現代女性にとって誰でもなり得る病気〝乳がん〟。定期的に検診を受けるなど、万が一への備えはできていますか?まだ若いから関係ない、と考えずに正しい知識を身につけて、もっと〝自分事〟にするのが第一歩です!
20・30代の読者75名に調査!みんなの「乳がん」意識DATA
乳がんに関する意識を把握すべくCLASSY.世代である75名にアンケート調査を実施!同世代の女性は乳がんに対してどのようなイメージを持っているのか自身の考えや経験と比べてみて。
Q1.あなたの周りに乳がん経験者はいますか?
→【Yes】60%【No】40%
自身が経験したという人はほとんどいないものの、親族や知人に乳がん経験者がいる人がなんと60%以上も!CLASSY.世代にとっても、決して他人事ではない身近な病気です。
Q2.乳がんに対してどのようなイメージがありますか?
→・若い女性でもかかる、進行が早い、胸を切除する
・早期発見で治る、自覚症状がなく見つかりにくい、誰もがなり得る病気 …etc
以前は「40~50代の人がかかる病気」というイメージを抱く人が多かったですが、若い女性の罹患率が高まったことで関心も高まり、正しく理解できている人が増えたよう。
Q3.乳がん検診に行ったことはありますか?
→【Yes】42.7%【No】57.3%
若くても乳がんに注意が必要ということはわかっていても、「仕事が忙しくて検診へ行く時間がない」や「検査が痛そうで億劫」という理由から行動に移せていない人も多くいました。
Q3で「Yes」の人は…
Q4.どのくらいの頻度で受けていますか?
→【1年に1回】51.1%、【2年に1回】7%、【半年に1回】2.3%、【過去に一度だけ行ったきり受けていない】18.6%、【不定期】16.3%、【無回答】4.7%
職場の定期健康診断を利用している人が多数。過去の検診結果で安心している人も多いようですが、乳がんは早期発見が重要なので、受診頻度は見直す必要がありそう。
Q5.乳がん検診に対してどのようなイメージがありますか?
→・マンモグラフィ検査が痛い、小胸だとより痛みを感じそう、何歳からどのくらい受ければいいのかわからない
・費用が高い、検診に時間がかかる、予約が取りにくい …etc
ネガティブなイメージが多い中でも「痛そう」という声が断トツでした。一方、受けたことのある人からは「思ったよりも平気だった」との声も。やはり最初の一歩を踏み出すのが難しい様子。
Q6.乳がんにかかると、どのくらいお金が必要か知っていますか?
→【Yes】5.3%【No】94.7%
がんの性質や進行具合、乳房を残すか全摘出・再建するか、その人のライフスタイルによっても治療法が異なるため、かかる費用もバラバラ。そのため情報を得にくいのが実状です。
Q7.がん保険には加入していますか?
→【Yes】33.3%【No】66.7%
年齢的にがんへのリスクを感じている人が少なく、保険加入率も低め。保険の種類によっては、健康な状態でないと加入できないものもあるので、早めの検討をおすすめします。
元SKE48・矢方美紀さん「まさか自分がなるなんて…」25歳で乳がんを経験した私が、今伝えたいこと
2018年に乳がんのため左乳房全摘出の手術を受けたことを公表した元SKE48の矢方美紀さん(31歳)。がん発覚から全摘出を決意し、現在に至るまで−−CLASSY.読者へのメッセージとともに伺いました。
テレビのニュースで“若年性乳がん”という異変に気づきました
自分が乳がんかもしれないと気づいたのは、25歳の頃でした。当時、フリーアナウンサーの小林麻央さんが乳がんで亡くなったことを報道で知り、「自分は大丈夫かな?」と胸を触ってみたのがきっかけです。触ってすぐ、左胸の乳輪近くに硬いしこりのようなものがあることに気づいたのですが、自分はまだまだ乳がんになる年齢ではないと思っていたので、そのときは気のせいかな、なんて…。
