ミュージカルなど舞台を中心とした活躍でおなじみの平間壮一さんと、CLASSY.9月号の「運命のウェディングリング探し」企画も大好評だった小関裕太さん。2月1日開幕のミュージカル『The View Upstairs-君が見た、あの日-』で恋仲になるお二人がCLASSY.ONLINEに揃って登場! まずは舞台に向けた意気込みとお二人の関係について伺いしました。
――世界各地で上演された名作ミュージカルが平間壮一さんと小関裕太さんの共演で日本初上陸! アメリカで実際に起きた反同性愛者による事件を題材に人間の絆を問う物語です。まずは今作に参加したいと思った理由を教えてください。
平間 台本を読ませていただいた時、これはやる意味があるなと思いました。「外れた人たち」が一生懸命に生きている。自分も外れたような人なので(笑)。自分をわかってもらいたいという思いで俳優をやっているところがあるので、そういった意味でも外れた人たちを演じられるというのは嬉しいことだなと思いました。
小関 僕もプロットに目を通した時、直感的にやりたいと思いました。曲を聴いてみても素敵だなあと思ったし。僕は作品と出会って自分の中の感覚がどう変わっていくのかを実感するのが好きなのですが、そういう意味でこの作品は未知だなと感じてました。自分にとって今やるべき作品であり、自分を見つめ直す大きなきっかけになる作品になりそうだなと。27歳に差しかかろうとしている今、もう一度自分に向かい合える大きな作品になると思いました。今回は1カ月半以上稽古期間があって舞台作品としても長いので、作っていく過程が楽しそうだなっていうのもありましたね。「作って崩して、また作って崩して」という作業が好きですし、ちょっと偉そうに聞こえるかもしれないですけど、今作には長い時間を費やす意味があると感じました。
――プライベートでも親交のあるお二人ですがお互いの印象は?
平間 俺はいつも“宇宙人”って言ってます(笑)。裕太の第一印象は宇宙人でしたね。人目も気にせず下駄をはいて稽古場にやってくるという。
小関 ははは(笑)。始めましての時は僕が小学5年生くらいでした。
平間 下駄はその後の印象だったかな?(笑)。結構、人の目を気にしない子だったので。自分がいいと思うものはいい、というのをちゃんと持っている子だなというのが、その時の自分にはないものだったので尊敬しましたね。自分の道を行くといいますか、好き勝手に道を行くというより、壁を乗り越えていくところがいいなあと思って見ていました。
小関 えー、嬉しいな。僕は、お兄ちゃんという印象と優しいという印象がすごく強かったです。壮一さんは5歳上ですが今の5歳上と当時の5歳上はだいぶん違っていて。僕が小学5年生なのに対して10代後半でいらしたので、だいぶ上の上のお兄ちゃんっていう感じでしたね。壮一さんの世代の方々がご飯を食べに行ったりしているのを「いいなあ、でも僕みたいな子供はその中に入っちゃいけないよな」って早めに帰ったりしてたので、10代後半になって舞台を観劇した帰りにご飯に誘われて食べにいったのが嬉しかったですね。
――10代の頃からよくご存じなお二人が今回、恋仲になる役を演じるというのはどんなお気持ちでしたか?
小関 僕はもう“照れ”でした。
平間 ははは(笑)。ゲイのカップルって、一般的な“恋人” という感じだけではないというのが舞台『RENT』を通しての自分なりの感覚なんですけど、なんか恋愛だけじゃないんですよね。恋愛じゃない部分でも惹かれあって求めあってすべてを理解してくれる、男同士ならではの寄り添えるところというのを『RENT』で経験したので。その経験がなかったら、同じ事務所で小さい頃から知っているからこそ「わー裕太か、やりにくいな」と思ったかもしれないんですけど。求めるところが違うってわかってからは、逆に裕太で安心というか。俺たちは気心が知れているし、嫌いとか好きとかだけじゃない所にいるので、ゲイの方々が求め合うところとちょっと似てるのかな。
――お互いについて、「これは男から見ても惚れるな」と思うところはありますか?
