【漢字】「有卦に入る=ゆうぼくにはいる」は間違い!実は読めない漢字3選

新年あけましておめでとうござい

新年あけましておめでとうございます。今年こそは、かつての日常を取り戻したいというのが多くの方々の願いなのではないでしょうか。この漢字記事では、そんな願いをこめて、おめでたい漢字や言葉を取り上げてみたいと思います。

1.「笑う門には福来る」

最初は、ことわざ「笑う門には福

最初は、ことわざ「笑う門には福来る」です。何と読みますか?

「わらうもんにはふくくる」と読んだ人はいませんか。正解は「わらうかどにはふくきたる」です。「門」を「かど」、「来る」を「きたる」と読むのがポイントですね。このことわざは、「いつもにこにこと笑って暮らす人の家には、自然に幸運がめぐってくる」という意味で使います。「門」は、「門=もん(ゲート・入口)」の奥にある「家」や、そこに住む「家族」そのものを表わします。このように「門」を「かど」と訓読みする言葉には、「御門違い(おかどちがい)」がありますね。「御門違い」は、「尋ねる家を間違って他の家に入る」ことから「見当違い」の意味に使います。また、「来(きた)る」は、古くからある言葉で、同じく古語の「来至(き・いた)る」が変化したものと考えられていますから「やってくる」ということです。
なお、この言葉の由来は、かつての日本のお正月の定番の遊びであった「福笑い」に由来している、という説があります。たしかに正月から一家そろって楽しく遊びに興じる家には、もう幸せがやってきているのかもしれません。笑いや笑顔には、自分だけでなく周囲をも幸せにする力があると言われます。つらく苦しい時こそ、この言葉の意味をかみしめたいものですね。

2.「和気藹藹」

次は「笑顔」つながりで、四字熟

次は「笑顔」つながりで、四字熟語の「和気藹藹」です。「和気藹藹と語り合う」などと使います。二つ重ねた漢字「藹」が常用漢字ではないので、ここがポイントですね。さて、何と読みますか?

「ワキカツカツ」や「ワキモウロウ」と読んだ人はいませんか。正解は「ワキアイアイ」でした。「なごやかに打ちとけた気分が満ちている」意味を持つ言葉です。「和気」が「なごやかな気分」なのはわかるとして、見慣れない「藹」ですが、「アイ」と音読みし、「草木がしげる・多い・おだやか」の意味を持ちますから、「藹藹」にも「和気」と同じ意味が含まれていることになりますね。
なお、別の漢字である「靄(もや)」を使った「和気靄靄」というのもありますが、こちらも「和気藹藹」を同じ読み、同じ意味で使います。

3.「有卦に入る」

最後は、慣用句の「有卦に入る」

最後は、慣用句の「有卦に入る」です。「商売繁盛で有卦に入る」などと使います。これは今回一番の難読漢字です。「卦」が常用漢字外であることに加え、この慣用句自体を聞いたことがないという人も多いことでしょう。さて、何と読みますか?
苦しまぎれに「ユウボクにはいる」と読んだ人が多いのではないでしょうか。正解は「ウケにいる」でした。せっかく「有卦(ウケ)」と読めても、「入る」を「はいる」と読んでしまう人がいますので注意しましょう。「入る」は慣用句やことわざなど古い言い回しの場合(「虎穴に言え入らずんば虎子を得ず」とか「郷に入っては郷に従え」)は、古語の読み方である「いる」と読むことが多いです。
「卦」は占いに使う道具のことですが、この字を含む「有卦」とは、「陰陽道(オンヨウドウ・オンミョウドウ)」という占いの流派で、「幸運が7年間続くという年回り」を意味します。そこに「入る」わけですから、「有卦に入る」で「幸運に恵まれて活気づく」という時に使います。ちなみに、陰陽道では「有卦」の後に「無卦」と呼ばれる「凶年」が5年続くそうですから、今が良くても気を引き締めていかなければなりませんね。

では、今回はこのへんで

《参考文献》
・「広辞苑 第六版」(岩波書店)
・「新明解国語辞典 第八版」(三省堂)
・「明鏡国語辞典 第三版」(大修館書店)
・「新字源」(角川書店)

文/田舎教師 編集/菅谷文人(CLASSY.ONLINE編集室)

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