寒さとともに体調を崩しやすいこの時期。ソーシャルディスタンスやマスク着用などが一般化してきましたが、まだまだ対策はたくさん。今回は著書『一流の人はなぜ風邪をひかないのか』でも知られる医師・裵 英洙先生にすぐはじめられるウィルス予防のための習慣を教えてもらいました。第1回は基本編です!
口を閉じて「鼻で呼吸をする」のがオススメ!
いつも口が開いている人は要注意!
鼻は超高性能空気清浄機であり、加湿器であり、異物除去装置。高価な電気製品の清浄機や加湿器を買うよりも、「鼻の通りを良くしておくこと」にお金を費やしたほうが予防としての投資効果は高いと言っても過言ではありません!
そして鼻の最も重要な機能は「加温」と「加湿」で、この機能は口よりも高いです。冷たく乾燥した空気を口から吸い込むと、そのまま直接のど奥に入りやすく、気道を痛める原因に。
冷たい外気を鼻で吸入すると喉に流れていく過程で、温度30℃前後、湿度90%前後にまで加温・加湿されます。
鼻の通りが悪いと口呼吸に偏り、のどが渇きやすくなります。その結果、喉のバリアが崩れ、風邪ウィルスの侵入を許しやすくなります。
できる限り鼻呼吸を意識して、鼻の保湿機能と異物除去機能を活用することが、予防に繋がります。
鼻はすすらずにかむ
鼻から吸い込まれたゴミやホコリ、細菌、ウイルスなどの異物は、鼻の粘膜の働きで、痰として体外に排出されます。また鼻粘膜で生産される分泌液の中に含まれる物質によって、細菌などが細胞の表面に付着するのを防いでくれます。さらに異物、冷気、刺激物質などが鼻粘膜を刺激すると、くしゃみや鼻汁などの反射を引き落として、喉の奥へ異物を侵入するのを防ぐ働きもあります。
しかし鼻水や痰を飲み込んだ場合、多くは消化管の中で消化液によって分解されますが、異物を体内に取り込むことになってしまうんです。だから鼻水はできる限り飲み込まずに体外に排出しましょう。
顔を触らない
無意識に顔を触っていないか考えてみて。
実は「顔を触る癖」があると風邪リスクが跳ね上がるんです。人は無意識のうちに何度も自分の顔を触っています。(ニューサウスウェールズ大学の)研究によると1時間あたりの顔への接触回数は平均23回。平均接触時間は口が2秒、鼻が1秒、目が1秒と、人は気づかないうちに、想像以上に顔を触っているんです。
ウィルスが付着した手を顔や粘膜や口の周りに持っていくだけで、接触感染の可能性はぐっと上がってしまいます。
うがいをする前に口をゆすぐ
1日3回水でうがいするだけで4割近く風邪予防に効果を発揮できると言われています。しかし、満員電車や会議室など、ウイルスが密集しやすい場所を出た後にいきなり「ガラガラうがい」をすると、ウイルスを喉の奥に押し込む危険性が否定できないんです。
そこで先生が実践しているうがいがこの3ステップ。
①コップに水、もしくはぬるま湯を用意する
②口に水を含み、正面を向いたまま「クチュクチュ」と口の中をすすいで吐き出す
③再度、口に水を含み、顔を上に向けて、ガラガラうがいをする
口の中の汚れとウイルス数を減らしてから、本格的なうがいをする方法です。ランチ後に歯磨きをする人は、歯磨き後にうがいをしましょう。そしてガラガラうがいをするときは必「ガー」と声を出してください。その声が震えたら喉の入り口である口蓋垂(コウガイスイ)の奥に届いている証拠!
同じく、満員電車や会議室などの密閉空間を出た後に飲み物を飲む場合は、うがいをした後で飲むようにするのもアリです!
教えてくれたのは・・・
裵 英洙(はいえいしゅ)MD, Ph.D, MBA
ハイズ株式会社 代表取締役社長
金沢大学第一外科に入局、金沢大学をはじめ急性期病院にて外科医・病理医として勤務。勤務医時代に病院におけるマネジメントの必要性を痛感し、10年ほどの勤務医経験を経て、慶應義塾大学院 経営管理研究科(慶應ビジネススクール)に入学。首席で修了しMBA(経営学修士)を取得。現在、ハイズ株式会社代表として、各地の病院経営の経営アドバイザーとして活躍中。・単著「一流の睡眠」、「一流の人はなぜ風邪をひかないのか?」(ダイヤモンド社)など。
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