その後、周りの人たちに病院へ行くよう勧められ、乳腺外科で調べてもらった結果、ステージ1の乳がんだと診断されました。「まさか自分が…」という感じでしたね。医師からは「早期発見のため、手術をして治療をすれば大丈夫」と言われましたが、その頃は乳がんという病気についてあまりにも無知でしたし、不安や心配でいっぱいでした。インターネットで色々と検索もしたのですが、何千、何万と情報が出てくるなかで、一体何が正しいのかわからなくて。なので、専門的な知識を持っている方に話を聞いて、それを自分でも調べて、ということを繰り返しながら少しずつ病気と向き合っていきました。
精密検査によりリンパ節への転移が発覚し手術後には「ステージⅢのA」の診断が
ステージ1と診断されて間もなく、手術でしこりを部分切除するか、もしくは左乳房を全摘出するかの判断を迫られました。私の場合、精密検査によりリンパ節への転移が確認されていましたし、部分切除をしても万が一がん細胞が残っていたら再発に繋がるのでは…という心配があったので、今できる最大限の治療をするしかないと思い、左乳房全摘出とリンパ節切除の手術決断しました。
そして、手術後の病理検査により、私の乳がんはステージⅢのAであることが発覚。手術を受けることには抵抗も躊躇もありましたが、適切な治療を受けるためにベストな判断ができて本当に良かったと今では思っています。やはり自分の状況を正しく把握したうえで治療をするのと、そうでないのとでは大違いですからね。乳がん治療の難しいところは、自分のがんの性質や進行具合は手術をしてみないとわからないという状況のまま、様々な選択や決断をしていかないといけないことなんです。
乳がんをきっかけに自分が「人生をどう過ごしたいか」じっくり考えました
抗がん剤、放射線治療、ホルモン療法…体に起こる変化と副作用との闘い
私の場合、がんそのものが原因で体調が悪くなることはなかったのですが、抗がん剤・放射線治療・ホルモン療法と、ステップごとに起こる副作用や体の変化に気持ちが追いつかず、精神的に参ってしまうことが多々ありました。
例えば抗がん剤を投与しているときは、副作用で体毛や髪の毛が抜け落ち、肌の質感も大きく変わってしまうんですが、ガラリと変わってしまった外見がショックで、「人に見られるのが怖い」と外出をするのも億劫になっていました。当たり前ですが、SNSを開くと友人たちはこれまでと変わらない日常生活を楽しんでいるわけで…。「なんで私だけがこんな毎日を送っているんだろう、美容室なんてもうずっと行けていないし、髪も染められない…」と取り残されたようなひどく寂しい気持ちになりました。
それから、〝ケモブレイン〞といって一時的に起こる記憶障害のような症状も厄介。以前は普通に記憶できていたことが頭の中からすっかり消えてしまったり、目の前にある文章が突然読めなくなったりするので、何でもすぐにメモを取らないといけないんです。
さらに、治療を開始する前には、卵子凍結を行うかどうかの問題にも直面しました。抗がん剤治療を行うと卵巣内の卵子の数が減り女性ホルモンが分泌できなくなる場合があるようで、そうすると生理が止まり、卵巣機能が低下してしまうそうです。卵巣機能が低下すると、通常よりも早く閉経したり、赤ちゃんを授かれなくなることも。医師曰く、私は年齢的に卵子凍結をしなくても、将来的に妊娠できる可能性が残りそうとのことだったので行いませんでしたが、病気をきっかけに〝自分がどう生きたいか〞ということをすごく考えさせられました。
自分のためにも、家族のためにも乳がんになる前に病気について知っておいてほしい
現在は、10年間継続しなければいけないホルモン療法のちょうど中間地点。病院で処方された薬を飲みつつ、年1回の定期検査でがんの再発や異常がないかチェックをしています。
それから体型のコントロールも頑張っていますよ!一般的に、がんにかかると痩せてしまうイメージが大きいかと思うのですが、乳がんの場合は必ずしもそうではなく、むしろホルモン療法により太りやすくなったり、浮腫みやすくなったりするんです。〝乳がん〞という病名は知っていても、どのように治療を進めるのか、かかってしまったら自分の生活にどのような変化が起こるのかは、あまり知られていないですよね。CLASSY.世代の女性は、周りに罹患した経験のある方が少ないと思いますし、日々の生活が忙しくて病気について知識を深める時間はおろか、検診に行く時間もなかなか確保できないという人も多いかと思います。
