Kis-My-Ft2 藤ヶ谷太輔さん主演のミュージカル「ドン・ジュアン」が待望の再演! 東京公演の開幕を前に行われた取材会には、女と酒、快楽を求め続けた色男“ドン・ジュアン“を演じた藤ヶ谷さん、共演の真彩希帆さん、鶴見辰吾さん、演出家の生田大和さんが登壇。撮り下ろし舞台写真とともに、会見の様子を全文レポートします!
――いよいよ東京公演が始まりますけれど、まず今のお気持ちを藤ヶ谷さん、お願いします。
藤ヶ谷「そうですね。再演という形で今回やらせていただきますけれども、前回よりすべてにおいてパワーアップしていなきゃいけないというプレッシャーがあるなか、このカンパニー、スタッフならそれをすべて乗り超えていけるなっていう自信がありますので、もちろん安全と安心をしっかり提供しながら、いいパワーをステージ上から皆様にお送りできればなってふうに思っております」
――大阪公演をもう終えているわけですけれども2年前と比べてレベルアップしたな、パワーアップしたなという手応えは感じますか?
藤ヶ谷「手応え、自分で言うんですか? 手応え…いやいや(苦笑)。(演出家の生田さんに向かって)ど、どうですか?」
生田「手応え、十分にございます。あの、初演がこの劇場だったもんですからこうやって2年たって、またこうしてこの会場に来られたことはまず我々嬉しく思っておりますし、マテリアルは2年前から存在した初演と同じものですけれども、太ちゃんの演技、カンパニー全体の演技も2年間という時を経て、より奥行きを深めての公演が大阪だったのかなと私は手応えを感じておりますが。そんな状態で…」
藤ヶ谷「(手応えが)あります! あります!」
――じゃあ呼び方も変わらずという感じですか? 今、“太ちゃん”と出ましたけれど。
生田「すみません。うっかり出ました。“太ちゃん”と呼ばせていただいてます」
――そして、“太ちゃん”のほうは?
藤ヶ谷「僕は“いくちゃん”と呼ばせていただいておりますけど、こういうね、皆様の前では“生田さん”としっかり言わなきゃななんて思ってましたけど。“いくちゃん”で呼ばせていただいてます。はい」
――それをちょっと今なんか苦笑いしてたのは真彩さん、ちょっと戸惑いがあるんじゃないですか?
真彩「いえ、とてもいい感じです(笑)。『なんの会見かしら』っていう(笑)」
藤ヶ谷「(笑)。どれくらいの感じでできるのかっていう…」
――真彩さんは今回が宝塚を退団して初めての公演ということになりますが、いかがですか? 戸惑いだったり、新鮮な驚きだったり。
真彩「そうですね。新鮮な驚きは本当に一日一日いろんなところで感じるんですけれども、あの本当に藤ヶ谷太輔さんはパフォーマーとしてもとてもスターだなって私はご本人にもお伝えしてるんですけども。人を引き付ける魅力というものがドン・ジュアンにつながるということを稽古場からも思ってましたし、温かい藤ヶ谷さんの周りにはとても素晴らしいカンパニーの方がいらっしゃって、スタッフの方々も本当に優しい方々ばかりですし、不安というよりかは早く安全な状況でお客様に観ていただきたいという気持ちが強かったので、毎日本当に幸せに舞台に立てています」
――男性と抱き合うシーンというのはいかがですか?
真彩「でも私、結構いろいろなインタビューのなかでお答えしてるんですけども、人っていうものを男性女性であまり見ていなくって。パフォーマーとして舞台上でやる仲間ってふうに見ているので、男性だからドキドキするっていうよりかは、役としてマリアがドン・ジュアンに対してどう思うかっていうときめきっていうものを毎日とても感じさせていただいております。ありがとうございます」
鶴見「勉強になるな。本当に。私もそう思いました」
真彩「ね、そんな男性女性というより、人として皆さんとご一緒できているのがとても嬉しいので。はい」
――今、「勉強になりました」とおっしゃいましたけど、鶴見さんはどうですか? 2年ぶりの共演というのは?
鶴見「この役というのはね、ドン・ジュアンの役ですけどね。芝居が上手くて歌が上手いだけじゃダメなんですよね。できる人はね、今考えると藤ヶ谷くんしかいないんじゃないかなっていう。だいぶ板についてきて自分のものにしてるなっていうか。本人は謙虚に手応えをなんかぼやかして言ってましたけど、十分手応えがあるとみんなは感じていると思います」
――鶴見さんからご覧になって、藤ヶ谷さんのどの辺が一番成長したなってふうに思いますか?
鶴見「深みですね。人間の深みがドン・ジュアンに出てきた。そこが今回のグレードアップした一番大きな見どころじゃないでしょうかね」
――男性としてもすごく魅力的になりましたよね。見ていて、あの胸筋が…、
藤ヶ谷「胸筋(笑)」
鶴見「あの姿で楽屋袖をうろうろ歩いてる」
(一同、爆笑)
――少しパンプアップしました?
