弘中綾香さん(34)「どうして女ばかり…妊娠中のモヤモヤは止められなかった」【著書『たぶん、ターニングポイント』インタビュー】
発売中の著書『たぶん、ターニングポイント』で、ご自身の妊娠と出産の経験について、等身大の言葉で語っている弘中綾香さん。もともと30代で子どもを産みたいという願望があったものの、今回の妊娠は想定外のタイミングだったそう。天職ともいえるアナウンサーの仕事を中断することに、不安や戸惑いはなかったのでしょうか。仕事と子育てを両立する現在の働き方や、夫婦での協力体制について聞きました。
プロフィール
1991年生まれ。 神奈川県出身。2013年、慶應義塾大学を卒業後、アナウンサーとしてテレビ朝日に就職。入社1年目から『ミュージックステーション』のサブ司会に抜擢され話題となった。オリコンの「好きな女性アナウンサーランキング」では、2019年から5年連続1位を獲得し殿堂入り。『激レアさんを連れてきた。』や『あざとくて何が悪いの?』などの人気番組に続々と出演。現在は、子育てと両立しながらも、多数の番組を担当している。
キャリアを中断する不安より「やれることはやってきた」という自負が大きかった
――著書の中で、弘中さんにとって今回の妊娠は「予期せぬタイミングだった」と書かれていましたが、ご自身のライフプランのなかで、出産や育児のタイミングについてはどのように考えていたのでしょうか?
漠然と、20代のうちはとにかく仕事を頑張りたいと思っていました。会社に入ったとき「アナウンサーという職業は、若いうちにいろいろな経験を積んだほうがいいのかも」と感じたんですよね。そこから一生懸命に働いて、30歳になったころに、一人前になれたという実感があって。ようやくプライベートなことについても考える余裕ができたという感じでした。
――仕事優先だった20代のころから、子どもがほしいという願望はあったんですか?
そうですね。3歳上の姉が2児の母なんですけど、たまに子どもたちに会うとやっぱりすごく可愛いんですよ。うちの母は専業主婦だったんですが、姉はずっと仕事をしながら子育てをしていて。私にとっては、いちばん身近な“働くお母さん”。もちろん大変そうなんですけど「姉にできるなら、私も頑張ればなんとかなるかも!」と希望が持てました。私が素直に「子どもがほしい」と思えたのは、“働くお母さん”の先輩である姉の存在が大きいですね。
――妊娠がわかったとき、一度キャリアが中断されてしまうことに、不安はなかったんでしょうか?
多少感じましたけど、それより「やれることはやってきた」という自負がありました。ここまで頑張ったんだから、私が少し抜けるくらいでゴタゴタ文句を言ってくる人のほうがヤバいなと(笑)。もちろん、実際にはそんな人いませんでしたけどね。私はたまたま、20代で仕事を頑張って、30代で子どもを産むという流れでしたけど、それが逆になってもいいわけですし。自分の人生の“働きどころ”をどこに置くかという話なのかなと思います。
スムーズな仕事復帰には、あらかじめ働ける条件を細かく伝えることが大切
――弘中さんは、娘さんが生後5ヶ月のときに仕事復帰されていますが、すぐに“仕事の勘”は取り戻せたのでしょうか?
それは、大丈夫でしたね。ただ、出産前と同じようなスケジュールで仕事ができないのは悔しかったです。もっと働きたいと思っても、どうしても時間に制限がついてしまうので。でもそれは、受け入れて割り切るしかないこと。だって出産前と同じ働き方をするなんて不可能なんですから。私は、上司や仕事で関係する人たちに、「保育園のお迎えが17時なので、この時間帯しか働けません」とか「夜の稼働は、2週間前には言っておいてもらわないと対応できません」とか、事細かに伝えてあります。今の自分が働ける条件をあらかじめ言っておくと、仕事が円滑に進むような気がします。
――過去のご自分を振り返ってみて、スムーズに仕事復帰するにあたり、妊娠前にやっておいてよかったなと思うことはありますか?
