【高杉真宙さんインタビュー】「舞台のことだけ考えていればいい時間が好き」

13歳でデビュー以来、ドラマや映画に多数出演し、今年からはテレビ番組『ぐるナイ』の人気企画『ゴチになります!』の新メンバーになるなど、幅広く活躍している俳優の高杉真宙さん。3月に上演される舞台『ライフ・イン・ザ・シアター』で勝村政信さんと2人芝居に挑むことに。インタビュー前編では今回の舞台についてお話を伺いました。

――「劇場」を舞台に、芝居に生

――「劇場」を舞台に、芝居に生きる俳優の悲喜こもごもを描いた作品。出演が決まった時の率直な感想は?

「まず、とても嬉しかったです! 二人芝居というのは夢でもあったので。前作の舞台『てにあまる』は四人舞台だったから、どんどん人が少なくなっていくなあと。いつかは一人芝居をしてみたいと思っているので、僕としては徐々にキャストの数が減っていく感じは夢に向かっているようで楽しみだなと思いました。ただ決まったら決まったで、憂鬱ではあるんですよ。僕、すごく緊張するんで(苦笑)。基本、舞台って緊張するものだし、自分が何かをなそうとしているからこそ緊張すると思うので、それ自体はいいことだと思っているんですけど。公演中、本番の緊張感は絶対消えないと思いますが、その緊張感をうまく利用して芝居に活かせたらいいなと思っています」

――今作に参加したいと思った一番の理由は?

「二人芝居というのも演劇業界の話っていうのも、すべてがすべて興味のひかれるものでした。でも一番は先輩の勝村(政信)さんと二人芝居ができることかもしれないです。舞台ってお芝居の仕事のなかでもちょっと違っていて、舞台に入ると舞台のことだけ、役のことだけ考えていいよって言われてるみたいで――。舞台のことだけ考えていればいい時間が好きなんですね。演出の千葉(哲也)さんやスタッフの皆さんと共に、勝村さんと二人でひとつのものを作り上げる。それほど素晴らしい時間はないと思います」

――高杉さんにとって、勝村さん

――高杉さんにとって、勝村さんはどんな存在の方ですか?

「中学三年の時スペシャルドラマの仕事で、一週間くらいカナダで一緒に過ごしたことがあるんです。それ以来、約10年ぶりにドラマ『バイプレイヤーズ』でお会いして。お久し振りですって感動の再会を果たしたんですが、あまりお話しできなかったので今回の舞台は嬉しいですね。勝村さんは最初から、すごくフラットにカッコいい人という印象があります。紳士的でさらっとカッコいい。今回、共演できるのは楽しみですし怖いです。初めましての方も緊張しますけど、共演したことがある方のほうが緊張するんですよね。以前の自分を知ってる方とご一緒するのはハードル高いじゃないですか。自分をよく見られたいという欲があるから、褒められたいしよく思われたいし…。仕事ぶりも見てもらいたいですが、二人だからこそ勝村さんにたくさん頼らせてもらえたらいいなって思います。でもさっきお会いした時は、『よろしく頼むよ』って言われたなあ()。『たぶん大変だから』とも言われたので、頑張んなきゃなと思ってます」

――高杉さん演じる若手俳優・ジョンは、勝村さん演じるベテラン俳優・ロバートから役者としての様々なアドバイスを受けます。俳優が俳優を演じる作品ですが、脚本を読んだ感想は?

「クスッと笑えるコメディでもあるんですけど、僕は笑うというよりすごく切なくなっちゃって…。やり取りの中で笑える部分はあるんですが、最後まで読むと同じ職業の自分としては考えさせられる部分も多くて、僕らにとってはノンフィクションのような話だなって思いました」

――二人芝居の大変なところと、

――二人芝居の大変なところと、逆に面白いところは何でしょうか?

「単純にセリフの分量が多い()。ほぼ90分2人だけだから、単純に割ると1人45分…。でもロバートのほうがセリフが多いから、僕は35分?30分?くらいかな()。勝村さん、こんなにしゃべるのかって、台本読んで衝撃だったんですよ。ずっと2人でしゃべんなきゃいけないのは、やっぱり大変だと思いますね。面白いところは、2人しかいないから濃くガッツリとお芝居ができること。濃密に演技でのやり取りができる。2人のテンポや間()を1カ月間かけて作る面白さは、キャストが多い作品とは全然違う。そのぶん、助け合いだと思います。頼れるのは勝村さんと自分だけですから」

――今作に参加することで個人的に楽しみにしていることや自分への課題はありますか?

「前作の『てにあまる』では柄本明さん、藤原竜也さん、佐久間由衣さんと僕の四人舞台だったんですね。その作品で皆さんのお芝居にめちゃくちゃ刺激を受けて、それが成長につながってるかはさておき()、皆さんの素晴らしい演技を見るのが楽しかったんです。それ以来、1年ぶりの舞台という意味では『てにあまる』での経験が今作にどんなふうに生かせるのか、どんなふうに試せるのかが個人的な楽しみです。課題としては…二人芝居って本番でどんなことが起こるかもわからないから、できるだけ稽古で仕上げていきたいと思います。また、どんなことが起こっても大丈夫なように対応できる能力を身に付けたい。それは俳優の仕事を始めてからずっと思っていることではありますが、この作品でさらに学びたいと思っています」

――あらためて今作への意気込み

――あらためて今作への意気込みとPRをお願いします。

「何が起こるのかわからない二人芝居。僕にとってはある種、恐怖の二人芝居ですが()、それを面白がって観に来てもらえたらいいなと思ってます。純粋に楽しんで観てもらえるような作品に仕上がると思いますし、僕は開幕初日まで稽古場でしっかりと面白がってお芝居をしますので、皆さんも目の前で起きてることだけを考えられる空間に足を運んでいただいて面白がってもらえればと思います!」

高杉真宙

9674日生まれ 福岡県出身 血液型A型●‘09年より俳優活動を開始。‘18年、主演映画『笑顔の向こうに』で第16回モナコ国際映画祭エンジェルピースアワード最優秀作品賞を受賞。最近の主な出演作はドラマ『婚姻届に判を捺しただけですが』、映画『賭ケグルイ』シリーズ、『バイプレイヤーズ 〜もしも100人の名脇役が映画を作ったら〜』、舞台『てにあまる』など。『ぐるぐるナインティナイン』(日テレ系)の『ゴチになります』コーナーにレギュラー出演中。

『ライフ・イン・ザ・シアター』

現代アメリカ演劇界を代表する劇作家・デヴィッド・マメットが綴る、90分間の二人芝居。ベテラン俳優・ロバート(勝村政信)と無限の可能性を秘めた若手俳優・ジョン(高杉真宙)。世代のキャリアも違う2人の俳優の時に切なく時にクスっと笑える会話をオムニバス形式で描いたヒューマンドラマ。翻訳/小田島恒志 演出/千葉哲也【東京】33()13()新国立劇場 小劇場 ※ほか大阪、広島、福岡、札幌、金沢にて上演。http://lifeinthetheatre.jp/[/hidefeed]

撮影/イマキイレカオリ 取材・文/駿河良美 構成/中畑有理(CLASSY.編集部)

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最新号 202405月号

3月28日発売/
表紙モデル:山本美月

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