藤ヶ谷「まあちょっと2年前より体は少し大きくなりましたね。はい(笑)。このままだと見どころが胸筋になってしまう(笑)」
――でも、胸筋も見どころのひとつですよね。
藤ヶ谷「まあ確かにそうですね。こんなにはだける衣装もなかなかないですし。男性としての色気を、ドン・ジュアンは常にこう出していないとね。確かに見どころのひとつだと思います」
――真面目な話、2年前はコロナ禍がないなかで普通に公演ができた。今回は緊急事態宣言は明けましたけど、コロナ禍で稽古が始まったと思うんですね。そういうなかで苦労したこととか、2年前とは違う工夫だったりとか何かありましたか?
藤ヶ谷「そうですね。まず気楽にコミュニケーションが取れないですし、初演の頃は稽古が終わってその流れで何人かで食事をして、そこでまたいろいろ話したり、そこで何か生まれるもの、見つけるものっていうのがありましたけど。あと稽古時間も限られてますし。でもそのなかで集中してとにかく短時間でやるというのと、僕はカンパニーの何名かZoomっていうのを初めてやったんです。家でZoomでコミュニケーションをとりながら…。そういう意味で言うともちろん不安な点とか多々ありますけれど、でも前へ前へ進んでいかなくてはいけない。そのなかでみんなで探して、いろいろ見つけられて、やっと東京がスタートするのかなと思ってますけれども」
――生田さん、その稽古も大変だったんじゃないですか? 分けて稽古したりとか。
生田「2年前とは状況が違うけれど、ただそれでも公演の幕を開けるんだというところで開幕に向かってやっていく…。もちろん過去2年前の稽古の様子とは全然違うところはありましたけど、その制限とかそういったものをみんなで乗り越えていくという意味では、実はそこまでの苦労とか大変さはなかったというか。それ以上に、じゃあこの状況に対してみんなで何ができるのか、今自分たちに何ができるのか、乗り越えていくことでまた団結力が増していって絆が深まっていく。そういう稽古場でありたいなと思いましたし、実際に皆さんのご協力で前向きに歩んでこられたというのが稽古を総じての印象ですね。もちろん細かなことでは、たとえば人との距離感だとか、マスクをした中で稽古をしなければいけないので息苦しかったりとか、そういった個々の苦労はあったかもしれませんけれども、でも本当に藤ヶ谷さん…太ちゃん(笑)中心に初日に向かって歩んでこられたというのは、ドン・ジュアンチーム一丸となれたこの道のりが誇らしいことだと思っています」
――後半の盛り上がりというか、カンパニーの一体感はすごかったですね。座長として何か気を使ったりとか? みんなでご飯に行ったりとかできないですもんね。
藤ヶ谷「そうなんですよね。だから打ち上げとかできないし…。あー、チームウエアを作りました。カンパニーとスタッフの皆さんに」
――どんな感じの?
藤ヶ谷「あの『ドン・ジュアン』は薔薇がすごく印象的だったので、自分は絵はまったく描けないんですけど(苦笑)、口で伝えてデザインをやらせていただいて110着くらいですかね、作りました」
真彩「スタッフさんも皆さんそれを着てらっしゃって。キャストもみんな着て、すごい喜んでましたね」
――鶴見さんも着てらっしゃる?
鶴見「まだ着てないんですけど(苦笑)。偉いのはね、前やった初演の時のメンバーにも作ってお渡ししてるんですよ。そういう気遣いが藤ヶ谷くんの何というんですかね、ハートの良さですね」
藤ヶ谷「作らないと前回のマリアと今回のマリアがバチバチしちゃうんで(笑)」
鶴見「モテる男の辛いところなんですよ」
(一同、爆笑)
藤ヶ谷「今カノ、元カノが(笑)」
――どちらも大切にしてるってことですね(笑)
藤ヶ谷「チームなので、僕にとってもカンパニーっていうのは初めてで、皆さまに救っていただいて前に前に進めたので自然とそうなりました」
――再演を迎えて、藤ヶ谷さんにとってより大切な作品になったんじゃないですか?
藤ヶ谷「そうですね。本当に(初演とは)状況が全然違いますし、まず僕らが表現できる場所があるってことに感謝をしたうえですけど、観劇に来てくださる皆さまも細かいルールとかたくさんあるなか、それをしっかり守ってくださって観劇に来てくださるのはすごく嬉しいし、皆さんの期待にしっかり応えられるように。またいろいろな事情があって実際に会場に来られない方もいらっしゃると思いますけど、来れなくてもきっと応援してくれてるんだろうなっていうのを感じながら、毎回毎回ステージに出て暴れることができているので。とにかくいろんな形でたくさんの方々に、日本だけでなく海外の方々にもこの『ドン・ジュアン』という素晴らしい作品を、みんなが命を削ってるエネルギーっていうものをより感じてもらえればなと思ってます。まだ再演の段階ですけど、自分にとっても本当に胸を張って代表作に出会えたなと。生田さんに感謝してます」
――その代表作をキスマイのメンバーは観に来てくれそうですかね?
