CLASSY.2016年の5月号の『似合うシャツは〝骨格〟で決まる』企画を皮切りに、抜群の人気を誇る〝骨格診断〟メソッドを基にした、スタイリング紹介ページ。「CLASSY.ONLINE」では特別編として、骨格診断アナリストである本誌ライターの棚田トモコが2020年本誌のスタイリングをすべてチェック!!
前回は、春秋、夏、冬と3つの季節でベストなコーディネートをご紹介しました。
今回は、スペシャル編として、2020年のトレンドを振り返った総論について解説します。
まずは3つの骨格の特徴をおさらい!
2020年の「骨格別の似合う着こなし」を振り返って
【着心地の良さもきちんと感も、そしてちょっといいものも】
サスティナブルやミニマリズム、アースコンシャス、そしてリラックス…。これからの新たな10年に向けたスタートの年でもあった2020年。ハイブランドもブランドの原点や特徴、デザイナーの得意とする表現や好きな時代に戻りながら、新しいデザインを提案したり、サスティナブルをこれまで以上に強く謳ったり。私達もいつものベーシックスタイルにプラスして、そんなスタイルを楽しむはずでした。けれど、想像もしなかった、コロナウィルスの影響で、私たちは春からずっと、これまでにない制約のなかで過ごすことに。“ニューノーマル”と名付けられたそれに、夏はまだまだ戸惑うこともあったけれど、秋になったら、むしろそれが日常になってしまって、今はもう「どうやら、長らくこのままっぽい」と諦めモード。これは諦めではなく、本当にこれこそが日常になってしまった証拠なのかも。
とにかく、これまでとはまったく異なる状況のなかで、会いたい人に気軽に会えなくなり、働き方が変わり…。そうなるともちろんファッションやメークだって変化するのは必須。とくに自粛期間は、外出をほとんどしなくなったことから、私たちはより快適な着心地の服を求めるように。そして、時間ができたことで断捨離をした人も多く、本当に必要な服だけを知った人や、時間があるからこそサスティナブルについてじっくり考えたりしたという人も多かったよう。そういうところから、クローゼットには少数精鋭の服たちだけなのかと思いきや、秋には、数少ない外出にワクワクし、こんなときこそはと以前よりも気合いを入れたファッションをするように。そう、やっぱりオシャレをしたいという気持ちは健在! また、リモートワークという働き方も加わって、“楽ちん”と“きちんと見え”を両立するようなコーディネートをこれまで以上に求めるようになったわけです。そして、新たに買い足す服はちょっといいものになったという人もたくさん。このようなCLASSY.世代のファッションに対する変化をもとに、骨格タイプ別コーディネートを振り返っていきましょう。
【ストレート体型】
ジャケットに頼らないオシャレを考えるべき
2020年のトレンドアイテムの一つ“ジャケット”は、ニューノーマルな生活を強いられたことで、手に取ることが少なくなってしまったアイテムです。きちんと感のあるアイテムの代表・ジャケットはストレート体型の強い味方なので、旬の着こなしと似合うを両立するのには最も便利なアイテム。それを切り捨てるなんて、ストレート体型の人はどうしていたのでしょう。
先日、CLASSY.読者のみなさんに話をうかがう機会がありました。先にもお伝えしたように、家にいることが多くなり、リモートワークが中心になった人も多く、堅苦しい服は一切気分ではなくなったとのこと。堅苦しいとは、言い換えればきちんと見えるということ。去年まではカジュアルなデニムスタイルやワンピースをかっちりとした印象に仕上げたいときは、ネイビーのジャケットに頼っていたはずなのに、この状況になったことで、疲れるようなアイテム、ジャケットはすっかり気分じゃなくなってしまったとのこと。もちろん、フリーランスで仕事をしている人は、「フリーだからこそきちんとした印象にしなくちゃ」とか、「そもそも服装が自由だからこそ旬の着こなしを楽しみたい」ということから、ジャケットのコーディネートを楽しんでいる人もいますが、もはやそれは特別枠。通勤する必要がなく、楽さを一番求める人々にとっては、ジャケットは一番といっていいほど必要ないわけです。ちなみに、通勤派も感染を極力避けるためにひと駅余計に歩くようになったなどの理由から、動きやすさを重視するように。どちらにしても、ストレート体型の便利アイテムであるジャケットは、ちょっとお休み。そこで重宝されたのが、ハイゲージのハイネックニットやシャツ、Vネックニットなどのきちんと見えするアイテムたちです。これらはオンライン会議のときもストレート体型の短い首をすっと長く演出して、すっきりとした美人風に演出してくれる優秀アイテム。それらに、タイトスカートだけれどウエストはゴム仕様とか、ニットパンツだけどストレート体型にぴったりくるハイゲージでハリのあるニットとかを合わせるのが正解。そんな人々の気分をしっかりと拾ってくれたのが、CLASSY.世代の御用達ブランドたち。秋冬はとくに、きちんと見えと着心地の良さを両立したアイテムをずらりとラインナップしていました。ブランドの展示会にお邪魔したところ、この流れは2021年の春夏にも続きます。そしてこれからは、ジャケットの代わりに動きやすいけれど、どこかかっちりと見えるマウンテンパーカが台頭しそう。パンツやハイゲージのニットとも好相性なこのアイテムは通勤派の強い味方です。このように、シャープな雰囲気はしっかりとキープしつつも、着心地が良くて動きやすいというものが増えているので、この状況になって、ストレートタイプの着こなしの幅がぐんと広がりそうです。
