黒澤Rによる漫画シリーズを実写化し、2月14日より全世界独占配信中のNetflixシリーズ「金魚妻」。タワーマンションに暮らす妻たちが、さまざまな事情から一線を越えていくさまをセンセーショナルに描く作品で、体当たりのラブストーリーに挑んだ篠原涼子さんと岩田剛典さんにインタビュー。役柄への思いや、共演してみてのお互いの印象など、たっぷりお話を聞かせていただきました。
地上波では難しい“挑戦”が詰まった作品に挑んだ二人
–「金魚妻」への出演が決まったときの率直な気持ちを教えてください。
篠原さん:私は最初から興味津々で、即答で出演のオファーをお受けしました。演者としていろんな役にぶつかって表現してみたいし、Netflixの作品ということもあって、地上波では難しい挑戦をできるんじゃないかという思いもありましたね。
岩田さん:僕もお話をいただいて、挑戦したい作品だと感じました。涼子さんとは、同じ作品に携わったことはありますが、相手役でしっかりとお芝居をさせていただくのが初めて。大先輩でもあるので、ありがたいお話だなと思いました。原作を読んでみると、まさに“体当たり”という言葉がぴったりで、その点もこの作品に惹かれた理由です。
–それぞれの役を演じる上で特に気をつけたことはありますか?
篠原さん:肌を露出するシーンがあるので、ドラマのストーリーを壊さないように多少体づくりはしましたが、今はすっかり戻ってしまいましたね(笑)。さくらには弱い部分もあるけれど、弱さだけじゃなく強さも描きたかったので、彼女の芯の部分が伝わるように演じることも意識していました。
岩田さん:僕はさくらとのシーンが多かったので、独りよがりにならないように、篠原さんと芝居の呼吸を合わせて、2人の間に流れる空気を掴みながら演じました。でも、意識してそうなったというよりは、現場の雰囲気自体が良かったので、自然と芝居に入り込めた感じでしたね。作品に入る心の持ちようとしては、篠原さんをはじめ、演者の方やスタッフさんと信頼関係を築きたかったので、自分から積極的にコミュニケーションを取るようにしていました。僕は体づくりはそんなにやっていなくて、正直ツアー中の方がもっとすごいですよ(笑)。
芯のある女性として演じたい…篠原さんの役柄への思い
–それぞれの役柄に共感できる部分や自分と似ているなと思う部分はありますか?
篠原さん:さくらは、自分の意見を素直に表現することができない女性ではあるのですが、ただ弱いだけじゃなく、ちゃんと自分の芯を持っているところがあって、そういうイメージをつけて役設定をしていました。私自身も昔は周りに意見を言えない内弁慶な人間で、人前に出るのが苦手なタイプだったんです。でもこのお仕事を通じて自分を表現する中で、もっと自分自身を伝えないといけないと思うようになりました。自ら発信するようにしたらすごく楽になって、本来の自分を知るきっかけにもなったんです。春斗と出会うことで解放され、本来の自分を見つけたさくらとは環境が違いますが、自らアクションを起こすことで、自分を見つけられるようになったという部分は似ていますかね。
岩田さん:春斗を演じていて、彼は色々と葛藤を抱えながらも、ちょうど人生のターニングポイントを生きてるのかなと感じていました。僕自身もこれまで悩んだり、選択を迫られた時期があったので、共感できる部分はたくさんあり、感情移入もしやすかったですね。
——逆に絶対に共感できない部分はありますか?
篠原さん:さくらの最後の決断は、自分的にはすごく切なくて、春斗がかわいそうだなと。物語としてはそれがいいんだろうなと捉えつつ、自分だったらそんなに強くなれないなと感じていました。
岩田さん:共感できないところは、そんなにないかもしれないですね。共感できることの方が圧倒的に多かったです。あえて言えば、よく金魚の豆知識をさくらに披露する感じは共感できなかったですね(笑)。
篠原さん:確かにね(笑)。会うたび会うたび金魚の話だもんね。
岩田さん:本当に。どれだけ金魚が好きなんだよって思ってました(笑)。
体当たりのラブストーリー、撮影現場の雰囲気は?
