仕事で社内や社外の人にメールを送るとき、言葉の使い方に迷ったことはありませんか? メールでは、相手に正しい内容を伝えることだけでなく、自分の立場や相手との関係性にふさわしい言葉を使うことも大切です。
そこで今回は、“よく使われているけれど、実は間違っているメール文面”をご紹介します。正しい例もあわせて載せているので、ぜひメールを送る際の参考にしてくださいね。
1.「(相手に対して)弊社……」
「新人のころ、取引先へのメールに『御社』と使ったら、CCで同時に送っていた先輩から注意を受けました。そのおかげもあって今は迷わず使えるようになりましたが、後輩のメール文章を見ると、やっぱり弊社と貴社、御社あたりはごちゃごちゃになっているときがありますね」(28歳/医薬品メーカー)
「弊社」「貴社」「御社」。これらの違いを迷わず説明することはできますか?
まず「弊社」は、社外の人に対して「自分の会社」を指すときに使う言葉です。
次に「貴社」は、メールで「相手の会社」を指すときに使います。いわゆる「書き言葉」ですね。
そして最後の「御社」は、「貴社」と同じく「相手の会社」を指しますが、こちらは「話し言葉」。打ち合わせや電話で話すときは「御社」を使うのが適切ですが、メールでは「貴社」を使うのが正しいです。
ちなみに「自分の会社」を指すときに「当社」を使う人もいますが、「当社」は社内の人など「身内」に対して使う言葉。これらの言葉を混同しないよう、しっかり覚えておきましょうね。
2.「ご不明な点はございませんでしょうか」
「他社の人でも、結構『ご不明な点はございませんでしょうか』と送ってくる人が多いです。丁寧なつもりなんだろうけれど二重敬語だし、かえって回りくどい……」(29歳/金融)
メールで見かけることの多い「ございますでしょうか」や「ございませんでしょうか」。実はこれらも、誤った使い方なんです。
「ございますでしょうか」は「ございます(『ある』の丁寧語)」と「でしょう(『だろう』の丁寧語)」、2つの敬語が含まれているため二重敬語。「ご不明な点はございますか」など「ございますか」が正しい表現です。
また、「ございませんでしょうか」も「ございますでしょうか」と同じ意味なので「ございますか」とするのが良いでしょう。
3.「伺わせていただきます」
「つい最近まで、メールで普通に『伺わせていただきます』と使っていたのですが、この前異動してきた上司に指摘されて、初めて自分の間違いに気付きました……」(31歳/不動産)
相手先に出向くことを伝えるとき、つい使ってしまいがちな「伺わせていただきます」。「伺う(『訪ねる』の謙譲語)」と「いただく(『もらう』の謙譲語)」では二重敬語になってしまうため誤りです。メールでは「伺います」と記載しましょう。
また「お伺いいたします」もよく使いがちですが、「お(謙譲語)」「伺い(『訪ねる』の謙譲語)」「いたします(『する』『します』の謙譲語)」のため、こちらも適切とは言えません。ですが、厳密には誤りでもビジネスシーンではよく使われている表現です。
4.「お読みしました」
「この間、後輩が取引先へのメールに『お読みしました』と書いていたのが気になって注意しました。意味としては伝わるけれど、言葉遣い1つで相手への印象も変わるので、間違いに気付いたときは教えるようにしています」(32歳/広告代理店)
自分が読んだ側であれば「お読みしました」ではなく「拝読しました」とするのが適切です。ちなみに「拝読する」は「読む」の謙譲表現ですよ。
また、よく「拝読いたしました」「拝読いたします」と書く人もいますが、「拝読(『読む』の謙譲語)」と「いたす(『する』『します』の謙譲語)」で二重敬語になってしまいます。「拝読」の後に続ける言葉にも十分注意しましょうね。
特に急いでいるときなどは、「メールだし、意味が伝われば良いか」と油断しがちな敬語表現。しかし、アラサーになると、その1回の油断が相手との信頼関係に関わる場合もあるでしょう。もし間違って覚えていた表現があれば、この記事を参考に正しい表現を覚えておきましょうね。
文/大内千明 画像/Shutterstock(Roman Samborskyi、Matej Kastelic、ESB Professional、Tymonko Galyna、gamble19)
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