しかし、専門的な書籍を読むのは難しくても、この企画のようにファッション誌やテレビで乳がんについて知る機会は案外多いのかもしれません。自分はもちろん、大切な家族や友人のためにも少しずつ病気について知り、検診の必要性を実感していただけたら嬉しいです。私にはまだ関係のないことと思わず、ぜひ全ての女性にとって必要な情報として受け取ってください。
〜矢方さんの乳がん発覚から現在まで〜
2017年 冬|若年性乳がんを知り自己検診、左胸にしこりを発見
2018年1月|ステージⅠと判明し、さらに詳しい検査へ
2018年2月頭|ステージⅡのBと判明
2018年4月|左胸とリンパ節を全摘
2018年4月末|ステージⅢのAと判明
2018年5〜10月|抗がん剤治療
2018年10〜11月|放射線治療
2018年11月〜|ホルモン療法開始。10年間行う予定で、現在約5年経過。
左乳房とリンパ節を摘出した手術が終わり、麻酔から目覚めた直後。まだ酸素マスクをつけている状態の一枚です。
抗がん剤治療を始めた頃。髪が抜ける前からファッション用・医療用といろんな種類のウィッグを用意していました。
抗がん剤治療が終わって髪が生え始めた頃。闘病中もおしゃれやメークを楽しむ気持ちを大事にしたかったんです。
タレント・矢方美紀さん
1992年、大分県生まれ。アイドルグループ・SKE48チームSの元メンバー。自身の経験をもとに〝体を知る〟ことの大切さを伝えるべく、テレビやラジオ、講演会で活動中。
知っておきたい乳がんの基礎知識
〝乳がん〟という病名は知っていても、病気について果たしてきちんと理解できている…!?正しい知識を備えておけば、将来かかったときにも適切な対応ができるはず。専門家の先生にまずは押さえておきたい基礎知識を教えてもらいました。
Q1.そもそもどんな病気?
→乳がんは年齢に関係なく起こり得る病で自分で発見できる唯一の〝がん〟。早期発見のために定期的な検診を心がけて
乳がんは乳房にできる悪性の腫瘍です。乳房には乳頭から木の枝のように広がる乳管と、母乳を作る小葉と呼ばれるところがあるのですが、乳がんの多くはこの乳管から発生します。
一般的にがんは、細胞分裂の際に生じるミスにより、異常細胞が生まれてしまうことに原因があり、年齢を重ねるほどかかるリスクも高くなるものがほとんどですが、乳がんの場合は比較的若い年齢でも発症率が高いのが特徴です。「若いから大丈夫」と乳がんに気づかず放置をしていると、がん細胞が増殖して乳腺の外へ広がり、それがリンパや血液の流れにのって他の臓器へと及ぶ可能性も。
今は診断技術や治療技術が進歩し、乳がんは早期発見・治癒が可能な病気となりました。CLASSY.世代の方もかかり得る病気なので、定期的に検診を受けるなど、〝自分事〟として捉えることが大事です。
Q2.20~30代の罹患率は?
→かかる率が高いとは言えませんが乳がん遺伝子を持つなどハイリスクの方は年齢にかかわらず万が一に備えておくのが正解◎
最も乳がんにかかりやすいのは50代中盤です。なので、CLASSY.読者の方の年齢層ではリスクが高いとは言えませんが、注意が必要な方もいらっしゃいます。
例えばご親族に乳がん経験者がいて、乳がん遺伝子を引き継いでいると思われる方。乳がん遺伝子を持つ方は通常よりも若い年齢で乳がんになってしまう傾向にあるため、市区町村や会社の検診では受けられなくても、自ら定期検診を受けることをおすすめします。
また最近は避妊やPMS改善のために低容量ピルを服用する20~30代の方も多いですが、ホルモン剤を使用すると体内は乳がんが育ちやすい環境になってしまいます。インターネットで簡単に低容量ピルを入手することもできるようですが、万が一がんが潜んでいた場合には、大変なことになりかねないため、服用をスタートする前に必ず検査を受けるようにしましょう。
Q3.生存率はどのくらい?
