今月悩み相談を受けていただけるのは「吉田鋼太郎さん」
’59年1月14日生まれ 東京都出身 血液型B型●’97年に劇団AUNを旗揚げ。蜷川幸雄演出のシェイクスピア作品に多数出演し、数々の演劇賞を受賞。’16年、彩の国シェイクスピア・シリーズ2代目芸術監督に就任、『アテネのタイモン』『ヘンリー五世』『ヘンリー八世』を演出。近年の主な舞台出演作は『ムサシ』『シラノ・ド・ベルジュラック』、演出・出演作『アジアの女』『スルース~探偵~』など。映像作品でも活躍し、映画『カイジ ファイナルゲーム』、ドラマ・映画『おっさんずラブ』シリーズ、NHK大河ドラマ『麒麟がくる』などに出演。映画『孤狼の血 LEVEL2』が8月20日(金)公開予定。
今月のアラサー女子の相談は…「彼の携帯をチェックしてしまいます」
ご相談事
頻繫に彼にLINEが入り「友達から」と言うのですが若干怪しく…。悪いと思いつつ携帯を見ると黒ではないけれどグレーみが。勝手に携帯を見るのはやはり後ろめたいので堂々と「心配だからLINE見せて!」と言うべき?(28歳・IT関連勤務)
おこたえ
LINEの一文って妄想が広がる それが一番危険なこと
吉田さんの回答「黒ではないなら悩む必要はない。疑いだすときりがないし、猜疑心は人を苛みますから」
僕は古い人間なんで、二人で一緒にいる時は外部との連絡はとらないことにしてます。それがルールというかエチケットだと思っているので。昔、付き合ってる女性に「食事中にLINEチェックはやめて」と言ったこともあります。相手はムッとしてましたが、渋々ながらやめてくれました。まずはそれで少し解決すると思いますが――。携帯を勝手に見るのは、基本的に人がやっちゃいけないことだよね。やめなさい。グレーなんでしょ? 黒ではないなら悩む必要はない。疑いだすときりがないし、猜疑心は人を苛みますから。努力して信じるしかないと思います。「心配だからLINE見せて」って言うのもおかしいですよね(笑)。怪しいと思うなら直接、聞いてみればいいんじゃないですか。「好きな人を疑っちゃいけないんだけど、あなたのことがあまりにも好きなのでついつい疑ってしまって、悪いと思うんですが疑ってしまった以上、私の心も晴れないので、非常に申し訳ないけれど、誰か私の他に付き合ってる人はいるんですか?」って(笑)。自分の心情をきっちり説明すればいいんじゃないですか。あくまで疑いであって彼氏に非はないので、イリーガルなことを聞きますっていう態度で聞くのが一番早いんじゃないですか?
人ってよくよく話してみないとわからないことがあるし、特にLINEの一文ってすごく妄想が広がる。それが一番危険なことで、自分を追い詰めちゃって精神衛生上もよくない。とにかく携帯チェックはやめたほうがいいね。
蜷川さんを継いで芸術監督に就任した時はやってやるぜ!という気持ちでした
蜷川幸雄さんの後任でシェイクスピア・シリーズの芸術監督に就任した時は、重責だなと思いましたがワクワクする気持ちのほうが大きかったですね。蜷川さんとは20年のお付き合いでしたし、自分の中には蜷川さんの血みたいなものが流れていると自負もしていたので、頼まれるまでもなくやらせてほしい、やってやるぜ!という気持ちでした。蜷川さんと違って、僕は全然厳しくないですよ。稽古は厳しくないですが、わりと細かいんです。役者に一から十まで理解してもらえないと困る。シェイクスピアってわかりにくいと思われがちなので、その先入観を全部なくして、シーンごとに逐一説明して腑に落としていただく。稽古場も和やかだし、やりやすい演出家のはず(笑)。僕は数多くの戯曲の中で一番面白いのがシェイクスピアだと思っていて。登場人物の多彩な個性やストーリーの奇想天外さに加え、現代に通じるリアリズムが根底に流れている。今作でも素晴らしい俳優たちが多彩な役を見事に演じると思うので、ぜひそれを体験してください。
俳優としては『おっさんずラブ』で新しい自分を発見できました。昔はせっかく映像の仕事をするんだからカッコいい役がやりたかったけど、今は自分にとってハードルが高い役、一生やることはないだろうと思っていた役が来るとちょっとドキドキして楽しいですね。僕自身は大雑把で豪快なように思われがちですが、性格もやっぱり細かいです。置いてあるものが一ミリ違わず決まった場所にないと気持ちが悪い。嫁がいつも嘆いてます(笑)。休日はまったく仕事を離れて、映画を観たり犬と遊んだり。最近は大河ドラマがきっかけで乗馬を始めたんですが、いやあ楽しい!生き物に乗って走ってるのがすごく気持ちいいんです。
彩の国シェイクスピア・シリーズ第37弾『終わりよければすべてよし』
’98年以来、芸術監督蜷川幸雄のもとでシェイクスピア全37戯曲の完全上演を目指し、’16年にシリーズ2代目芸術監督に俳優の吉田鋼太郎が就任。ついに最後の作品となる第37弾『終わりよければすべてよし』が上演。出演/藤原竜也 石原さとみ 吉田鋼太郎ほか 演出/吉田鋼太郎●<埼玉>5月12日(水)~29日(土)彩の国さいたま芸術劇場大ホール<宮城>6月4日(金)~6日(日)<大阪>6月10日(木)~13日(日)<豊橋>6月18日(金)~20日(日)<鳥栖>6月26日(土)~28日(月)https://horiprostage.jp/stage/owayoshi2021/
撮影/平井敬治 ヘアメーク/新井はるか スタイリング/尾関寛子 デザイン/Yoshi-des. 取材・文/駿河良美 撮影協力/AWABEES 再構成/Bravoworks.Inc