藤ヶ谷「もちろん来てくれると思います。なんかメンバーもすごく『ドン・ジュアン』好きなんですって。そうなんですよ。再演やるって言ったときに『わあ、やった!』って、宮田、千賀あたりが一番最初に言ってくれました。なんか好きみたいで」
鶴見「男の人が観ると面白いよね」
藤ヶ谷「そうですよね。男性の方とかメンバーにしかなかなか感想を聞くことができないんですけど、なんかすごく楽しみにしてくれてるので頑張んなきゃなって(照れ笑い)」
――またいつかその感想も聞かせてください。
藤ヶ谷「そうですね。何かどこかでお知らせできればなと思います」
――では改めまして、お一人ずつメッセージをお願いできますでしょうか。生田さんからお願いします。
生田「はい。いよいよ赤坂ACTシアターでの初日を迎えるということで、こうして登壇させていただいてるのが藤ヶ谷さん始め、真彩さん、鶴見さんとメインキャストのなかの三人の厳選されたメンバーで挨拶させていただいておりますけど、ただ、この舞台には他にもたくさんのアンサンブルキャストや多くのキャストが出ております。このセットは初演からずっと我々がセビリアのセットとして使わせていただいてるセットで、この床も初演のままで……そうですね、さっき太ちゃんが『命を削って』と言ってましたが、この床に無数の傷あとがついているんですね。カンパニーのメンバーの足跡ですけれども、きっと初演のメンバーの足跡もあるだろうなと思ったりしてるんですけども。初演のメンバーそして再演のメンバー、新しいメンバーも含めて一丸となって今日迎えた初日から大千穐楽まで駆け抜けていこうと思いますので、ぜひ皆さん、どうぞ公演中のご支援のほどよろしくお願いします」
鶴見「このように皆さんの前で演じて舞台の上に立つ喜びをですね、皆さんにお届けしてですね、最後まで千穐楽まで藤ヶ谷くんと他の皆さんとスタッフ、キャストと共にミュージカル、演劇、エンタテインメントの力を皆さんにお届けしたいと思います。どうぞよろしくお願いします」
真彩「(宝塚)退団後の初舞台ということなんですけれども、本当にこんな幸せなことがあっていいのかと思うくらい、素敵なスタッフさんやキャストの皆さんと出会えて毎日がとても幸せです。劇場で演じるということの大切さを改めて今回感じましたので、どうか皆さま、安心できる状況ではないかもしれないですけれども、ご協力いただきまして千穐楽まで無事に届けられるように頑張りますので、最後までどうかよろしくお願いします」
――では締めは、藤ヶ谷さんお願いします。
藤ヶ谷「はい。再演という形で、初演のときよりもすべてにおいて深さとか奥行きを出そうというのがテーマで今回やっています。それはいろいろプレッシャーなところもあったりしますけれども、本当に命を削って、その日にできることをその日に全部出しきってやってます。本当にエネルギーのある作品だと思いますので、ぜひ劇場に観に来てくだされば嬉しいですし、来られない方も心のなかで応援してくださればすごく嬉しいなと思っております。あとは誰一人欠けることなく、大千穐楽までとにかく走りぬきたいと思っておりますので、ぜひぜひ応援のほどよろしくお願いします。ありがとうございました」
(場内拍手)
フォトギャラリー【全6枚】
ミュージカル『ドン・ジュアン』
ヨーロッパを中心に広く知られる「ドン・ジュアン伝説」をミュージカル化した作品。日本では’16年に宝塚歌劇で初上演され、‘19年に藤ヶ谷太輔主演で上演された。今作が自身初のミュージカル作品だったという藤ヶ谷さんが、再び主演を務めている。●スペイン・アンダルシア地方。赤い砂塵の舞う街セビリア。そこにあらゆる女を魅了して、悪徳と放蕩の限りを尽くす男がいた。男の名はドン・ジュアン。彼は今宵も欲の赴くまま、騎士団長の娘を毒牙にかける……。作詞・作曲/フェリックス・グレイ 潤色・演出/生田大和(宝塚歌劇団) 出演/藤ヶ谷太輔 真彩希帆 平間壮一 上口耕平 天翔 愛 吉野圭吾 上野水香(東京バレエ団)
春野寿美礼 鶴見辰吾 ほか。
東京公演:10月21日(木)〜11月6日(土) TBS赤坂ACTシアター http://ww.don-juan2021.jp/
撮影/木村 敦 取材・文/駿河良美 構成/CLASSY.編集室