→検査技術と画像精度が進歩しステージ0での発見も可能に。0の段階で治療をスタートできれば生存率はズバリ100%です!
がんはその進行具合を「ステージ」で分類しており、ステージが低いほど生存率が高くなります。ステージの判断基準は、がん細胞の大きさ・リンパ節に転移があるかどうか・他の臓器への転移があるかどうか。例えば、ステージⅠはしこり2㎝以下でリンパ節転移なし、ステージⅡはしこり2~5㎝でリンパ節転移あり…など。ここ数年はほとんどの方がステージⅠの段階で発見できているので、乳がん全体の生存率も上がっています。さらに最近は検査精度が向上し、「ステージ0」といって、塊を作る前にがん細胞を発見できるようになりました。実は、このステージⅠと0の違いがすごく大きいんです。一般的にステージⅠでは、他の臓器への転移を制御するため、全身に効く抗がん剤やホルモン剤を投与します。一方ステージ0では、他の臓器へ転移する際の経路である血管やリンパ管にがん細胞が影響を及ぼす前であるため、薬の投与が必要ありません。つまり副作用等を感じることなく治療を終えることができるんです。そして、進行の速度についてはがん細胞の種類によって3種類に分けられ、それぞれ速度や治療法も変わってきます。若い年齢でかかったから進行が早いというわけではありません。
Q4.発症の原因は何?
→遺伝子やライフスタイルの変化…発症のリスクはさまざま。明確な原因はわかっていませんが、リスクの一つに「女性ホルモン」が挙げられます
乳がんの発症は遺伝子・生活習慣・食生活…と様々な要因が考えられ、原因はまだ不明です。しかし残念ながら、先進化すると乳がんが増える傾向にあるため、食生活や女性のライフスタイルが変化してきたことに一因があると推測されます。
例えば、栄養状態が改善されて女性ホルモンがたくさん分泌されるようになっていることや、子どもの出生率が低くなっていること。女性ホルモンががん細胞のえさとなり、育ちやすい環境にすることがわかっているため、どちらの例も、乳がんにとっては都合のいい環境と言えるのです。また、更年期障害の改善や不妊治療ではホルモン剤を使用することが多いですが、こちらも乳がん細胞が育ちやすくなってしまいます。
Q5.乳がんにかかりやすい人って?
→親族で乳がんにかかった人がいる場合は注意。初産年齢が遅い、もしくは出産経験がない人も気をつけて。バストの大きさは関係ありません!
まずは乳がんの家族歴がある人が挙げられます。つまり「第一度近親者」といって両親または子どもなどが乳がんにかかったことのある人。それから「第二度近親者」と呼ばれる、親のきょうだいや祖父母が乳がんにかかった人が該当します。父方の親族は見落としがちなので、家族で集まった際に、しっかり確認しましょう。
また、「遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)」といい、親族に卵巣がん経験者がいる場合も注意が必要です。それから出産を一度も経験していない方も、少しだけリスクが高まります。乳がんの発症には女性ホルモンであるエストロゲンが関係していますが、エストロゲンにさらされる期間が長いほどかかりやすくなるからです。よく言われる「バストが大きい方がかかりやすい」というのは嘘。男性でも乳がんにかかる人はいるので、大きさは関係ありません。
仕事やお金のこと…乳がんになったら生活はどう変わる?
