「新築か、中古か――」マンション購入で誰もが一度は直面するこの選択。新築に憧れるけれど、入居までの期間が長かったり、希望エリアの物件がなかなか出てこないことも。一方で中古は、選択肢が広いぶん“見極め力”がカギに。読者のリアルなエピソードとともに、それぞれの決め手を聞きました。
【新築】物件の候補数を譲った!
見つけることから一苦労!
申し込み作業が膨大すぎた…
賃貸時代から「築浅」、「できれば最初の入居者」を条件にするほど、新築への憧れが強かった私たち。念のため中古も見ましたが、前の入居者の生活感や細かな劣化がやはり気になって…。リフォーム費用の相場感もピンと来ず、早々に新築一本に絞りました。とはいえ、新築マンション探しは予想していた以上にハードモード!まず「どこに建つのか」を探すところから始まり、資料請求、エントリー、事前説明会予約、抽選…とにかく申し込み作業が多い!しかも供給が少なく、比較して吟味したいと思っても、選択肢自体が狭くて。分譲マンションは期分け販売が主流の中、リセールや子育て支援の手厚さを重視して人気の城南エリアで探していたこともあり、見つけた頃には「もう第3期でいい部屋がない…」ということも。毎日のようにSNSや物件サイトに張り付いて新着情報をチェックする日々でした。
モデルルームは3戸ほど見学。決め手になったのは標準仕様の充実度でした。新築は好みの仕様にできるのが最大の魅力とはいえ、実際は多くがオプション扱い。今の物件は床暖房が標準装備で、床材のバリエーションも豊富。追加課金を重ねずとも満足度の高い空間をつくれる点に惹かれました。壁の色をめぐって夫とプチバトルもありましたが(笑)、それも含めて家づくりの醍醐味です。さらに、新築のため省エネ基準適合物件だったことで住宅ローン控除は中古より長い13年間に。子育て・若者夫婦世帯向けの給付制度も新築なのでスムーズに活用でき、数百万円単位で負担が軽減されました。資金面のメリットは、想像以上に大きかったと感じています。物件数は限られるし、完全に情報戦。それでも、一から選び取った住まいは、暮らし始めてからのフィット感が段違い。直感に従って〝新築〟にこだわってよかったと感じています。
E・Hさん(31歳・IT系)
Mさん(34歳・IT系)と2022年に結婚
2023年に新築マンションを購入
【エリア】東京都世田谷区
【間取り・広さ】3LDK・71㎡
【購入金額】 1億5,000万円
【自己資金】 900万円(親援助なし)
【探した期間・内見数】3カ月でマンション4件
【新築】土地の権利を譲った!
定期借地権なら届いた!新築のかっこよさ
お互い転勤がないこともあり、賃貸にお金を払い続けるのはもったいないと感じていました。そんな矢先、隣の部屋の家賃がぐっと上がり、「次の更新でうちも上がるかも」と住宅購入が現実味を帯びてきたことが決定打に。エリアは住み慣れた江東区一択で、近隣で一番かっこいいと思っていた築12年のタワマンを本気で検討しました。外観は洗練され、スカイツリービュー。でも内見してみると、想像していたイメージとは少し違う印象で。内装は築年数相応の雰囲気で、つるっとしたフローリングなどがやや無機質に感じられました。さらに管理費は月5万円で数年後に上昇予定。物件価格は7,500万円でしたが、フルリノベする気にはなれず、単独ローンでこの固定費は重いと感じ、見送ることにしました。
「絶対にここに住むぞ」と意気込んでいただけに、モチベーションは急降下。そんな時に横浜のザ・カハラ・ホテル&リゾートに泊まることに。モダンでホテルならではの洗練された空間に触れて「やっぱりかっこいい家に住みたい」とスイッチが再燃。新築に絞って仕切り直したものの、待っていたのは1億円台の世界。さすがに厳しい…と諦めかけたその時、近所に定期借地権付き新築が建つという情報が…!土地を70年借りて、その間は建物を所有できる仕組み。はじめは「借地って大丈夫なの?」と不安もありました。でも調べると、価格は相場より2〜3割抑えられ、土地分の固定資産税も不要。いずれ実家を建て替える構想もあった私たちには、デメリットよりメリットのほうが大きく映りました。図面を見た瞬間に「これだ」と直感し、その日のうちに内見&申し込み。住み慣れた街、理想通りの間取り、そしてグレージュトーンの〝カハラホテル〟のような空間。私にとって全てが叶った瞬間でした。今は子供が生まれて出費は増えていく一方ですが、憧れの空間で無理なく暮らせていることが心の余裕につながっています。
A・Kさん(28歳・建築業関連)
Kさん(30歳・コンサル)と2022年に結婚
2023年に新築マンションを購入
【エリア】東京都江東区
【間取り・広さ】3LDK・73㎡
【購入金額】7,000万円
【自己資金】100万円(親援助なし)
【探した期間・内見数】4カ月でマンション2件
【リノベ無中古】〝新築信仰〟を譲った!
新築を1年で売却!
