あまりにも身近な存在すぎて気にかけることもなかった塩に、すごい力があるらしい?美容や健康への意識が高い人ほどこだわっている塩のすごさについて、今こそ知っておきましょう!
“塩”は生命維持に欠かせない存在
塩には人間が生きていくうえで欠かせない成分が多く含まれており、生命維持に欠かせない存在。塩がなければ生命が存在しない、というくらい重要なものです。塩に含まれるミネラルであるナトリウムとカリウムは、心臓を動かすという重要な役目を持っています。ナトリウムには全身を巡って汚れた血液をキレイにする役割が。塩は人体に必要なミネラル成分の塊であり、不足することはあっても、いい塩であれば摂りすぎるということはありません。うまみ成分の宝庫でもある自然塩は、おいしく好きなだけ食べて問題ありません。
その不調、ミネラルバランスの 崩れが原因かも?
海塩は海水から作られますが、海水には体に必要なすべてのミネラルがバランスよく含まれています。岩塩は地形の変化により海水が岩の中に閉じ込められて吸収されたもの。海塩よりマグネシウムの濃度が低いですが、岩塩を日常的に使っているヨーロッパの人たちは、硬水を飲むことでマグネシウムを補うことができます。日本の水はマグネシウム濃度の低い軟水なので、ミネラルバランスを保つには海塩が理想的。また、女性の悩みとしてよく挙げられる頭痛、疲れ、便秘、立ちくらみなどの症状はマグネシウム不足に関係が。まずは塩をマグネシウム濃度の高いものに変えてみるとよいでしょう。「わじまの海塩」は、マグネシウムの含有量が非常に多く、カルシウムも豊富でおすすめです。
能登の輪島沖50㎞の清浄な海水を100%使用。理想的なミネラルバランスと豊かな旨味でミシュランの星付き懐石料理店をはじめ有名レストランも愛用。わじまの海塩100g ¥500(美味と健康)
精製塩と“塩”の違い、知っていますか?
ここで私が話す“塩”とは「自然塩」のことです。自然塩には「海塩」と「岩塩」がありますが、海塩や岩塩には体に必要なミネラルがバランスよく含まれています。一方、ほとんどの人が“塩”だと思っている「食卓塩」とは工業的に精製された塩化ナトリウムのことで自然塩とはまったくの別物。食卓塩の成分は99%以上が塩化ナトリウムで構成され、海塩や岩塩に含まれているマグネシウムやカルシウムなどのミネラルは含まれていません。日常的に使っているのが自然塩ではなく、精製された食卓塩の場合、体のミネラルバランスに影響を及し、さまざまな健康上の問題を引き起こす可能性も。まずは、塩の違いを理解して上質で栄養価の高い自然塩を選ぶという意識を持ちましょう。
ふだん口にしているものを一度見直そう
江戸時代には、普段は玄米を食べている地方の大名が参勤交代で江戸に行き白米を食べると調子が悪くなる「江戸患い」というものがありました。これは米を精白する際に玄米に含まれていたビタミンBが除去されることによる、ビタミンB欠乏症と考えられています。食を考えるうえでは、その食材全体を体に摂り入れる=「ホールフード」という考え方が大切です。自然塩もまさにホールフードです。ミネラルを取り除いて、塩化ナトリウムだけに精製された食卓塩も白米と同じで本来備わっていた栄養が欠乏しています。体の調子がいまひとつな人は塩だけでなく、白米を玄米に、精製された小麦粉を全粒粉に変えるなど、精白された食べ物を見直してみてはいかがでしょうか。
バスソルトはぜひ取り入れて特に死海の塩がおすすめ
塩のお風呂に入るのはとてもおすすめです。塩には体温を上げる作用もあります。特に「死海の塩」を使ったバスソルトは、長い年月をかけて濃縮された死海の成分のバランスが肌にもよく、体の温まり方も違います。
お話を伺ったのは
お茶の水健康長寿クリニック院長 白澤卓二先生
千葉大学、東京都老人総合研究所、順天堂大学を経てクリニックを開設。千葉大学予防医学講座の客員教授も務める。アンチエイジングの研究でも知られ『長生きできて、料理もおいしい!すごい塩』(あさ出版)をはじめ、著書は300冊以上、テレビ、新聞、雑誌でのわかりやすく幅広い医学的解説が好評を博している。
撮影/河野 望 イラスト/酒井真織 取材/加藤みれい