もしも明日、私が乳がんになったら…【治療法や体験談、かかるお金、がん検診の方法…】

現代女性にとって誰でもなり得る病気〝乳がん〟。定期的に検診を受けるなど、万が一への備えはできていますか?まだ若いから関係ない、と考えずに正しい知識を身につけて、もっと〝自分事〟にするのが第一歩です!

20・30代の読者75名に調査!みんなの「乳がん」意識DATA

乳がんに関する意識を把握すべくCLASSY.世代である75名にアンケート調査を実施!同世代の女性は乳がんに対してどのようなイメージを持っているのか自身の考えや経験と比べてみて。

元SKE48・矢方美紀さん「まさか自分がなるなんて…」25歳で乳がんを経験した私が、今伝えたいこと

2018年に乳がんのため左乳房

2018年に乳がんのため左乳房全摘出の手術を受けたことを公表した元SKE48の矢方美紀さん(31歳)。がん発覚から全摘出を決意し、現在に至るまで−−CLASSY.読者へのメッセージとともに伺いました。

テレビのニュースで“若年性乳がん”という異変に気づきました

自分が乳がんかもしれないと気づいたのは、25歳の頃でした。当時、フリーアナウンサーの小林麻央さんが乳がんで亡くなったことを報道で知り、「自分は大丈夫かな?」と胸を触ってみたのがきっかけです。触ってすぐ、左胸の乳輪近くに硬いしこりのようなものがあることに気づいたのですが、自分はまだまだ乳がんになる年齢ではないと思っていたので、そのときは気のせいかな、なんて…。
その後、周りの人たちに病院へ行くよう勧められ、乳腺外科で調べてもらった結果、ステージ1の乳がんだと診断されました。「まさか自分が…」という感じでしたね。医師からは「早期発見のため、手術をして治療をすれば大丈夫」と言われましたが、その頃は乳がんという病気についてあまりにも無知でしたし、不安や心配でいっぱいでした。インターネットで色々と検索もしたのですが、何千、何万と情報が出てくるなかで、一体何が正しいのかわからなくて。なので、専門的な知識を持っている方に話を聞いて、それを自分でも調べて、ということを繰り返しながら少しずつ病気と向き合っていきました。

精密検査によりリンパ節への転移が発覚し手術後には「ステージⅢのA」の診断が

ステージ1と診断されて間もなく、手術でしこりを部分切除するか、もしくは左乳房を全摘出するかの判断を迫られました。私の場合、精密検査によりリンパ節への転移が確認されていましたし、部分切除をしても万が一がん細胞が残っていたら再発に繋がるのでは…という心配があったので、今できる最大限の治療をするしかないと思い、左乳房全摘出とリンパ節切除の手術決断しました。
そして、手術後の病理検査により、私の乳がんはステージⅢのAであることが発覚。手術を受けることには抵抗も躊躇もありましたが、適切な治療を受けるためにベストな判断ができて本当に良かったと今では思っています。やはり自分の状況を正しく把握したうえで治療をするのと、そうでないのとでは大違いですからね。乳がん治療の難しいところは、自分のがんの性質や進行具合は手術をしてみないとわからないという状況のまま、様々な選択や決断をしていかないといけないことなんです。