中古タワマンで叶えたQOL
購入に踏み切ったきっかけは、愛犬との暮らしでした。ペット可の賃貸を探すと、選択肢は驚くほど少ないうえに家賃も高い。気兼ねなく暮らせる住まいを求めて、「もう買ってしまおう」と購入を決意しました。最初に選んだのは、池袋の新築マンション。私も夫も将来海外駐在の可能性があったので、貸しやすい山手線内側は絶対条件。そして当時の私は、かなりの新築信仰。人生最大の買物だからこそ、〝なんとなく中古は嫌〟という感情をどうしても手放せませんでした。とはいえ現実は甘くなく、予算内で唯一届いたのがその物件。エリアは少し妥協しましたが、約1年探して辿り着いた住まいに「やり切った!」という達成感でいっぱい。しばらくそこに住むつもりだったんです。
ところが入居からわずか1年後、もともとタワマンに憧れていた夫の「住み替えない?」の一言で流れが一変。当時はタワマンと低層マンションの価格差がどんどん広がっていた時期。「今動かなければ、もう手が届かなくなるかも」と思うと居てもたってもいられず、売却を決意。利益は約1,500万円で舞い上がったのもつかの間、物件価格3%分の仲介手数料がかかり、手取りは半減(※1)。資金に余裕があるわけではありませんでした。それでもタワマンという夢は捨てきれず、現実的に浮上した案が中古でした。不安はありましたが、築年数よりも管理体制や修繕計画を重視。きちんと手入れされていれば安心して暮らせるはずだと購入に踏み切りました。入居してみると、そのリアルは想像を遥かに超えるものでした。充実した共用部、安心感のあるセキュリティ、コンシェルジュサービス。建物全体が暮らしを支えてくれる感覚があり、日常のQOLは段違い。あれだけ新築にこだわっていたのに、今は「もう以前の住まいには戻れないかも」と思うほど、タワマンで過ごす心地よさを感じています。
M・Kさん(32歳・IT関連)
Cさん(34歳・エンジニア)と2021年に結婚
2024年に築11年の中古タワマンを購入
【エリア】東京都新宿区
【間取り・広さ】3LDK・73㎡
【購入金額】1億8,000万円
【自己資金】4,000万円(うち親援助1,000万円)
【探した期間・内見数】6カ月でマンション5件
編集部注※1:不動産を5年以内に売却すると、売却益に約39%の税金(短期譲渡所得)がかかります。ただし自宅の場合は「3,000万円特別控除」が適用され課税されないケースもあります。
【リノベ有中古】
新築への憧れ&エリアを譲った!
意外な暮らしやすさに気づいた
隣接区のコスパ物件
私たちの中で、どうしても譲れなかったのが「どの区に住むか」でした。お互いの実家は文京区と豊島区。学生時代から慣れ親しんだ、安心できるエリアです。買うならこの2区のどちらか。正直、アドレスにかなりこだわっていました。ただ、私たちは最初からシングルローン前提。将来子供ができた時のことも考え、あえて堅実な選択をしました。本音を言えば新築に憧れていたけど、その2区では夢のまた夢。必然的に中古物件を中心に探すことになりました。
ところが、ここからが驚くほど大変で。価格を抑えると、デザイン優先でトイレにドアがない大胆設計、かなり年季の入った外観、床一面カーペットの部屋など個性派揃い。築年数は旧耐震基準(※2)こそ避けましたが、築30年まで広げて探しました。それでも人気のある文京区と豊島区。ここだと思うところに買い付けを入れてもタッチの差で2連敗。「もうどうしたらいいの?」と本気で心が折れかけていた頃、不動産会社から「エリアを少し広げてみませんか?」と提案されたんです。紹介されたのは、北区の築15年の未公開マンション。23区の中でもよく知らないエリアに最初は戸惑いましたが、実際に行ってみると印象は一変。文京区が徒歩圏内で実家に近く、スーパーも公園も揃っていて、思いのほか暮らしやすい環境だったんです。その時初めて、〝区名〟より、〝どう暮らせるか〟のほうが大事だと気づきました。室内は使用感がありましたが、「この立地でこの価格ならアリ」と思え、即決。3回目の申し込みで、ようやく購入が決まりました。物件価格を抑えられた分、500万円ほどかけてキッチンや水回り、壁紙を自分たちらしくリノベーションし、完成した内装はまるで新築のよう。もし今、迷っている友人がいたら、胸を張って中古リノベをお勧めしたいです。
R・Kさん(31歳・法律関連)
Tさん(31歳・自営業)と2024年に結婚
2024年に築15年の中古マンションを購入
【エリア】東京都北区
【間取り・広さ】2LDK・58㎡
【購入金額】5,800万円+リノベ500万円
【自己資金】980万円(うち親援助100万円)
【探した期間・内見数】6カ月で15件
編集部注※2:1981年5月31日までに建築確認を受けた建物。
イラスト/雑賀建郎 取材/下田真里衣 編集/越知恭子 再構成/Bravoworks,Inc.
※CLASSY.2026年5月号『「家買うCLASSY.夫婦」リアル奮闘記』より。
※掲載中の情報は誌面掲載時のものです。
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