当たり前のように、日常会話で使う言葉。これらの言葉にも、実は漢字表記があるのをご存じでしょうか? 今回は、そんな“口に出して使うけれど、漢字になると読めない言葉”をご紹介します。普段何気なく使っているあの言葉も、漢字になると激ムズに!? ぜひ、いくつ読めるか挑戦してみてくださいね。
1.「悪怯れる」
「悪怯れる」は「気おくれして卑屈な様子」「おどおどする」といった意味を表す言葉です。元々「悪怯る」という言葉が変化して「悪怯れる」になったそうですよ。ちなみに「あくたれる」と読むのは誤りです。
そんな「悪怯れる」の正しい読み方は……
「わるびれる」と読みます。
「悪怯れる」は、よく「悪ぶる(わるぶる)」と意味を間違えがちですが、それぞれ微妙に意味が異なります。「悪ぶる」は「まさしく悪者であるかのように振る舞うこと」。これらの意味の違いについても、覚えておくと良いでしょう。
2.「拱く」
「何も手を出せない」「手出しをせずに傍観している」ことを「拱く」と言います。「拱く」とはよく「手を拱く(何もできずにじっと見ているさま)」といった言い方をする言葉です。あなたも一度は聞いたことがあるかもしれませんね。
思わず「こうく」「きょうく」などと読んでしまいがちですが、正しくは……
「こまねく(こまぬく)」と読みます。
元々は古典語の「こまぬく」が変化してできた言葉で、本来の意味は「胸の前で手を組み合わせること」。そこから、「手をこまねく=何も手を出せない」という意味になったそうですよ。
3.「繙く」
「ばんく」「ひらく」「きつく」など、色々な読み方ができそうな「繙く」。けれども、これらの読み方は誤りです。「繙く」には2つの意味があります。
1つ目が「書物を縛っている紐を開ける」、2つ目は「書物の内容を読む」という意味です。それが最近では「謎を繙く」のように「解明する」「調べる」といった新しい意味も増えつつあります。
そんな「繙く」の正しい読み方は……
「ひもとく」です。
ちなみに、「繙く」の他に「紐解く」と書いても読み・意味ともに同じ言葉になりますよ。どちらかというと「紐解く」の方が、なじみがあるかもしれませんね。
4.「鉄漿」
「鉄漿」と書いて「てっしょう」などと読み間違えてしまいそうなこちらの漢字。「『鉄漿』なんて言葉、知らない……」と思った人もいるのではないでしょうか? 「鉄漿」とは「歯を黒く染めること」を意味します。読み方は、言葉の意味そのままです。
そんな「鉄漿」の正しい読み方は……
「おはぐろ」です。
ちなみに「鉄漿」と書いて「かね」とも読みますが、「鉄漿(かね)」は「鉄漿に使う液」のことを言いますよ。
いかがでしたか? 普段、会話で使うことはあっても、漢字表記になると正しく読むのは難しいものですよね。ただ、漢字表記の場合も覚えておけば、いざという時に読めない……ということもなく、安心です。また、漢字になっても迷わず読めれば、周囲からの印象もアップするはず。ぜひこの機会に、漢字表記と正しい読み方を覚えておきましょうね。
参考文献
根本 浩『エッ、この漢字、みんなそう読むのに、どこが間違い?』主婦の友社
文/大内千明 画像/Shutterstock(fizkes、mimagephotography、oatawa、Efired)
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