仕事中、メールや資料などで分からない漢字が出てきたことはありませんか? すぐに調べられる環境にいる時はまだしも、調べるのが難しかったり、すぐに内容を理解してレスポンスしたりする必要があったら、読めないと困ってしまいますよね。
そこで今回は、会社で使うかもしれない“正しく読みたい漢字”をご紹介します。
1.「件の」
取引先の相手などから「件のお話ですが……」と、言われたことはありませんか?
「件の」とは「以前に話していた例の」という意味があります。つまり相手は「前に話していたあの話ですが……」と、話を振っているのですね。「けんの」ではありませんよ。
正しくは……
「くだん(の)」と読みます。元々「件」は「くだり」と読んでいましたが、段々と変化して現在のように「くだん」と読まれるようになったそうですよ。
2.「潰える」
「計画や希望が壊れる」ことを「潰える」と言います。
「潰れる(つぶれる)」「潰滅(かいめつ)」などといった言葉のイメージから、つい「つぶえる」「かいえる」などと読んでしまいがちですが、正しくは……
「ついえる」と読むのが正解です。また計画に限らず、建物や組織などが崩れる時にも「潰える」という言葉を使うことがあります。
3.「邁進」
辛いことや悲しいことがあっても、日々邁進する……。
そうした「止まらずに進み続けること」や「まっしぐらに進む様子」を「邁進」と言います。この「邁進」と意味を混同しやすい言葉として「精進」がありますが、「精進」は「一つの物事に一生懸命努力すること」を意味する言葉です。
「邁進」と「精進」では微妙に言葉の意味が異なるので使う時は注意しましょう。
そんな「邁進」の正しい読み方は……
「まいしん」と読みます。ちなみに「精進」は「せいしん」ではなく「しょうじん」と読みますよ。
4.「頓に」
「無頓着(むとんちゃく)」「頓珍漢(とんちんかん)」など、「頓」を「とん」と読む言葉が多くあることから、つい「とんに」と読んでしまいがちな「頓に」。
「頓に」には「ひどく」「一段と」といった意味があり、実際に「最近、頓に視力が落ちた」などと用いられます。そんな「頓に」の正しくは……
「とみに」です。誤読の多い漢字ですが、一方で「とみに」と平仮名表記されている場合に「漢字で書くと“富に”かな?」と間違われる場合も。正しい漢字とその読み方をしっかり覚えておきたい言葉です。
ビジネスシーンでは、普段の私生活ではあまり馴染みのない漢字が使われることも少なくありません。
そうした時に困らないためにも、ぜひ正しい読み方を覚えておきましょうね。
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参考文献/日本語倶楽部〔編〕『読めないと恥ずかしい漢字完全制覇本』河出書房新社
文/大内千明 画像/Shutterstock(Mangostar、kornnphoto、Creativa Images)