【ナチュラル体型】
きちんと感は、レイヤードスタイルが要に
ナチュラル体型は、かっちりとした服よりもゆるっとした服装のほうがそもそも得意。外出する頻度が少なくなったとなれば、苦手なかっちりとしたコーディネートは必要なくなり、より自分に似合うリラックス服を追求できるように。とはいえ、ウェブ会議はもちろん、通勤のときはきちんと感はやっぱり必要。そう考えると、身体からしっかりと泳ぐサイズのシャツはすごく便利なアイテムでしょう。けれど、得意のTシャツやカットソーだって着たい。自粛中の気分はどちらかというとそっちのほうが強かったのでは? でもリモートワークの日にそれを着るとなると、少し工夫をする必要があります。なぜなら、ナチュラルタイプは、カジュアルな服装があまりにハマってしまい、上半身だけが映るオンライン会議などは、それらを一枚で着てしまうと、部屋着感が前面に出がち。だからこそ、“ちょっと気を使っています”というような工夫が必要です。そこで活用したいのがレイヤードテクニック。肩がしっかりとしているので、カットソーにニットベストを重ねたり、スウェットの下からハイネックカットソーやシャツをちらりとみせたり。こうするだけでぐんとよそ行きのスタイリングに。もしくは、存在感のあるジュエリーをプラスするのも、お家時間のコーディネートをアップデートさせるのにひと役。元々ゆるりとしたコーディネートがハマる骨格タイプだからこそ、今までのアイテムにちょっとの付け足しで乗り切れるので、ぜひ少しの足し算をしてみてください。
【ウェーブタイプ】
おうち時間も華やかさを意識
2020年はパフスリーブやレースの襟が特徴のブラウスなど、ロマンティックなデザインも多く見られた年でした。このトレンドは、上半身が薄く、寂しい印象になりがちなウェーブタイプには嬉しいもの。コーディネートを足し算すればするほどサマになる骨格タイプですが、忙しい日はあれもこれも足し算できないときだってあるもの。だからこそ、一枚でキマるトップスを頼りにしたウェーブ体型の方も多いのでは? おうち時間が長くなったときも、リモート会議の日もこんな華やかなトップスが一枚があれば、安心だったはずです。一見するとお家時間が長い日に着るにはスペシャルな気もしてしまうこの類のトップスですが、新しい年は、こんな特別感のある服こそデイリーに着こなすのが流行しそう。
先日伺った各ブランドの春夏の展示会では、たとえば、ワークアウトにも使えるレギンスにシアーなトップスとショート丈の薄軽アウター、そして足元にはあえてビジューがあしらわれたパンプスをあわせるというような着こなしの提案が。ご近所着とされていたようなものが確実にアップデートされています。これ、今の私たちの気分にぴったりではありませんか。―動きやすさと華やかさを両立させた着こなし―そう、外出という行為自体がスペシャルになりつつある今、2021年はスポーティなウェアをドレッシーに仕上げるコーディネートや柔らかく、軽やかな質感のワンピースやスカートがたくさん! パンデミックの暗いムードを払拭するようなポジティブで高揚感のある服を日常に溶け込ませるような着こなしが主流になりそうです。風に揺れるような優しい素材やHAPPY感のある明るい色、たとえばパステルカラーは、ウェーブタイプにばっちりハマるので、ぜひ楽しんでください。
【2021年は、とっておきの一枚をデイリー使いしよう】
これから始まる新しい一年は、機能性や実用性が今まで異常に求められるとともに、家で着ていてもらくちんで快適だけれど、そのまま外出してもばっちり自信をまとえる、クラス感のあるルックがずらり。これまではナチュラル体型に似合うものが圧倒的に多い印象でしたが、2021年はどの骨格タイプにもハマるものが出てきます。ファッションからパワーをもらい、この状況を楽しみながら生き抜いていこうじゃありませんか。ということで、今年も何卒よろしくお願い致します。
解説・執筆したのは…
棚田トモコ
ライター・骨格アナリスト
光文社「CLASSY.」や「JJ」を中心にファッションや美容ページ企画などのライターとして活躍する傍ら、骨格診断ファションアナリスト協会認定校(ICB INTERNATIONAL)にて骨格診断のディプロマを取得。以降〝骨格アナリスト〟としても活動中。ファッション・美容ライターとして培った知識と骨格診断を融合して、いかに今っぽくその人を輝かせるかを提案します。韓国と舞台観劇、チョコレートが大好きで、愛称は〝ティナ〟。