生理痛は月に1回のこと、と思っていても1年で12回。現代女性が生涯経験する生理の回数は450~500回とも言われています。毎月の生理痛の悩みを改善するためにふだんの生活の中でできることを、著書やwebでの「養生予報」が幅広い層から支持を集めている鍼灸師の若林理砂さんに教えていただきました。
「食周期」を整える!
まず最初にお伝えしたいのは、「コレを食べると生理痛が治る!」みたいなものは残念ながらありません。大切なのは、体内時計を整えてあげること。睡眠もですが食事もある程度決まった時間にとるように心がけましょう。食事も睡眠も一定のリズムで行うことが体にとってはいちばん楽なので、自律神経も整います。
生理痛の原因として1回目の記事でもお話しをした「瘀血(おけつ)」(血流が滞った状態)の症状がある人は、甘いものや脂肪の多いものを控えて野菜を多めに摂るようにしてください。
また、ダイエットによって必要なカロリーがとれていないと「気血(気や血液の流れ)」が低下し、これも生理痛の原因に。動物性たんぱく質の摂取量が足りないと体全体のエネルギーも低下、自律神経のバランスが悪い状態になり痛みを感じやすくなるため生理痛も重くなってしまいます。皮下脂肪は多すぎても少なすぎても女性ホルモンのバランスを崩してしまうもの。体脂肪は20~21%前後をキープすることをお勧めします。また、やせすぎだと更年期の症状も重くなる傾向が。BMIは19.5以上をキープしてほしいと思います。
「夜の11時半」までに寝る!
東洋医学の考え方では寝ている間、特に夜の11時~翌1時の間に血が増やされると考えられているので、遅くても11時半にはベッドに入り、12時までには入眠するようにしましょう。特に「気血」が足りない人はこの時間にしっかり睡眠をとることで血の流れがよくなり、生理痛の緩和につながります。
また、患者さんでも「貧血」の症状を訴える方が多いのですが、立ちくらみなどの症状は正確には「貧血」ではなく、「起立性低血圧」や「自律神経失調症」と言われるものです。これらの症状も「気血」の量を増やすことで改善することができます。
「運動は1日1~2回のラジオ体操」で十分!
最近、女性の間でも腹筋を割るなどハードな筋トレが流行っていますが、激しすぎる運動は「瘀血」をつくってしまいます。筋肉痛を感じる程の負荷を与える運動=筋肉を壊すことは「瘀血」を引き起こすので、週に1,2回に留めるようにしましょう。
毎日行ってほしいのは、筋肉痛を感じるほどの「Traning」ではなくラジオ体操程度の運動=「Practice」。今年、リモートワークが一気に普及したことで運動不足の方が急増し、対策としてウオーキングをしている方も多いと思いますが、ウオーキングは胸から上の運動にはならないのが難点。ウオーキングももちろんいですが全身運動としては、ラジオ体操をお勧めします。
市販の漢方薬をのんでみる!
生理痛に効果のある漢方薬としては3つの薬がよく知られており、市販のものを薬局で簡単に購入することができます。ただ、漢方薬をのむ場合も生理痛の原因が「瘀血」によるものなのか、または「気血」の低下によるものなのかによって選び方が変わります。自己判断せずに一度は漢方薬局か漢方を扱っている婦人科で相談するようにしてください。「瘀血」に効果のある漢方薬としては「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」が、「気血」の低下を改善する漢方薬では「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」と「加味逍遥散(かみしょうようさん)」がポピュラーです。
漢方薬は効果が現れるのが遅いというイメージがあるかと思いますが、服用を始めて早い人で2~3週間で効果を感じられます。なんとなく体に合わなかったり、2カ月服用しても効果が現れない場合はクリニックや漢方薬局で相談して処方を変えるようにしましょう。また症状が改善されたら服用はやめてOKです。
お話を伺ったのは
若林理砂さん
臨床家・鍼灸師。高校卒業後に鍼灸免許を取得、早稲田大学第二文学部卒。自身が主宰する「アシル治療室」での鍼灸治療のほか、東洋医学や武術を学ぶ「Studio Libra」も運営。「東洋医学式 女性のカラダとココロの『不調』を治す養生訓」など著書も多く、女性を中心に幅広い層から支持を集めている。※現在、若林さんの治療室では新規の予約はお受けてしていません。
イラスト/雨月 衣 構成/CLASSY.編集部
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