漢字の中には“喜怒哀楽”といった感情を表す漢字も多く存在しています。たとえば「痛快」「歓喜」などのように馴染みのある漢字もあれば、一方で読み方が難しい難読漢字も……。
今回は、そんな誤読しがちな“感情を表す漢字”をピックアップ。あなたは何問正解できるかチャレンジしてみてください。
1.「快哉」
「快哉をさけぶ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。「快哉をさけぶ」とは「うまくいったことを喜ぶ」ことを意味する慣用句です。また、この「快哉」という漢字には「非常に愉快なこと」という意味があります。
「快哉」を「かいや」と読んでしまっては誤りですよ。正しくは……
「かいさい」と読みます。「哉」という漢字は、よく「や」と読まれることがありますが、「や」という読み方は「哉」の訓読みです。一方で「さい」は「哉」の音読みにあたります。
2.「呻吟」
「呻る(うなる)」「吟じる(ぎんじる)」と書いて「呻吟」。「呻吟」には、漢字のとおり「苦しんでうなること」という意味があります。「病床で呻吟する」といった使い方のほか「論文が進まずに呻吟する」といった比喩的な表現に用いられることも。
そんな「呻吟」の正しい読み方は……
「しんぎん」です。たとえば良いアイディアが生まれず苦心している時などに、「行き詰っている」「苦しんでいる」と言うよりも「呻吟する」と言った方が、より知的な印象を与えられることでしょう。
3.「怨嗟」
「恨んで嘆くこと」を「怨嗟」と言い、「怨嗟」の「嗟」には「嘆く」という意味があることからこの漢字が用いられています。
「怨念(おんねん)」「怨霊(おんりょう)」など「怨」を「おん」と読む漢字のイメージから、つい「おんさ」と読んでしまいがちですが、正しくは……
「えんさ」と読みます。「怨嗟」以外にも「怨」を「えん」と読む漢字には「怨恨(えんこん)」「私怨(しえん)」などがありますよ。
4.「恬淡」
あなたの周りにサバサバした性格の人はいませんか? 何事にも執着せず、サッパリとしている人。そんな「物事に執着せずあっさりしていること」を「恬淡」と言います。
思わず「かつたん」などと読んでしまいがちですが、正しくは……
「てんたん」と読みます。また、「てんたん」は「恬痰」「恬澹」と表記されることもありますよ。
5.「衷情」
「嘘や偽りのない心のうち」や「本心」のことを「衷情」と言います。
「吏」と「衷」の形が似ているためか、つい「りじょう」などと読み間違えてしまうケースも。そんな「衷情」の正しい読み方は……
「ちゅうじょう」です。ちなみに「衷情」の「衷」という漢字には「まごころ」という意味がありますよ。
いかがでしたか? 普段はなかなか見聞きしないような、あまり馴染みのない言葉が多かったかもしれません。
だからこそ、知っていると一目置かれやすいもの。ぜひこの機会に覚えておきましょうね。
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参考文献/日本語倶楽部〔編〕『読めないと恥ずかしい漢字完全制覇本』河出書房新社
文/大内千明 画像/Shutterstock(Dean Drobot、LTim、ViChizh、fizkes、Tuzemka)