堀田茜さん&辻愛沙子さんジェンダー座談会!「男性にたくましさを期待してしまう自分にモヤモヤする」【後編】
堀田茜が「30歳になってなんだか気になる…」と感じるタイムリーな疑問を、今会いたい識者に直接聞きに行く連載2回目!この話、ほったらかしにしなくて良かったと思える日が必ず来るはず!
男性に〝たくましさ〟を期待するのって、ダメですよね?
今回のゲストは...辻 愛沙子さん
【今月の茜のモヤモヤ案件】
素敵なお店をサプライズで予約してくれたり、知らないうちにお会計が済んでいたり、花束をもらったり…そんな〝男前〟なエスコートに憧れてしまう自分がいて、モヤモヤします。対等なパートナーシップが理想で、自立した女性でありたいのに、なんだか矛盾している気がして罪悪感さえ抱いてしまいます。こんな気持ちにどう向き合えばいいですか?
男性だから、女性だからコレを言えば喜ばれるだろうと思い込まないようにしたい(辻)
辻:そうですね。それから〝アンコンシャスバイアス〞といって無意識的な思い込みという意味なのですが、誰もがそれを持っていることを忘れちゃいけなくて。例えば汁物用のお玉ひとつを取っても右利きの人に使いやすいようになっているけれど、左利きの人にとっては使いにくい。自分の生活に最適化されているものに対しては、そこに苦しむ人がいることに気づけないんです。そういう瞬間は生活の中にすごくたくさんあって、それを自覚できるようにしたい。パートナーに対してアンコンシャスバイアスを持っていないか気づくためにも、色んなことを話し合えるといいなと思っています。
茜:それって恋愛面だとどんなことがあるのでしょうか?
辻:例えば女性が「やせたね!」と言われたとして、褒めているつもりだったとしても本人は頬のコケなどをむしろ気にしていて嫌な思いをする可能性もありますよね。やせている=女性は言われたらうれしい、というアンコンシャスバイアスがかかっていたから出た言葉。これと同じで、男性はこういうことを褒められたらうれしいものだと勝手な勘違いをしてパートナーを傷つけているかもしれない。男性だから、という無意識の決めつけは褒め言葉でも気をつけたいと言いつつも、私もパートナーとわかり合えなくて喧嘩とか全然ありますけど(笑)。
茜:そうか、考えたことなかったです。たしかに、女性にはこれを言っておけばいいだろう、というような褒め言葉もたくさんありますもんね。
辻:私は強い女の印象を持たれがちで、女性扱いしたら悪いかなと遠慮されることも多いんですよ。でもつき合って、喧嘩して、話し合ってみると意外と乙女なとこあるんだねと言われたり。そういうのってみんなあるんじゃないかな。
茜:辻さんでもそういう普通の喧嘩、するんですね(笑)。こんな恋愛話までしてくださるとは!
辻:ふふふ。SNSでの自己発信もなるべく素であるように心がけているので、それが伝わってよかったです。
茜:好きになった人を世間が決めた〝らしさ〞にはめこんだり、無意識的にレッテルを貼ったりしていないか、相手と確認しあいながら進めていければ、お互い対等でいられるんじゃないかと思い直せました。
\茜の取材ノート/
とても難しいと思っていたジェンダーの問題。お話を伺う中で本当の〝個性〞とは何か、少し理解できた気がします。にこやかで柔らかくお話される辻さんはとても魅力的で、知的好奇心に溢れた人はこんなにもキラキラしたオーラに現れるのだなと。恋愛の話も誤解を生んでしまうのでは…と恐る恐るした質問でしたが、想像以上にスタッフさんからの共感の声がありました。誤解を恐れて思ったことを発信しないことはすごく勿体のないことで、何に対しても真摯に向き合えば道は開けるのだ、と発見のある時間でもありました。
株式会社arca代表/クリエイティブディレクター・辻 愛沙子さん
1995年11月24日生まれ。社会派クリエイティブを掲げ「思想と社会性のある事業作り」と「世界観に拘る作品作り」の二つを軸として広告から商品プロデュースまで領域を問わず手がける越境クリエイター。リアルイベント、商品企画、ブランドプロデュースまで、幅広いジャンルでクリエイティブディレクションを手がける。報道番組news zeroのレギュラーコメンテーター。Twitter@ai_1124at_
撮影/杉本大希 モデル/堀田 茜 取材/野田春香 再構成/Bravoworks.Inc