「箪笥(たんす)」や「鋏(はさみ)」など、普段私たちの身近にあるものでも、漢字表記になると意外と読み間違えてしまう漢字は多いです。
そこで今回は、一度は見聞きしたことがあるはずの“身近なものを表す漢字”をご紹介します。簡単そうに見えて、実は読み間違いの多い漢字ばかり。あなたはいくつ読めるでしょうか?
1.「籤」
「籤」という漢字だけを見ても、いったい何のことなのか……すぐに読める人は多くないでしょう。「籤」とは、物事を決める方法の一つ。
物事を決める方法には話し合いなどがありますが、「籤」は人の直接の意志に関係なく選ぶ方法です。「籤」は、非常に“運”の要素が大きい決め方と言えるでしょう。
あなた自身も、何らかの「籤」を引いたことがあるかもしれません。
そんな「籤」の正しい読み方は……
「くじ」です。
たとえば「あたりくじ」も、漢字では「当たり籤」と表記されます。また、「籤」の音読みは「せん」と読み、本来「当選」は「当籤(とうせん)」、「抽選」も「抽籤(ちゅうせん)」と表記されますよ。
2.「括れ」
「中ほどで細くせばまっていること」、またはその部分を「括れ」と言います。
「括れ」は「くくれ」とも読みますが、今回は「くくれ」以外の読み方を考えてみましょう。たとえば「括れ」は、体の部位についても使うことがあります。よく、ウエストが細い人のことを「括れている」などと言いますね。
そんな「括れ」正しい読み方は……
「くびれ」です。
実は、「腰の括れ」のように「くびれ」という読み方で使うのは例外的で、通常は「くくる」と読むことがほとんど。また、「括」を使う熟語も「括弧(かっこ)」「総括(そうかつ)」など、「くくる」という意味合いの言葉が多いです。
3.「更衣」
「更衣室(こういしつ)」という言葉があることから、「こうい」と読む人の多い「更衣」。確かに「こうい」でも読み方としては正解ですが、今回はもう一つ、別の読み方にチャレンジしてみましょう。
「更衣」の「更」には「変わる」「入れ替わる」といった意味があります。そして「衣」は「衣服」のことですね。服が変わる、入れ替わるといえば?
「更衣」の正しい読み方は……
「ころもがえ」です。
「更衣」という漢字からは、ちょっと想像がつきにくい読み方ですが、知っていると周囲に知的な印象を与えられることでしょう。
4.「竈」
「竈」とは、火を焚いて、鍋などを煮炊きする設備のことを言います。日本では1950年代頃まで一般家庭でも「竈」が使われていましたが、今ではほとんど用いられていません。
ただし、屋外での催し物やレジャー施設に併設されているキャンプ場、和食系の飲食店など、一部の場所では今も「竈」が利用されています。あなたも、これらの場所で「竈」を見たことがあるかもしれませんね。
そんな「竈」の正しい読み方は……
「かまど」です。
また、そのほかに「かま」とも読みます。「かま」もしくは「かまど」と読めれば正解です。
身近なものを表す漢字、あなたはいくつ読めましたか?
特に「括れ」や「更衣」など読み方が複数ある漢字は、読み間違えてしまう人も多かったかもしれませんね。複数の読み方がある漢字は、どの読み方も覚えておけば知的な印象を与えられそうです。
もし今回、読み間違えてしまった漢字があれば、次こそは全問正解できるよう、あらためて正しい読み方を覚えておきましょうね。
参考文献/田中春泥『読めるようで、なぜか読めない漢字』PHP研究所
文/大内千明 画像/Shutterstock(New Africa、88studio、High Mountai)