黒いニットに太めパンツと、マニッシュな装いで撮影現場に現れた山本美月さん。初めましてにも関わらず、とてもオープンマインドにフラットにインタビューに答えるその姿に、外見だけではない内面の強さを感じました。
“いろいろな経験を経て、必要のないことは必要ないと選べるようになりました”
以前は、常に人と比べていました
CanCamモデルだった頃は、とにかく毎月コンスタントに撮影が入っていないと不安でした。先月よりカット数が減っていないかとか、巻頭企画は誰がやるんだろうなど、ある意味仕事に囚われていて常に周りを気にしていて。昔からずっとアニメや絵が好きだったけれど、仕事でしか自分を見出せていなかったので、その頃親しかった友人たちは私のオタク気質を知らなかったと思います。なかなか単独表紙に選ばれない中で後輩モデルが表紙になったときには「追い抜かされた!」と焦ったり、自信をなくしたりもしました。当時はこの仕事でやっていく覚悟も自信もなく、親からは「就活しなさい」と言われていたこともあり、在学中にCanCamで単独表紙になれなかったら就職しようと思っていたんです。
オタクな自分を出せるようになって、変わった
モデルを始めた頃は仕事がすべてで好きなことに向き合う余裕もなく、オタクな面は出していなかったのですが、「メレンゲの気持ち」に出演した際に、大大大好きな『鋼の錬金術師』の荒川弘先生が主人公と私の2ショットのイラストをサプライズで描いてくださって。嬉しくて思わず号泣してしまったんです。収録後、「やっちゃったな……」ととても落ち込んだのですが、SNSでは優しいコメントが多くて、思いの外、受け入れてもらえたことに驚きました。その頃からCanCamでも編集長に「オタクを出していいよ」と言われて誌面やSNSでもイラストやアニメの発信をするようになったのですが、「私も実はオタク気質です!」など共感の声が多くて。ありのままの自分を受け入れてくれる場所があることは自信になったし、自分の〝好き〞を大切にしようと思えるようになって、とても楽になりました。
また、女優の仕事を始めたことでいろいろな現場を経験したことも大きかったと思います。この仕事はひとりひとり注目されるタイミングも違う。だから誰かと比べて心が荒むよりも好きなことに向き合って、自分の心が豊かであることが番だと思えたことは大きな変化でした。それまでは、「みんなから見て1番でいること=幸せ」と思い込んでいたのですが、そんなことないなと。今振り返ると、モデル以外の居場所ができたことも影響していたんだと思います。私の場合、仕事を10年間続けてきて、居場所が複数あれば経験値も視野も広がることを実感しています。「居場所は色々持っているといいよ」と、悶々としていたあの頃の自分に教えてあげたいです。
モヤモヤしたときは人に話して客観視します
私自身知らないことが多い人間なので、仕事で悩んだときや、モヤモヤしたことはひとりで抱え込まずに人に話すことで客観的な意見をもらうようにしています。相手の意図が汲み取れずにLINEやメールの返信に悩むことも多いですが、そんなときは年上の友達に意見をもらうこともあります。「そういう意味だったのか」と自分の思い込みにも気が付かされるので、人の意見を聞くことは大事だなと思っています。
ひとり時間は趣味のレース編みやイラストに没頭
高校生の頃から好きだったアニメや絵。モデルになりたての頃は封印していたオタクな部分を誌面やSNSで発信し始めて、より自分らしさを大事にできるようになりました。最近よくアップしているのは、日々の出来事をまとめたイラストやレース編みの作品。コメントを通じて共感してくれる人がいることが分かるとうれしくなります。
PROFILE
山本美月さん
1991年生まれ。福岡県出身。2009年、CanCam専属モデルとしてデビュー。2011年からは女優としての活動もスタートし、多くのドラマや映画に出演。2020年には「ランチ合コン探偵~恋とグルメと謎解きと~」で地上波連続ドラマ初主演を務めた。私生活では2020年8月に結婚。2月よりPrimeVideoで独占配信のAmazon Originalドラマ『星から来たあなた』、2/6(日)より放送・配信スタートのWOWOWオリジナルドラマ『にんげんこわい』第2話に出演。
撮影/水野美隆 ヘアメーク/小松胡桃(ROI) スタイリング/荒木里実 取材/坂本結香 再構成/Bravoworks.Inc