?
深川:お仕事とかでご一緒した方からかけてもらった言葉とか……ちょっとずつちょっとずつなんですが、積み重ねで考え方が変わってきたんです。「目標は持ちながらも、弱い自分やダメな自分も丸ごと受け入れたうえで頑張ろう!」って思えるようになって、なんだかすごく楽になりました。
バービー:自分自身を受け止められたんですね!私そういう場面に出くわしたことありますけど、俳優さんたちが何人かいて、一人の俳優さんを人格を壊して作り直していく作業みたいなやつ。その俳優さんのプライドが高すぎるからその殻を破らせる作業みたいなのを、飲みの場でやっているのに立ちあっちゃったことがあります。ある同じ舞台に出演している俳優さんのプライドが高すぎるのが演技に出すぎてるって、みんなでけなし合って、ダメなところを認めさせる。ちょっとした修羅場でしたよ〜!「今日は飲みに来るんじゃなかった〜!」って思いました(笑)。
深川:ワークショップの話かなと思ったら飲み会なんですね(笑)!ちょっと怖いけれど…その方にとっては殻を破るきっかけになったかもしれないですね。
――芸能界の第一線で活躍し続けるにはかなりのモチベーションがいると思いますが、どうやってモチベーションをキープしていますか?
バービー:20 代の頃はそれこそ「何クソ!」的な気合いでやっていましたけど、もう今となっては多分これしかできなかったから……好きだったから、それが結果モチベーションになっているんだろうなって気がしています。自分を奮い立たせるようなことはもう、今はないです。自然体で好きなことしかしたくないから、それを仕事にしているっていう感じに近くなってきました。その境地にたどり着いたというか……おかげさまで好きな仕事させてもらえるようになったかな!
深川:私は自分なりのご褒美を作ってモチベーションにしています。ご飯を食べるのが好きで、この撮影が終わったらあれ食べに行こうとか、プチ旅行じゃないですけど、大きな撮影が終わったら、友達とどこかに行くのを楽しみに頑張ろうとか。そういう仕事以外の楽しみや自分がリラックスできる時間を確保するっていうことが自分の中で大事だなと思っていて。この作品を撮り終わった後は、少し撮影が続いていたんですが、最近まとめて夏休みを取って、エジプト旅行に行きました。本当に楽しかったです!バービーさんはご褒美、ないですか?
バービー:そうですね。私は境地にたどり着いちゃっているので…(笑)お仕事も大好きっていうか、好きなものを仕事にしているのもあって。友達にマネタイズおばさんって呼ばれています。好きなこととか趣味を仕事に引っ張り出すから(笑)。下着のプロデュースから町おこしまで…もともと好きなことをやっているので!
――最高ですね!最近はお笑いだけじゃなくって、美容などのライフスタイルや女性のウェルネスの発信、町おこしまでやっているのは、「好き」なことだからなんですね!
働く女子は「自立」と「周りを頼る」のバランスが大事!
――この作品でも描かれていた女性の「自立」と「人や周りに頼ること」ってどうバランスを取っていますか?特にCLASSY.世代になると就職して経済的にも一人前になったと同時に、人に頼るのが下手になってしまうことってありますよね。
深川:私は人に頼るのが下手なタイプだと思います。相談とかも本当に親しい友達や家族だけにしか話さないです。みんなそれぞれ大変なこともあるだろうから、「そんなに自分のことばかり相談できないな」とか思っちゃう。一番仕事で近くにいてくれるマネージャーさんの存在が大きいかもしれないですね。ポロッと打ち明けた時、返してもらった言葉がすごくヒントになる時もあったり。だから意外と助けてくれる方っていっぱいいるから、自分がいっぱいいっぱいになったら周りに頼るってすごく大事だなって思います!どんなに親しい相手にも、思っていることって口にしないと伝わらないので、感謝や相談も含め、しっかり気持ちを言葉にすることは心がけています。バービーさんはどうですか?
バービー:私も人に頼りまくっています。結構プロフェッショナルに頼むことが多くて、まずは占いですね(笑)。あとは病院にもしっかり通っています。カウンセリングも。赤の他人の方が頼りやすい時ってあるので。結構体調でもメンタルでも婦人科でも、すぐ気になったらプロフェッショナルのところに行くタイプです。
2人にとっての「ササポン」はヨークシャーテリアと土地転がし?
ーー作品の中では、ササポンとの出会いによって、安希子の本来の良さだったり、人間らしい生活を取り戻していく変化が印象的でした。お二人にとってのササポン的な存在って今いますか?
深川:私は愛犬かもしれないですね。ヨークシャテリアを飼っているんですが、居てくれるだけで幸せ、もう癒やしでしかない。この子のために餌代を稼がなきゃって思います。
バービー:実は私には本当にササポンみたいな人がね、いるんですよ。2人で旅行に行ったりもします。土地転がしなんですけどね(笑)!お金を持っている人って本当に地味な服装をして、わからないようにするんですよね。いい時計とかしてないですよ。バッグも持たず、いつも紙袋で移動してて。一緒に旅行行ったらめっちゃ楽しい。この間は一緒にタイのリゾートに行ってました(笑)。
【映画情報】
『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』
11/3(金)全国公開
まさかの実話!! 崖っぷち元アイドルアラサー・安希子と 56歳サラリーマン・ササポンの共同生活!?元アイドルの主人公・安希子(深川麻衣)は仕事なし! 男なし! 残高10万円! の人生に詰んだどん底アラサー。 ひょんな事から赤の他人のおっさん・ササポン (井浦新)とルームシェアすることに!?本作の監督を務めるのは、長編デビュー作『月極オトコトモダチ』が国内外で高評価を受け、 現在、ファッションブランドPRとの二足の草鞋を履きこなす新鋭の監督・穐山茉由。
<出演>
深川麻衣 松浦りょう 柳ゆり菜 猪塚健太 三宅亮輔 森高愛 河井青葉 柳憂怜 井浦新
原作:大木亜希子『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』(祥伝社刊)
主題歌::ねぐせ。 「サンデイモーニング」音楽: Babi、脚本:坪田文、監督: 穐山茉由
©2023 映画 「人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした」製作委員会
公式HP: tsundoru-movie.jp
公式 Twitter/Instagram: @tsundoru_movie
【衣装】
深川麻衣さん
ワンピース¥58,300シューズ¥47,300(ともにkate spade new york/ケイト・スペード カスタマーサービス)
【問い合わせ先】
ケイト・スペード カスタマーサービス 050-5578-9152
撮影/望月宏樹 ヘアメーク/村上 綾(深川さん)、Mayu.H(バービーさん) スタイリスト/原 未来(深川さん) 取材/佐藤かな子 構成/永吉徳子(CLASSY.ONLINE編集室)