「CLASSY.読者みたいな働く女性はどんなコーデがいいですか?」と編集部の意図を汲み取って臨機応変に対応してくれた、黒木さん。20代の頃から数々の賞を受賞し、迷いなくキャリアを積んできたように見える彼女も私たちのように悩んだり焦ったり…その中で得た考え方は、きっと参考になるはずです。
自分も周りも幸せにするウェルビー女子な生き方、教えてもらいました
「好きな仕事を嫌いになったらどうしよう」と不安になったこともあります
好きだからこそ頑張らなきゃ、と思いすぎていました
ありがたいことに役者を志してから、周りの方達との出会いに助けられ、20代後半までは「好きなことを仕事にできているんだから」と突っ走ってきました。芸能界に対する戸惑いや「自分はこの仕事に向いているのかな?」という疑問や葛藤はありつつも…20代は頑張らなきゃいけないと思っていたし、結局好きだから頑張れちゃう。でも、無我夢中で目まぐるしく過ごしていると、どこが好きだったのか分からなくなってしまうこともあって。必死すぎて友達に「ねぇ、なんだか最近眉間にシワ寄ってるよ」と注意されたことも(笑)。せっかく好きで始めた仕事を嫌いになったらどうしよう、という悩みもありました。
そういうときに心がけているのは、一旦距離を置いて冷静になること。「好きだから」という気持ちをフラットにすると、改めて好きな部分や好きな中でも嫌いな部分に気付けたり、違った角度の好きが見つかったりするんですよね。自分では頑張っているつもりでも、そんなに頑張れていないことのほうが多かったりするから、何事も力みすぎないことが大切なのかな、と思えるようにもなった。30代に入ってからは20代のがむしゃら感が抜けて、いい意味での力の抜きどころが分かってきて、割と楽になったかもしれないですね。下の世代も増えてきて、上の世代に甘える年齢でもなくなり、責任感も出てきました。今は後輩に大したアドバイスはできないし、教えられることといったら美味しいご飯屋さんくらいですが(笑)、先輩たちが現場を取りまとめてくださったり、縁の下の力持ちとして支えてくださる姿を目の当たりにすると、いつか自分もそんな存在になれたら……と思います。
人のキャリアの積み方が自分に合っているかどうかは分からない
人と比較して自分のプラスになるならいいですが、私の場合は凹んでしまうので比べることはしません。そもそも他人とは持って生まれたスペックも、これまでの経験から得た考え方も違うから、誰かじゃなくて過去の自分と比べたほうが生産性があると思うんです。例えば他人と自分のキャリアを比べたとしても、その人のキャリアの積み方が自分にとっては向いていないかもしれないですよね。過去の自分と比べてよければ「ヨシッ!」と思うし、そうじゃなかったら今やるべきことが見えてくる。そもそも、人と比べると結構凹みませんか?わざわざ苦しくなる方向に行くよりも、過去の自分よりは「進歩できてる!」と感じられたほうが楽しいし、私はそういう選択をしたいです。
PROFILE
1990年生まれ、大阪府出身。2010年、NODA・MAP番外公演『表に出ろいっ!』でデビュー。映画『日日是好日』、『浅田家!』、『余命10年』、TBS『凪のお暇』、フジテレビ『ゴシップ#彼女が知りたい本当の〇〇』テレビ東京『僕の姉ちゃん』など数多くの作品に出演。この冬には堅物なエリート裁判官・坂間千鶴を演じた、高視聴率を記録したドラマ「イチケイのカラス」が映画化。1月13日(金)から公開。待機作に、舞台『ケンジトシ』(23年2~3月上演)、映画『ヴィレッジ』(23年公開)がある。
撮影/水野美隆 ヘアメーク/新井克英(e.a.t…)スタイリング/武久泰洋 取材/坂本結香 再構成/Bravoworks.Inc