難読漢字の中には、いかにも難しそうな漢字がたくさん並んでいるものもあれば、シンプルに一文字のものもあります。
「たった一文字なら、何となく読めるかも」と思いますが、意外と読み間違えてしまうケースが少なくありません。一見、読めそうに見えて読めないのが、一文字漢字の特徴だと言えそうです。
今回は、そのような“一文字で読めそうなのに読めない漢字”をご紹介します。
1.「虞」
よく「虜(とりこ)」や「遠慮(えんりょ)」の「慮」と間違えられがちな「虞」。
「虞」には「心配」「良くないことが起きるのではないかという懸念」といった意味があります。
たとえば「今回のトラブルによって、二社の溝が深まってしまう虞がある」といったように使われる言葉です。
そんな「虞」の正しい読み方は……
「おそれ」です。
「虞」はひらがなで表記されることがほとんど。あなたが実際に「おそれ」を用いる場合も、ひらがな表記をおすすめします。
なぜなら、難しい漢字を知っていて使えることも大切ですが、相手に伝える時は、より分かりやすい表現を用いるようにしたほうが良いからです。
2.「漣」
「漣」という漢字を見た時、「“れん”じゃないの?」と思う人もいるかもしれません。確かに「漣」の音読みは「レン」ですが、今回ご紹介したいのは意外と知られていない訓読みのほう。
「漣」の訓読みには「小さな波」という意味があります。水面に広がる「漣」が、太陽に照らされてキラキラと輝いている……そんな美しい「漣」に心を奪われる人はきっと少なくないでしょう。
そんな「漣」の正しい読み方は……
「さざなみ」です。
「水(氵)」が「連なる」と書いて「漣」。漢字の書き方も覚えておくと、役立つ日が来るかもしれません。
3.「熟」
「熟」には「じゅく」をはじめ、いくつかの読み方があります。
たとえば「熟れる(うれる)」「熟れる(なれる)」「熟す(こなす)」など。
ちなみに「熟」一文字で「つらつら(「熟々」と表記されることもあり)」とも読みますが、今回は「つらつら」とは別のもう一つの読み方をご紹介。
「熟」のもう一つの読み方には「心配」「よくよく」といった意味があります。
そんな「熟」のもう一つの読み方は……
「つくづく」です。
たとえば「今後のキャリアプランについて熟(つくづく)と考える」といったように用います。「熟熟」と書いても「つくづく」と読みますよ。
4.「嗽」
「嗽」という漢字を見ても、いまいち何のことなのか想像しづらい人もいるのではないでしょうか。ここで「“口へん”があるから、口に関する漢字かな?」と推理できたらすごいかも!?
風邪予防に「嗽」を習慣づけている人もいるでしょう。「嗽」とは「水を含んで口中をすすぐこと」を言います。
そんな「嗽」の正しい読み方は……
「うがい」です。
ちなみにこの「うがい」ですが、医療の分野では「含嗽(がんそう)」とも呼ばれているそうですよ。
シンプルだけれども、意外と難しい一文字の漢字。あなたはいくつ正しく読めましたか? かえって一文字だけのほうが、想像が難しく読みにくいと感じた人もいるかもしれませんね。
今回ご紹介した漢字のほかにも、読めそうで読めない一文字漢字はまだまだたくさんあります。まずは今回の漢字から、正しい読み方をしっかりと覚えていきましょう。
参考文献
一校舎漢字研究会〔編〕『きっと誰かに教えたくなる読めるようで読めない漢字2500』永岡書店
文/大内千明 画像/Shutterstock(ra2studio、Kelly Headrick、fizkes、Alexander Egizarov)