乳がんをきっかけに自分が「人生をどう過ごしたいか」じっくり考えました

抗がん剤、放射線治療、ホルモン療法…体に起こる変化と副作用との闘い

私の場合、がんそのものが原因で体調が悪くなることはなかったのですが、抗がん剤・放射線治療・ホルモン療法と、ステップごとに起こる副作用や体の変化に気持ちが追いつかず、精神的に参ってしまうことが多々ありました。
例えば抗がん剤を投与しているときは、副作用で体毛や髪の毛が抜け落ち、肌の質感も大きく変わってしまうんですが、ガラリと変わってしまった外見がショックで、「人に見られるのが怖い」と外出をするのも億劫になっていました。当たり前ですが、SNSを開くと友人たちはこれまでと変わらない日常生活を楽しんでいるわけで…。「なんで私だけがこんな毎日を送っているんだろう、美容室なんてもうずっと行けていないし、髪も染められない…」と取り残されたようなひどく寂しい気持ちになりました。
それから、〝ケモブレイン〞といって一時的に起こる記憶障害のような症状も厄介。以前は普通に記憶できていたことが頭の中からすっかり消えてしまったり、目の前にある文章が突然読めなくなったりするので、何でもすぐにメモを取らないといけないんです。
さらに、治療を開始する前には、卵子凍結を行うかどうかの問題にも直面しました。抗がん剤治療を行うと卵巣内の卵子の数が減り女性ホルモンが分泌できなくなる場合があるようで、そうすると生理が止まり、卵巣機能が低下してしまうそうです。卵巣機能が低下すると、通常よりも早く閉経したり、赤ちゃんを授かれなくなることも。医師曰く、私は年齢的に卵子凍結をしなくても、将来的に妊娠できる可能性が残りそうとのことだったので行いませんでしたが、病気をきっかけに〝自分がどう生きたいか〞ということをすごく考えさせられました。

自分のためにも、家族のためにも乳がんになる前に病気について知っておいてほしい

現在は、10年間継続しなければいけないホルモン療法のちょうど中間地点。病院で処方された薬を飲みつつ、年1回の定期検査でがんの再発や異常がないかチェックをしています。
それから体型のコントロールも頑張っていますよ!一般的に、がんにかかると痩せてしまうイメージが大きいかと思うのですが、乳がんの場合は必ずしもそうではなく、むしろホルモン療法により太りやすくなったり、浮腫みやすくなったりするんです。〝乳がん〞という病名は知っていても、どのように治療を進めるのか、かかってしまったら自分の生活にどのような変化が起こるのかは、あまり知られていないですよね。CLASSY.世代の女性は、周りに罹患した経験のある方が少ないと思いますし、日々の生活が忙しくて病気について知識を深める時間はおろか、検診に行く時間もなかなか確保できないという人も多いかと思います。
しかし、専門的な書籍を読むのは難しくても、この企画のようにファッション誌やテレビで乳がんについて知る機会は案外多いのかもしれません。自分はもちろん、大切な家族や友人のためにも少しずつ病気について知り、検診の必要性を実感していただけたら嬉しいです。私にはまだ関係のないことと思わず、ぜひ全ての女性にとって必要な情報として受け取ってください。

〜矢方さんの乳がん発覚から現在まで〜

2017年 冬|若年性乳がんを知り自己検診、左胸にしこりを発見
2018年1月|ステージⅠと判明し、さらに詳しい検査へ
2018年2月頭|ステージⅡのBと判明
2018年4月|左胸とリンパ節を全摘
2018年4月末|ステージⅢのAと判明
2018年5〜10月|抗がん剤治療
2018年10〜11月|放射線治療
2018年11月〜|ホルモン療法開始。10年間行う予定で、現在約5年経過。

タレント・矢方美紀さん
1992年、大分県生まれ。アイドルグループ・SKE48チームSの元メンバー。自身の経験をもとに〝体を知る〟ことの大切さを伝えるべく、テレビやラジオ、講演会で活動中。

知っておきたい乳がんの基礎知識

〝乳がん〟という病名は知っていても、病気について果たしてきちんと理解できている…!?正しい知識を備えておけば、将来かかったときにも適切な対応ができるはず。専門家の先生にまずは押さえておきたい基礎知識を教えてもらいました。

仕事やお金のこと…乳がんになったら生活はどう変わる?

乳がんが発覚した〝その後〟については案外知られていないもの。どのような流れで治療が進められ一体どのくらい治療費が必要になるのか…とあるCLASSY.世代女性の例でご紹介します。

【検診で異常が見つかってからの流れは…】

普段の生活で何をするのが大事?予防&早期発見のためにできること

日常生活のちょっとした心がけで、乳がんを予防&早期発見できる可能性は高まります。忙しい女性ほど実践してほしい、乳がんにならないためのルーティンはこちら!