平間 今作のポスターやチラシを撮影した時、僕を落とそうと挑んできて。この人と付き合ったら、グイグイ引き寄せてくれるんだろうなって思いました(笑)。
小関 はず~(笑)。当日そんな話はまったくしなかったんですけど、僕はいろんな人を魅了する役柄だったので主導権は僕にあるのかなと思って。撮影の時だけはお兄ちゃんというのは忘れて、とにかく壮一さんを落とそうという気持ちでした。
平間 落ちました(笑)。普段は後輩だから礼儀正しいし可愛らしいし、しっかりしてる印象だったんですけど、この日は裕太も気合入っててグッと引き寄せる力が『あ、男!』って感じでした(笑)。
小関 嬉しいような恥ずかしいような(笑)。
平間 付き合ったらそんな感じなんだろうなって。たぶん女性はみんな大好きです(笑)。
小関 壮一さんは昔からそうですが、優しい。女性にはもちろん男性にもファンの方に対しても優しい。『ハンサムライブ』っていう年に一度のアミューズのコンサートがあって僕は‘12年の18歳の時から参加させてもらってるんですけど、毎回必ずオープニングとラストにそれぞれがメッセージを話すんですね。その言葉に個性が出るんですが、壮一さんは「ありがとう」って感謝の思いを強く持ってらっしゃって、その伝え方もジェントルなんです。ファンの方が欲しい言葉というか、欲しいと思っている感情を撫でてくれる言葉を持ってらっしゃる。当時10代の自分には、かなわないなって。優しい言葉をたくさん持ってらっしゃる方だなあと思います。
――先輩後輩を抜きにして、役者としてお互いを尊敬しているところを教えてください。
平間 入り込む力はすごいなと思います。
小関 (小声で)嬉しい。
平間 演じ方で言うと、たぶん真逆だと思うんですよね。裕太は役に入ると、その役が広がっていく感じ。俺は自分の中に役を入れることしかできないから。ゲイのファッションデザイナーの役だと、自分だったらどうするかが基本になっていて。自分を主体に考えることが多いけれど、裕太は調べに調べ尽くして役に入りこんでいく印象があります。
小関 自分ではあまり意識したことないけど、嬉しいです。壮一さんの舞台は昨年の『ドン・ジュアン』とかいくつも観させていただいてるんですけど、パワーがすごいといつも思います。声もそうですし身体表現もそうですし、もともとダンスをやってらっしゃったから体幹がめちゃくちゃすごいんです。特に『RENT』が好きだったな~。動きはもちろん、意志みたいなものの強さを感じる。カッコいいなあ、僕は同じようには演じられないなあと思いましたね。強かったです。
――今作に参加することで楽しみにしてることや、自分への課題にしたいことは?
平間 舞台を始めた頃は自分が一番歳下で大先輩たちに囲まれていましたが、今回も後輩は裕太と(阪本)奨吾の二人。ほかの先輩たちがこんなに自分をさらけ出さなきゃいけない舞台で、どうやって稽古をしていくんだろうっていうのが楽しみです。課題としては…課題というより家族のようになるというのが目標かな。歌がうまく歌えるようになるとかそういうことじゃなくて、みんながさらけ出せるカンパニーにしたいというのが僕の目標です。一人一人のキャラクターも濃いんですよ。結婚して子供もいるけれど実はゲイというキャラクターもいて、先輩方にとっても課題だと思うんです。みんなが挑戦だと思うので、後輩のいる前で恥かきたくないっていう安全な芝居をするんじゃなくて(笑)、失敗しながら作れるカンパニーにしたいです。
小関 そういう意味では僕は一番年下だからやりやすいかな(笑)
平間 あははは(笑)。
小関 何でも失敗できるから(笑)、ラクかも。僕は…作品を決めるっていうのはすごくエネルギーのいることで、今年は2本のミュージカルに出演しますけどだいたい年に1本はやらせていただいていて。その1本を決めるのって覚悟と思いがないとできないんですね。今回は直感的にやりたい!と思ったことを原動力に、1カ月半の稽古と1カ月の本番の間どっぷりとこの作品と向かい合いたいなと思っています。1年のうちのこの長い期間ってすごく貴重だと思うんですよ。それこそ稽古場で恥をかきまくって、さらけ出しまくって、ズタボロになって見つかるものって何だろうっていうのが一つの楽しみです。たぶんこの期間は、すごく夜が長いと思います。風呂に入っていてもずっと考えているし、寝ていてもたぶん考えてると思うんですよ。ミュージカルの期間って僕にとってそういう期間で、これだけ同じ作品と同じ役に向かい合えることは貴重なことなので。楽しみだなって思っています。
平間壮一
‘90年2月1日生まれ 北海道出身●数多くの舞台、映像で活躍中。本格ミュージカルにも多数出演し、ダンスの実力にも定評がある。最近の主な出演作はミュージカル『RENT』、『イン・ザ・ハイツ』(主演)、『ドン・ジュアン』など。植原卓也・水田航生と共にユニット「3LDK」としても活躍中。
小関裕太
‘95年6月8日生まれ 東京都出身●子役として俳優活動をスタート。ドラマ、映画、舞台に幅広く活躍。最近の主な出演作はドラマ『来世ではちゃんとします』、映画『ライアー×ライアー』、ミュージカル『モンティ・パイソンのSPAMLOT』など。5月7日(土)より日生劇場にて開幕するミュージカル『四月は君の嘘』では主演を務める。
『The View Upstairs -君が見た、あの日-』
‘17 年のオフブロードウェイでの初演以来、全米各地で上演されシドニーやロンドンでも上演された作品が日本初上陸。アメリカ・ニューオーリンズに実在した同性愛者クラブで実際に起きた反同性愛者事件の一つ“アップステアーズ・ラウンジ放火事件”を題材としたミュージカル。現代から突然タイムスリップしてしまう若きデザイナー・ウェス役に平間壮一、ウェスに惹かれていく若き男娼パトリック役を小関裕太が演じる。作・作詞・作曲/Max Vernon 演出・翻訳・訳詞・振付/市川洋二郎 【東京】’22年2月1日(火)~13日(日) 日本青年館ホール【大阪】2月24日(木)~27日(日) 森ノ宮ピロティホールhttps://theviewupstairs
撮影/イマキイレカオリ ヘアメーク/Emiy スタイリング/吉本知嗣 取材・文/駿河良美 構成/中畑有理(CLASSY.編集部)