これは、出産するしないにかかわらずですが、やっぱり周りに信頼していただくことがいちばん大切なんじゃないでしょうか。とにかく、日々の仕事をしっかりこなしておけば大丈夫だと思います。一生懸命働いて、損をすることもないですしね。仕事の話ではないんですが、「興味はあるけどハードルが高い」ということは、なるべくやっておいたほうがいいです。今の私は、ヨーロッパ旅行なんて絶対にできないですからね。子どもを連れて10時間以上のフライトなんて、想像するだけでゾッとします(笑)。現地にオリンピックを見に行くとか、富士登山をしてみるとか、少しでもやりたいと思っていることは、挑戦してみてほしいです。
お酒もお寿司もダメな生活に「なんでこんなに不公平なの!?」と嫉妬が
――夫婦関係についてもお伺いしたいのですが、弘中さんは妊娠中、相手に対してどんな思いを持っていましたか?
夫というか、男という生物への嫉妬が募りましたね。私は大好きなお酒も飲めないし、お寿司も食べられないし、お腹が大きくなるにつれてできないことも増えていくのに、「なんでこんなに不公平なの!?」と。ホルモンバランスの影響でメンタルがぐちゃぐちゃだったこともあって、ふだんなら受け流せるようなことにも、いちいち引っかかったりしていましたね。
――そのイライラは、直接ご本人にぶつけていたんですか?
いえ、私が逆の立場だったらどうかなと考えて、なるべく抑えるようにはしていました。本当は「君の妊娠中は、僕もお酒を飲まないし、お寿司も食べないよ」と、自分から言ってくれる人がいいですけどね(笑)。
父親と母親で、親としての自覚の芽生え方が違った
――お子さんが生まれてから、夫婦関係に何か変化はありましたか?
最近、感謝することが増えました。 2歳になった娘は「お腹がすいた」とか「お砂場に行きたい」とか、自分の要望を言葉で伝えられるようになったんですが、夫がそれにちゃんと応えているんです。休日も娘のリクエストに合わせて、公園や水族館に連れて行ってくれたりして。子育てするうえで、かなりの戦力になっています。
――そうなんですね! パートナーが同じ熱量で子育てに参加してくれないことを嘆く女性も多いですが、弘中さんは事前に相手のマインドセットを整えたりしていたのでしょうか?
夫には、“父親になったら読む本”みたいなものを渡しましたけど、成果があったかどうかは正直わからないです。娘が育っていくうちに「パパ、パパ」と言うようになったので、結局それが効果的でした。私は10ヶ月間、お腹の中で一緒にいたし、産後もおっぱいをあげることで「お母さんになったんだ」という実感が持てましたが、夫は娘とコミュニケーションが取れるようになってから、父親としての自覚が芽生えたようです。子ども本人が「パパがいい!」と言うようになれば、こっちのものだなと。
――時間が解決するということですかね。そう割り切って考えられたら、余計な衝突が生まれなさそうです。
私も、今だから言えるだけですけどね。実際、子どもが1歳になる前後までは、かなりピリピリしていたと思います。いつも目の前のことに必死だったし、いわゆる“マザーブレイン”で覚えていないことも多いんですが、たぶん夫には居心地の悪い思いをさせていたと思いますよ(笑)。
男女問わず「“母”ってなんだろう?」と思う人たちに読んでほしい
――最後に、著書『たぶん、ターニングポイント』をどんな人たちに読んでもらいたいか教えてください。
妊娠や出産を控えた方はもちろんですが、男女問わず「“母”ってなんだろう?」と思っている人に読んでもらいたいです。私自身、いざ自分がなってみると、イメージしていた母親像とはまったく違ったので。この本を読んで「こういう“母”がいてもいいんだな」と、思っていただけたらうれしいです。
Information

『たぶん、ターニングポイント』(朝日新聞出版)
定価:1540円(税込)
テレビ朝日アナウンサーの弘中綾香さんが、初めての妊娠と出産を通して感じたことや学んだことを綴ったエッセイ。弘中さんらしい飾らない言葉で、等身大の思いが語られています。
衣装協力
chibi jewels JAPAN(chibi jewels) / ZUTTOHOLIC(STASH JEWELLERY) / yoaa(yoaa)
撮影/杉本大希 ヘア/KIYO IGARASHI メイク/齋藤佳野 スタイリング/髙野夏季 取材/近藤世菜 編集/越知恭子
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