難読漢字を迷わずに正しく読めるのは良いことですが、その漢字の意味もきちんと理解している人は、どのくらいいるのでしょうか。
漢字はただ読むだけでなく、その漢字の意味を理解したうえで正しく読むことがとても大切です。
そこで今回は、意味とともにしっかりと覚えたい“世間通な言葉の漢字”をご紹介します。
1.「趨勢」
「全体の流れ」や「なりゆき」のことを「趨勢」と言い、ビジネスシーンなどで「世の中の流れ」のことを「世の趨勢」などと用いられることがあります。
「趨勢」の「趨」の読み方はもちろん、「勢」の読み方も気を付けたいポイントです。この場合「ぜい」とは読みませんよ。「趨勢」の正しい読み方は……
「すうせい」です。「勢」という漢字には「いきおい」のほかに「様子」「有り様」といった意味もあります。
2.「膠着」
「ずっと同じ状態のままで、変化がないこと」を「膠着」と言います。よく「膠着状態(物事が進まずに行き詰まること)」などと用いられることがあり、あなたも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
そんな「膠着」の正しい読み方は……
「こうちゃく」です。上記以外にも、「膠着」には「くっついて離れないこと」という意味もあります。ちなみに「膠」一文字で「にかわ」(動物の皮や骨から作られる接着剤)と読みますよ。
3.「耽読」
本などを読んでいて、つい時間を忘れてしまった経験はありませんか? そんな「夢中になって書物を読み耽る(ふける)こと」を「耽読」と言います。
「ふける」というのは「耽」の訓読みですが、では音読みの場合はどういった読み方をするのでしょうか。「耽読」の正しい読み方は……
「たんどく」です。「恥」や「沈」といった漢字と形が似ていることから、「ちんどく」と読み間違えないよう注意しましょう。
4.「敷衍」
思わず「しきこう」と読んでしまいがちな「敷衍」。「敷衍」とは「意味をおし広げること」、また「分かりやすく説明すること」を意味する言葉です。
たとえば「難解な論文を自分なりに敷衍した」といったように用いられます。そんな「敷衍」の正しい読み方は……
「ふえん」です。「敷衍」のほかに「敷延」「布衍」と表記されることもあります。
5.「外連」
「外連」は元々、演劇の演出用語で「一般の人々に気に入られるよう狙った演出」という意味があります。
また現在では「はったり」や「ごまかし」といった意味もあり、「あの人の言うことには外連がない」といったように用いられていますよ。そんな「外連」の正しい読み方は……
「けれん」です。ちなみに「はったりをきかせること」「ごまかすこと」を「外連味(けれんみ)」と言います。
いかがでしたか? 普段はあまり見慣れないような言葉もあったかもしれませんね。
もし今回読めなかった漢字があれば、ぜひ正しい読み方と併せて意味も覚えておきましょう。
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参考文献/日本語倶楽部〔編〕『読めないと恥ずかしい漢字完全制覇本』河出書房新社
文/大内千明 画像/Shutterstock(Quality Stock Arts、fizkes、LOGVINYUK YULIIA、Creativa Images)