“去年もCLASSY.に取材していただきました„と、覚えていてくださった上白石萌歌さん。舞台の地方公演中に一時帰京したタイミングでの分刻み取材でしたが、ひとつひとつの質問に丁寧にわかりやすく答えてくれて聡明さと優しさを感じました。自らの葛藤も正直に話してくれたインタビュー、CLASSY.読者の心のお守りみたいになればいいなと思います。
「劣等感 どうすればいい」そう検索したこともあるけれどキリがない
周りは魅力的な方ばかりなので、人と比べてしまうこともあります。解決する方法を知りたくて、「劣等感 どうすればいい」と検索したり(笑)。今でも深夜にインスタを開くと「自分以外のみんなは順調そうだな……」と思ってしまうタイプなんです。そんなときは、相手も見えないところで苦労していたり、大変なことがあるんだろうな、と想像してみます。比べたらキリがないし、自分をやれるのは自分だけ。そう捉えると少し気が楽になりますね。
私の家族はどんなこともポジティブに変換する人たちなので、もやもやした気持ちは家族にも話します。悩みや弱音を吐いても、必ずプラスに変えて返してくれるから救われるんです。18歳で出演したドラマ『義母と娘のブルース』は当時の自分にとって大役で、夜も眠れないくらいのプレッシャーと緊張の日々でした。それまでのキャリアで得てきた武器が通用しない試練の中、たくさん叱られて悔しい思いをして、自分に絶望もして、でも前を向いて……を繰り返していた時期も、支えになったのは家族でした。
私自身は元々、ポジティブな人間ではなくて、人見知りでちょっとしたことで悩みがちだったのですが、最近は気持ちが外に開けてきました。今までは周りに気を遣いすぎる部分もありましたが、人に甘えてもいいと思えるようになったり、人と関わることが年々好きになったり。ネガティブに引っ張られることが徐々になくなり、自分でもいい変化だと感じています。
人によって花が咲く時期は違う。努力だけじゃどうにもならないこともあるけれど
でも、「成長したい」とか「自分がより良くありたい」という気持ちがあるからこそ、人は周りと比較してしまうと思うんです。人と比べるのも大事な野心。だから「まぁ、仕方ないか」と受け入れることも大切にしつつ、なるべく潰さずに向かっていきたいと考えています。この世界は、早くに花開く人もいれば、そうではない場合もあって、「自分を咲かせられるタイミングはいつなんだろう?」と悩んだりもしました。芸能界に限らず、世の中には運の流れに左右されたり、自分の努力だけではどうにもならないことがたくさんある。でも、いつ自分にチャンスが訪れるかわからないから、そのときに向けて準備はしておきたい。なかなか難しいですが、思わぬチャンスにもベストを尽くせる自分でいたい……そう思っています。
上白石萌歌さん
2000年生まれ。鹿児島県出身。2011年、第7回「東宝シンデレラ」オーディショングランプリを受賞。12歳でドラマ『分身』(12/WOWOW)にて俳優デビュー。ミュージカル『赤毛のアン』(16)では最年少で主人公を演じた。映画『羊と鋼の森』(18/東宝)で第42回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。主な出演作にドラマ『義母と娘のブルース』(18/TBS)、『教場Ⅱ』(21/フジテレビ)、『警視庁アウトサイダー』(23/テレビ朝日)、『ペンディングトレイン-8時23分、明日君と』(23/TBS)、『パリピ孔明』(23/フジテレビ)、など。adieu名義で歌手活動も行う。
【衣装】シャツ¥132,000Tシャツ参考商品(すべてステラ マッカートニー/ステラ マッカートニー カスタマーサービス)イヤリング¥20,900(ともにジュエッテ)
撮影/水野美隆 ヘアメーク/Reika Sakamoto(Allure) スタイリング/道端亜未 取材/坂本結香 編集/小林麻衣子 再構成/Bravoworks,Inc.