何気ない会話の中で、「あの人が使う言葉、何だか素敵だな」と感じたことはありませんか? 同じ意味を表す言葉でも、どういう言葉をチョイスするかによって、相手に与える印象も変わります。
会話をする相手に「素敵だな」「知的な人だな」と感じてもらえたら嬉しいですよね。
そこで今回は、“意味とともに覚えたい小粋な表現の言葉”をピックアップしてご紹介します。
1.「出色」
「出色」という言葉をご存知でしょうか。「出色」とは「ほかより目立って優れていること」を意味する言葉で、たとえば「この映画は出色の出来栄えだ」などと用いられます。
「出色」は物だけでなく「彼は同期の中でも出色だった」など、人に対しても用いられる言葉です。
思わず「でいろ」と読んでしまいがちですが、正しくは……
「しゅっしょく」と読みます。
ちなみに「出色」は、ただ単に優れているだけでなく、「ほかの人や物がかなわないくらい一際優れていること」といった、やや強めのニュアンスで使われる言葉です。
読み方と意味、そして、ちょっとした言葉のニュアンスについても併せて覚えておきましょう。
2.「由無い」
つい素直に「ゆうない」と読んでしまいそうになる「由無い」。「由無い」には「理由のない」「つまらない」「くだらない」といった意味があり、「由無い考え」といえば「くだらない考え」という意味になります。
「由無い」を正しく読むポイントは、「由」の読み方です。「由」は、「ゆう」でも「ゆ」でもありませんよ。正しくは……
「よしない」です。
この「由無い」には、上記以外にも「やむを得ない」「不都合だ」「関係がない」など多くの意味があり、文脈によっても変わります。
出てくるたびに前後の文章から「由無い」の意味を考えるようにしましょう。
3.「眇たる」
たとえば「眇たる島」といったように、「遥か遠くに見える様子」や「ひじょうに小さいさま」のことを「眇たる」と言います。漢字が「目」と「少」から成り立っていることからも、何となく意味は推測できるかもしれませんね。
しかし、意味は推測できても読み方が少し変わっているので読める人は少ないでしょう。
思わず「しょうたる」と読んでしまいがちですが、正しくは……
「びょうたる」と読みます。
また、「眇たる」と似たような言葉に「眇眇たる(びょうびょうたる)」というものもありますが、「眇眇たる」でも意味は「眇たる」と同じです。
4.「贅言」
「贅沢な言葉」と書いて「贅言」。「贅言」には「余計な言葉」や「無駄なことを言うこと」といった意味があり、たとえば「贅言を要しない(わざわざ言う必要のないこと)」といったように用いられます。
ふとした時に「贅言」という言葉が自然に出てきたら、きっと会話相手に知的な印象を与えることでしょう。
そんな「贅言」の正しい読み方は……
「ぜいげん」です。
「贅言」と同じような意味を持つ言葉には、ほかにも「冗語(じょうご)」などがあります。もし余力があれば、「冗語」についても覚えておくと役立つでしょう。
普段はあまり聞き慣れないような言葉もあったのではないでしょうか。しかし、こうした言葉をさらりと読めたり、会話や文書の中でさりげなく使えたりしたら、きっと知的な印象を与えられるはず。
また「文学的な言い回しをする人だな」と思われるかもしれませんね。小粋な表現の言葉、覚えておいて損はありませんよ。
参考文献
日本語倶楽部〔編〕『読めたらスゴイ!漢字1000』河出書房新社
文/大内千明 画像/Shutterstock(Pressmaster、Dean Drobot、ESB Professional、Antonio Guillem)