乳がんが発覚した〝その後〟については案外知られていないもの。どのような流れで治療が進められ一体どのくらい治療費が必要になるのか…とあるCLASSY.世代女性の例でご紹介します。
【検診で異常が見つかってからの流れは…】
【1】マンモグラフィや超音波などの検診で異常が見つかる
胸に硬いしこりのようなものが触れる・分泌液が出ている・萎んだり膨れたりしている場合にはすぐに病院へ。特に症状がなくても定期的な検診で健康状態を把握しましょう。ピンクリボンブレストケアクリニック表参道の場合、検査当日に医師から結果を説明してもらえる「フルコース(マンモグラフィ・超音波検査・視触診)¥18,000」が一番人気のプラン。
【2】がんの範囲や種類を調べるために精密検査に数回通う→病理検査・治療方針決定
しこりの組織の一部を針生検で採取して、病理組織診断を行います(約¥15,000)。乳がんの診断がついたら、さらに詳しいがん性質の検査や(¥10,000~20,000)MRIやCTでの広がり診断(¥10,000~20,000)を行い、適切な手術や薬物を選ぶための検査をします。ここまでは全て外来受診のみでOK。仕事をするなど、普段の生活を送りながら手術に向けての準備をします。
【3】しこりが大きい場合はがんを小さくする投薬治療から開始
しこりが大きい場合、手術前に抗がん剤治療を行う「術前化学療法」を選ぶ人も。手術が困難な進行乳がんを手術できるようにしたり、しこりが大きく乳房温存手術が難しい乳がんをできるだけ温存できるようにする効果が期待できます。ただし化学療法中にしこりが大きくなった場合には、手術を早めることも(約¥100,000)。
【4】乳房を全摘or部分切除の外科手術でしこりを摘出
乳がんの手術は腫瘍部分のみ切除する「部分切除」(通常2泊3日の入院、¥300,000~¥500,000)と乳房全体を切除する「全摘出」(通常1週間~10日の入院、¥400,000~¥600,000)に分けられます。また、乳がんは進行とともにリンパ節に転移することが知られており、その場合は病巣の切除とともにリンパ節をまわりの脂肪組織ごと切除します。
【5】退院後は外来で治療を継続。部分切除の場合は放射線治療へ進む
退院後、部分切除の人は放射線治療のため3週間毎日通院することが必要です(合計約¥100,000)。少量の放射線を分割して当てることにより、病気の細胞だけを退治し、正常な細胞を保護します。一方、全摘出の人は局所再発率が低いことから、基本的に薬物治療のみで、放射線治療の必要はなし。乳房再建を望む場合には、別途手術&入院費がかかります。
【6】治療を終え、10年程の経過観察で再発や転移が発見されなければ完治!
日常生活へと戻り、仕事をしながら経過を見守ります。他の臓器への転移が認められず、10年ほど再発も確認されなかった場合、晴れて「完治」ということに。※今回ご紹介したのはあくまで一例であり、推奨されている治療の流れというわけではありません。乳がん治療はがんの性質や進行具合、かかった人がどのような治療を望むかにより大きく流れや費用が異なります。
普段の生活で何をするのが大事?予防&早期発見のためにできること
日常生活のちょっとした心がけで、乳がんを予防&早期発見できる可能性は高まります。忙しい女性ほど実践してほしい、乳がんにならないためのルーティンはこちら!
1.普段から自分の体について知っておく
【この症状に注意!】
大切なのは、〝自分の体の状態を知り、異変に気づける状態でいること〟。お風呂上がりでボディクリームを塗るときに乳房を触る、毎日自分の体を鏡でチェックするなど、日常のルーティンで乳房を見る習慣を作っておくのがおすすめ。着替えの際、ブラジャーの乳頭部分に分泌液がついていないか確認をすることも忘れずに!