1.普段から自分の体について知っておく

【この症状に注意!】 大切なの

【この症状に注意!】
大切なのは、〝自分の体の状態を知り、異変に気づける状態でいること〟。お風呂上がりでボディクリームを塗るときに乳房を触る、毎日自分の体を鏡でチェックするなど、日常のルーティンで乳房を見る習慣を作っておくのがおすすめ。着替えの際、ブラジャーの乳頭部分に分泌液がついていないか確認をすることも忘れずに!

2.30歳を目安に検診を受け始めよう

乳がんにかかるのは50代中盤がピークとされていますが、若い方でもかかる可能性は充分にあります。30歳を目安に検診を受け始め、その後の頻度や検査の内容については医師と相談のうえ決めていきます。20代女性の場合、乳腺が発達していてがんが見つけづらい「高濃度乳房」の方もいるので、マンモグラフィと超音波を組合せて受診しましょう。マンモグラフィで受ける放射線量を心配する人がいるのですが、人体に影響のない線量(海外旅行でのフライト1回程度)なのでご安心を。

【検診の種類】

3.週に7メッツの運動習慣が予防に最適

明確な予防法はないと言われている乳がんですが、なんと運動習慣が乳がん予防に役立つことが判明!運動量の目安は「週に7メッツ」。おおよそ1週間当たり1時間のランニングと同等の運動量です。ただし1時間は複数回に分けて行ってもOK。1回20分を3日に分けるなど、自分が挑戦しやすいペースで取り入れてみて。

自分の体に関心を持ち、毎日労うことが乳がん予防と早期発見に役立ちます

「日本人女性の9人に1人がかか

「日本人女性の9人に1人がかかると言われている乳がん。その病名は知られていますが、CLASSY.読者さんの世代では「乳がん検診へ行ったことがない」という人がまだ多いのも現実です。私は乳がん=闘える病気だと思っています。マンモグラフィと超音波検査を定期的に受けることで、がん細胞が悪さを始める前の「ステージ0」の段階で発見できるようになりましたし、血液検査で遺伝子異常が判明すれば、早期治療に備えたり、予防切除を選択することも可能に。早い段階で気づけたら完治の可能性が充分あるからこそ、若い世代の方もどうか面倒がらずに定期検査を受けてほしいのです。

現在、乳がんにかからないための明確な方法は残念ながらありません。しかし多くのがんが生活習慣や食事によってかかるリスクが増えているのと同様、乳がんも女性のライフスタイルの変化により罹患率が増したと考えられています。乳がん予防のためにライフスタイルをガラリと変えることは難しいですが、ちょっとした心がけを予防や早期発見に繋げることはできます。ほんのわずかな異変や不調を見逃さないように、自分に関心を持ち、労る気持ちを大切にしてください。それこそが、乳がん克服の第一歩だと思っています。」(島田先生)

教えてくれたのは…ピンクリボン

教えてくれたのは…ピンクリボンブレストケアクリニック表参道・島田菜穂子院長
放射線科専門医・日本乳癌学会専門医・認定NPO法人乳房健康研究会副理事長。国内でのピンクリボン運動の普及に寄与し、乳がんに関する知識の啓蒙に尽力。

「マンモグラフィ」と「超音波検査」を実際に体験してみました!

安心感&女性想いな気配りが随所に!これからは年1回の定期検診を決意しました

この企画を通して、乳がんはいかに早期発見が重要なのかを理解しました。検査結果を聞いた瞬間は、心から安堵…。自分はもちろん家族のためにも、これからは年1回のチェックを怠りません!

矢方さん衣装クレジット:アンサンブルシャツ¥21,780(リズレイ/キュアリス)パンツ¥9,990(アンフィーロ)イヤリング¥1,860(エルワイナウ/ロードス)
撮影/花盛友里 ヘアメーク/松山麻由美 スタイリング/中村真弓 取材/伊藤綾香 漫画/菜々子 再構成/Bravoworks.Inc

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最新号 202412月号

10月28日発売/
表紙モデル:山本美月

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