–共演してみてお互いに感じた魅力を教えてください。
篠原さん:岩田さんは、こんなに人気者でスターなのに、気さくなところが本当に素敵。仕事に対しても真面目で熱心で、そういう姿勢にも刺激を受けました。あとは、とにかく癒されるんですよね。いい意味で緊張させないというか、リラックスさせてくれる。私もそうですし、スタッフも岩田さんが来る日はみんな幸せっていうか、リラックスしていて、より楽しい現場になっていました。撮影中は私もよく「岩田くん、今日来るのかな?」ってスタッフに聞いていて、「今日来ないです」って言われると残念だったし、「今日は岩田さんと一緒ですよ」って言われると、よし頑張ろうって思わせてくれる存在で、救われました。
岩田さん:いやいや(笑)。でも、そう言ってもらえるとうれしいです。
篠原さん:さくらは春斗のことがすごく好きで、私自身も岩田さんのことが好き。好きの種類は違うけれど、演じる上でも好きな気持ちでいたいなと思っていて、無理矢理ではなく自然とそういう形でいられたので、この作品で岩田さんと出会えたのはうれしいし、岩田さんじゃなかったらできなかったと思っています。
岩田さん:篠原さんはムードメーカーというか、いらっしゃるだけで現場が明るくなって、助けていただいた部分が本当に多かったです。芝居の面でもリードしていただきましたし、特に今回の作品はセリフ以外の表情でストーリーを紡いだり、視聴者の方の気持ちを高めていかなければいけない部分も多かったので、そういった面でも学ばせていただきました。あとは人柄も素晴らしくて、見習わせていただきたいところがたくさんある方だなと尊敬しています。
篠原さん:お互い、芝居について細かく打ち合わせしていたわけじゃないんですけどね(笑)。
岩田さん:照れくさいです(笑)。
チームプレイで作り上げた奥が深い大人のラブストーリー
–実際に共演した中で化学反応や相乗効果が起こって、台本の中で想像していたよりも印象に残ったシーンはありますか?
篠原さん:結構たくさんあったかもしれないですね。私自身も今回はそういう部分を丁寧にやりたいなと思っていたので。作品の題材的には分かりやすいかもしれないけれど、セリフで伝える単純な意味だけじゃなく、ひとりひとりの考え方や生き方まで見せることで、もっと奥が深い大人のラブストーリーに仕上がるといいなと思っていました。特にセンシティブなシーンもあるので、心情の芝居をがっつりつけて大切に演じたいという想いも強くて。そういう気持ちで現場に行って、共演者の人たちと関わったりすると表現の仕方が変わってくるんですよね。全部自分が決めてやります、じゃなくて、実際に現場で立つシチュエーションだったり、カメラのアングルとか監督の想いとかを踏まえて、みんなとセッションして物語が作られたらいいなと思っていたので、さくらじゃないけど自分自身が芯をしっかり持って、あとは料理をしていこう感覚でいました。
岩田さん:8話のラストの、さくらと春斗がお互い想いの丈を伝え合うシーンなんかは、撮影が終盤にさしかかっていたこともあって、築き上げてきた役が完成された感じがしました。あのシーンは一発の長回しで撮っているのですが、台本以上にぐーっと気持ちが高まっていいシーンになったかなと、個人的に思っています。
——作品にちなんでおふたりが「ダメだと思っているのについやめられない」禁断の〇〇を教えてください。
篠原さん:食べちゃダメだと思っているのに、食べちゃうこと。それが一番大きいです。あとはNetflixのシーズンものをよく観るのですが、「明日にしなきゃ、明日にしなきゃ」と思いながら、ついつい朝方まで続きを観てしまうこと。やめられないですね。
岩田さん:食べ過ぎ飲み過ぎもそうですが、ベッドに入って寝る準備をしているのに、ずっとスマホをいじってしまうこと。やめた方がいいと分かっているのにやめられないですね。なんとなくググってたりとか、YouTube開いたりとか、本当になんてことない時間なのですが、気づくと1、2時間経っていて、疲れが取れないこともよくあります(笑)。
——最後に、「金魚妻」の中で1番好きなシーンを教えてください。
篠原さん:全部いいからなぁ、選ぶのがもったいないなぁ。
岩田さん:何ですかね〜。
篠原さん:でもやっぱり春斗とのシーンが好きですね。その中でもあえていうなら、屋上でお酒を飲みながら花火を見るシーンは、私自身も憧れます。やってみたいなって。夜景が見えるきれいなレストランもいいけれど、ああいう日常の素朴なシーンも素敵ですよね。
岩田さん:いっぱいありすぎて悩んじゃいますけど、さくらとのデートシーンは全部好きです。あの場面はト書きだけで、篠原さんとふたりで自由にやらせてもらいましたが、楽しいシーンがあるから後半が効いてくると思っていて。浅草を巡ったり、出店を回ったり、撮影は一瞬でしたが、明るいシーンで印象に残っていますね。
Netflixシリーズ「金魚妻」全世界独占配信中!
Netflixシリーズ「金魚妻」
多数のサロンの共同経営者として働き、タワーマンションの高層階で誰もが羨む生活を送る平賀さくら(篠原涼子)は、実は夫・卓弥(安藤政信)のDVに苦しむ日々を過ごしていた。夫の浮気相手であり、同じマンションに住むゆり葉(長谷川京子)に挑戦的な態度を取られても、仕事のために耐えていたさくらはある日、ふと立ち寄った金魚屋で店主・春斗(岩田剛典)と出会う。なぜかさくらを懐かしいように見つめる春斗との会話に、癒されていくさくら。卓弥からの暴力が限界となり家を飛び出したさくらは、春斗と一線を超えてしまう。果たしてその愛は裏切りか、運命か––––。
撮影/宮下昌生 スタイリング/宮澤敬子(WHITNEY/篠原さん分)、桶谷梨乃(W/岩田さん分) ヘアメーク/宮本陽子(篠原さん分)、下川真矢(BERYL/岩田さん分) 取材・文/坂本結香 編集/宮島彰子(CLASSY.ONLINE編集室)