「心中」=「しんちゅう」?or「しんじゅう」?正しい漢字の使い分け方4選

同じ漢字を用いた言葉であっても、読み方が違えば意味が異なるもの。しかし、そうした漢字の“正しい使い分け”を知らずに、何となくで使ってしまっている人が少なくありません。

そこで今回は、特に間違って覚えやすい漢字をピックアップして、その“正しい使い分け”をご紹介します。ぜひ参考にして、正しい使い分けを覚えておきましょう。

1.「自重」

1.「自重」
出典: Yellowj/Shutterstock

「自重」には「じじゅう」「じちょう」といった、2つの使い分けがあります。

まず「じじゅう」と読む場合は「車体や機械などのそれ自体の重さ」を表す言葉です。続いて「じちょう」と読む場合は、軽率なふるまいをしないよう品位を保つことや、自分の身体を大切にすることなどを意味し、「行動や発言を自重する」「どうそご自重してください」といったように使います。

また「自嘲」と書いて「じちょう」と読む言葉もありますが、「自嘲」の場合は「人をあざけ笑う」「軽蔑する」といった意味になるので、混同しないよう注意しましょう。

2.「手練」

2.「手練」
出典: StockLite/Shutterstock

「手練」とは「熟練した、または磨き上げられた腕前」のことを言い、「しゅれん」と読みます。たとえば「手練(しゅれん)の早わざ」といったように使われる言葉です。

そんな「手練」という言葉を使った「手練手管」という四字熟語がありますが、こちらは「てれんてくだ」と読みます。「しゅれんてくだ」ではないので間違えないようにしましょう。ちなみに「手練手管」とは「さまざまな手段で人を巧みにだます技術」や、「意のままに人を操る手段」という意味があります。

3.「心中」

3.「心中」
出典: Oksana Mizina/Shutterstock

「心中」には「しんじゅう」「しんちゅう」という2通りの読み方があり、それぞれ意味が異なります。

まず「しんじゅう」には「相思相愛の男女が、合意のうえで一緒に死ぬこと」という意味があり、「無理心中(むりしんじゅう)」「一家心中(いっかしんじゅう)」といったように使われます。

一方の「しんちゅう」は「心の中」や「まごころ」を示す言葉です。「心中おだやかでない」「心中を明かす」などは「しんちゅう」を使います。

4.「人気」

4.「人気」
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「人気者」「人気商売」といったように、思わず「人気(にんき)」と読みがちなこちらの漢字。ただし、読み方は「にんき」だけではありません。同じ漢字で「人気(ひとけ)」「人気(ひとげ)」と読む場合もあります。

「人気(ひとけ)」は「人の気配」や「人のいるようす」を意味する言葉で、また「人気(ひとげ)」は「人間らしさ」を意味する言葉です。言葉の意味に応じて3つの使い分けがあるため、どのように読むか迷うこともあるでしょう。

そうした場合は、前後の文章から判断すると良さそうです。

 

意外と知っているようで知らない“漢字の正しい使い分け”。あなたはいくつ把握していましたか?

同じ漢字であっても、読み方によって意味がまったく異なるものもあります。そのため、正しい使い分けができていないと、相手に伝えたい内容がうまく伝わらない……なんてことも。

いざという時に迷ってしまわないよう、ぜひこの機会に漢字の正しい使い分けを覚えておきましょう。

 

参考文献
村石利夫『日本語「間違い」辞典 温厚?温好?一所懸命?一生懸命?どっちが正しい!?』(ベストセラーズ)

文/大内千明  画像/Shutterstock(Yellowj、StockLite、Oksana Mizina、Diana Grytsku)

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