【漢字】「菠薐草=???」よく食べるのに実は読めない、野菜にまつわる漢字3選

今回の漢字連載も、「読めない(

今回の漢字連載も、「読めない(かもしれない)食べ物」です。前回に引き続き「野菜」に絞って紹介していきます。いくつ読めるでしょうか?

1.「生姜」

まずは、簡単かもしれません。「

まずは、簡単かもしれません。「生姜」です。何と読みますか? 辞書的な説明としては、「辛みと香気のあるある地下茎を食用・香辛料にする○○科の多年草」ですが、「生姜焼定食」のほうがわかりやすいでしょう。

そう、正解は、「ショウガ」でした。「しょうが」だけでは変換候補として上がってこないパソコンも、「しょうがやき」なら一発変換です。常用漢字「生」は、「セイ(生活・生徒など)」と「ショウ(一生・生涯など)」の二つの音読みがあり、多くの熟語でおなじみです。それに対し、「姜」は常用漢字外で、一般には「生姜」以外では目にすることが少ないかもしれません。
この「ショウガ」は、「薑」(常用漢字外・音読み「キョウ」)とも書きます。ずばり、「ハジカミ(ショウガのこと)」のことですが、「ショウガ」自体、「シャウキャウ」が発音変化したものとも考えられています。「姜」と「薑」は同じ音ですから、代用として使われるようになったとも考えられます。
余談ですが、首都圏の私鉄「京浜急行電鉄」に、「生麦駅(横浜市鶴見区)」というのがあります。これ、「ショウガ駅」と読み間違える人が必ずいるのではないかと思いますが、どうなんでしょうか。

2.「菠薐草」

次は、ちょっと難しくなります。

次は、ちょっと難しくなります。「菠薐草」はどうでしょうか?「菠薐」は常用漢字外ですが、何とか読めば、「ハリョウソウ」になりますよね。辞書的には、「アカザ科の一、二年草。根元が淡紅色」となりますが、これで分かりますか?

正解は、「ホウレンソウ」でした。「ホウレンソウ」とは、江戸時代に中国から伝わったものですが、その名も中国名由来です。「菠薐」は、ネパールかペルシアのことではないかと言われ、そこから中国に伝わったことからの命名です。なお、「菠薐草」以外にも、「法蓮草」とも書かれることがあります。
ところで、社会人の皆さんは、「ホウレンソウ」と言えば、ビジネス研修などの定番「報連相」の思い出す方もいるのでは? 「職場の円滑な活動には、報告・連絡・相談の三つが必要不可欠です」という、あれです。今や、辞書でも見出し語となっているくらいの言葉ですが、実際のところ、どうなんでしょう?

3.「塘蒿」

最後は、今回一番の難問です。「

最後は、今回一番の難問です。「塘蒿」はどうでしょう。どちらも常用漢字外です。辞書的には、「セリ科の一年草または越年草。全体に特有の芳香がある」です。この野菜ほど、好きと嫌いがはっきり分かれるものはないのでは……。さて、おわかりですか。

正解は、「セロリ」でした「塘」は音読み「トウ」で、「堤(つつみ)・溜(た)め池」を表します。山歩きがお好きな方なら、高山の湿原や泥炭地にある「池塘(ちとう)」をご存じでしょう。「蒿」は、音読み「コウ」で、「キク科の植物であるヨモギ(蓬)」を意味する漢字です。
なお、西洋野菜である英名「セロリ」は、発音により忠実に書けば「セルリー」です。ですから、漢字表記は、いわゆる当て字ということになりますが、この「塘蒿」以外にも「芹菜」「胡芹」「西芹」などがあります。

まだまだ、続編ができそうですね。では、今回はこのへんで。

《参考文献》
・「広辞苑 第六版」(岩波書店)
・「新明解国語辞典 第八版」(三省堂)
・「明鏡国語辞典 第三版」(大修館書店)
・「新字源」(角川書店)
・「難読漢字辞典」(三省堂)
・「当て字・当て読み漢字表現辞典」(三省堂)
・「できる大人の漢字語彙力1500」(リベラル文庫)

文/田舎教師 編集/菅谷文人(CLASSY.ONLINE編集室)

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