誰もが感じたことのある女友達に対するネガティブな感情や、モヤモヤした気持ち。それって女は嫉妬深い生き物だから?それとも私の性格が意地悪なせい?いいえ。どうやら、モヤモヤの正体はもっと別のところにありそうです。
女性にとってのミソジニーとは〝自己嫌悪〟。脱却することで、生きやすくなるはず
自分の中にある「女嫌い」に向き合い、作品やSNSを通じて発信されている瀧波ユカリさんと山内マリコさん。どうやってミソジニーを乗り越えたの?女友達と仲良くするヒントは?ミソジニーをテーマに語っていただきました。
女友達とギクシャクした学生時代、今ならその理由がわかる
山内:中学生の時、男子と喋っていただけで女の先輩たちに「男たらし」と目をつけられて傷ついた経験があって。それ以来、自分は女子に嫌われるタイプだと思い込むようになりました。つねに「女のコに嫌われないようにしなきゃ」と怯えているから、女友達にうまく心を開けなくて。中学生くらいになると恋愛感情も絡まって、男子を意識することで女のコ同士が引き裂かれていくんですよね。
瀧波:私の場合、学生時代の女友達とはいつも同じパターンでギクシャクしていました。成績が良くて真面目な家庭で育ったコが多かったのですが、「もっとオシャレすればいいじゃん」みたいなことを言ってしまう私と、チャラついている私に苦言を呈す彼女、と。ミソジニーを理解した今は「女性は選ばれなければ」という価値観が自分の中にあって、相手にも「女性は貞淑であるべき」という価値観があったのかもしれないと思います。お互い「女はこうあるべき」というものに縛られていたんじゃないかな。
山内:女子同士の関係って「なんでうまくいかないのか」という根っこの部分がわからないまま自然消滅してしまったりするから、結果的に「女の友情はもろい」と言われてしまいがち。でも、「女のコは男性から選ばれないと価値がない」というミソジニーが社会に根付いているわけだから、無意識に同性を競争相手として認識してしまうことは無理もないと思います。
瀧波:「女の友情は続かない」と、そういう言葉を当てはめてしまうことは簡単だけど、本当は自分の問題でも相手の問題でもないし社会の構造の問題だと知ってほしい。「女同士を仲良くさせない」という呪いがこの社会にあるんです。
女友達への苦手意識がミソジニーなんだとわかったらすごく生きやすくなりました−山内さん
“人として”なら嫌ってもいい。相手のことも自分のことも“女”という枠を外して捉えたい−瀧波さん
教えてくれたのは...
作家・山内マリコさん
1980年富山県生まれ。最新刊は『すべてのことはメッセージ 小説ユーミン』。『あのこは貴族』など、女性の繊細な心の機微を描き出す作品が多数映画化。『一心同体だった』(光文社)10~40歳まで、それぞれの年代の女子の友情がロンド形式でつながっていく全8話の短編集。
漫画家・瀧波ユカリさん
1980年札幌市生まれ。ドラマ化もされた人気作『臨死!!江古田ちゃん』『モトカレマニア』をはじめ、『ありがとうって言えたなら』、育児エッセイ『はるまき日記』など著作多数。『わたしたちは無痛恋愛がしたい 2』(講談社)恋愛におけるジェンダー不平等、女性がのみこんできたモヤモヤを言語化。最新刊が好評発売中
取材/加藤みれい 再構成/Bravoworks.Inc
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