2.30歳を目安に検診を受け始めよう
乳がんにかかるのは50代中盤がピークとされていますが、若い方でもかかる可能性は充分にあります。30歳を目安に検診を受け始め、その後の頻度や検査の内容については医師と相談のうえ決めていきます。20代女性の場合、乳腺が発達していてがんが見つけづらい「高濃度乳房」の方もいるので、マンモグラフィと超音波を組合せて受診しましょう。マンモグラフィで受ける放射線量を心配する人がいるのですが、人体に影響のない線量(海外旅行でのフライト1回程度)なのでご安心を。
【検診の種類】
【1】マンモグラフィ
乳房を2枚の板で挟み、薄く伸ばした状態でX線撮影を行う検査。触診や超音波検査では発見しにくい病変や石灰化を見つけられます。自治体実施の乳がん検診では40歳以上の女性が対象ですが、親族に乳がん経験者がいる場合や低用量ピルなどホルモン治療をしている場合は2、30代からの検査が◎。
【2】超音波
乳房内の病変の有無やしこりの大きさ、リンパ節への転移の有無を調べるために行うエコー検査。2㎜大のしこりから発見することができます。マンモグラフィで高濃度乳房とされた場合には、超音波検査でなければ乳がんを発見できない場合があります。妊娠・授乳中でも検査が可能。
【3】MRI
主に手術や放射線治療を始める前に行うのが効果的な検査。マンモグラフィや超音波検査のようながんの発見というよりも、造影剤を用いてがんの広がりの範囲を映しだすことで手術のデザイン決めに役立ちます。また、術前の抗がん剤の治療効果の判定にも用いられます。
3.週に7メッツの運動習慣が予防に最適
明確な予防法はないと言われている乳がんですが、なんと運動習慣が乳がん予防に役立つことが判明!運動量の目安は「週に7メッツ」。おおよそ1週間当たり1時間のランニングと同等の運動量です。ただし1時間は複数回に分けて行ってもOK。1回20分を3日に分けるなど、自分が挑戦しやすいペースで取り入れてみて。
自分の体に関心を持ち、毎日労うことが乳がん予防と早期発見に役立ちます
「日本人女性の9人に1人がかかると言われている乳がん。その病名は知られていますが、CLASSY.読者さんの世代では「乳がん検診へ行ったことがない」という人がまだ多いのも現実です。私は乳がん=闘える病気だと思っています。マンモグラフィと超音波検査を定期的に受けることで、がん細胞が悪さを始める前の「ステージ0」の段階で発見できるようになりましたし、血液検査で遺伝子異常が判明すれば、早期治療に備えたり、予防切除を選択することも可能に。早い段階で気づけたら完治の可能性が充分あるからこそ、若い世代の方もどうか面倒がらずに定期検査を受けてほしいのです。
現在、乳がんにかからないための明確な方法は残念ながらありません。しかし多くのがんが生活習慣や食事によってかかるリスクが増えているのと同様、乳がんも女性のライフスタイルの変化により罹患率が増したと考えられています。乳がん予防のためにライフスタイルをガラリと変えることは難しいですが、ちょっとした心がけを予防や早期発見に繋げることはできます。ほんのわずかな異変や不調を見逃さないように、自分に関心を持ち、労る気持ちを大切にしてください。それこそが、乳がん克服の第一歩だと思っています。」(島田先生)
教えてくれたのは…ピンクリボンブレストケアクリニック表参道・島田菜穂子院長
放射線科専門医・日本乳癌学会専門医・認定NPO法人乳房健康研究会副理事長。国内でのピンクリボン運動の普及に寄与し、乳がんに関する知識の啓蒙に尽力。
「マンモグラフィ」と「超音波検査」を実際に体験してみました!
安心感&女性想いな気配りが随所に!これからは年1回の定期検診を決意しました
この企画を通して、乳がんはいかに早期発見が重要なのかを理解しました。検査結果を聞いた瞬間は、心から安堵…。自分はもちろん家族のためにも、これからは年1回のチェックを怠りません!
\私が体験してきました!/
CLASSY.ライター・伊藤綾香
38歳。日本人女性の罹患率を知りつつも、忙しさにかまけて健康診断はスルーしがち…。マンモグラフィも超音波検査も今回初めて体験。
\ここで体験しました…/
ピンクリボンブレストケアクリニック表参道
【住所】東京都渋谷区神宮前4-3-13 エムズクロス神宮前2F
【TEL】03-3401-7707(予約専用)
【診療時間】平日10:00~14:00/15:30~20:00、土日9:30~12:30/14:00~17:30
http://www.pinkribbon-breastcare.com
「フルコース(マンモグラフィ・超音波検査・視触診)」¥18,000
矢方さん衣装クレジット:アンサンブルシャツ¥21,780(リズレイ/キュアリス)パンツ¥9,990(アンフィーロ)イヤリング¥1,860(エルワイナウ/ロードス)
撮影/花盛友里 ヘアメーク/松山麻由美 スタイリング/中村真弓 取材/伊藤綾香 漫画/菜々子 再構成/Bravoworks.Inc