二つの読み方をする漢字、あなたはどのくらい知っていますか? 「一途」と書いて「いちず」と「いっと」、「一期」と書いて「いっき」と「いちご」など、二つ以上の読み方がある漢字は少なくありません。
この記事では、そうした“二つの読み方をする漢字”をご紹介。どんな読み方をするのか、ぜひ一緒に考えてみてくださいね。
1.「正面」
「正面」といえば「しょうめん」、そう読む人もいるのではないでしょうか。
もちろん「正面」と書いて「しょうめん」とも読みますが、ここではもう一つ「真っすぐに向かい合うこと」という意味での「正面」の読み方を考えてみましょう。
この場合の「正面」には「計算や駆け引きをしないこと」「真面目、または正当であること」といった意味もありますよ。
そんな「正面」のもう一つの読み方は……
「まとも」です。または「真面」と書いても「まとも」と読みます。「真(ま)つ面(も)」という意味からきているそうですよ。
2.「静寂」
「静まりかえっていること」や「ひっそりとしていること」を漢字で「静寂」と書きます。
通常は「せいじゃく」と読まれることが多いのですが、たとえば古典文学などでは別の読み方をする場合もあるのです。
ここまでで読み方のイメージが浮かばないという人でも、正解を見たら「知っていた」と感じるかもしれませんね。
そんな「静寂」のもう一つの読み方は……
「しじま」です。たとえば「夜の静寂(しじま)」といったように使われます。
また、「夜の静寂」は「夜の帳(とばり)」と混同しがちですが、「夜の帳」は「夜になって空が暗くなるさま」を意味する言葉です。「夜の帳」についても、「静寂」と併せて意味や漢字を覚えておくと良いでしょう。
3.「石鹸」
「石鹸」といえば、手を洗うときなどに使う「せっけん」を思い浮かべる人が多いことでしょう。
「せっけん」も「石鹸」の正しい読み方の一つです。そんな「石鹸」には、「せっけん」以外にもう一つの読み方があります。
ちなみにもう一つの読み方は、元々ポルトガル語が語源になっているそうです。
そんな「石鹸」のもう一つの読み方は……
「しゃぼん」です。そのため「シャボン玉」を漢字表記にする場合、「石鹸玉」と書きます。
4.「山峡」
「山峡」とは漢字のとおり、「山と山の間の谷間」を意味する言葉です。
この漢字にも同じ意味で二つの読み方があります。一つは「さんきょう」ですが、もう一つの読み方をご存じでしょうか。ヒントは“訓読み”です。「さんきょう」の「さん」は「山」を音読みで読んだ場合の読み方ですが、「山」を訓読みにすると?
そんな「山峡」のもう一つの読み方は……
「やまかい」です。「やま」は読めても「峡」を「かい」と迷わず読める人は少ないかもしれませんね。
難問揃いの“二つの読み方をする漢字”。あなたはいくつ読めたでしょうか? 「一つなら分かるけれど、二つ目の読み方は分からない……」。そうした漢字もあったかもしれませんね。
一般的には一つ目の読み方をすることが多いかもしれませんが、ぜひこの機会に二つ目の読み方も覚えておくと、役立つことでしょう。
参考文献/ことばの森編集室〔編〕「読めない漢字が読める本 分野別読み方便利帖」
文/大内千明 画像/Shutterstock(Khosro、Dudarev Mikhail、Evgenyrychko、PranThira)