恋愛では男性からのアプローチが欲しいと思ってしまう乙女心。でもその「選ばれたい」願望はいろんな危険をはらんでいる!? CLASSY.世代が心地よい関係を作るうえで必要な、「自分で選ぶ」ことの大切さについて考えました。
私たちはどうして男性から「選ばれたい」と思ってしまうのか?
女性が「相手からアプローチ/告白/プロポーズしてほしい」と思ってしまう原因は、私たちが目にしてきた物語、さらには社会にあった!? 漫画家・瀧波ユカリさんに話を聞きました。
10億円の宝くじが当たったとしてもまだ目の前の男の人に「選ばれたい」と思いますか?
A:男性からグイグイとアプローチされると自分が価値ある人間に思えてうれしくなるのですが、そういう人って自分のペースできているだけで、相手の関心が薄れた瞬間にプツンと関係が切れて…ということが多くて。だったら自分から選んでやる!と思ったのですが、やっぱり「選ばれたい」と思ってしまう自分もいて難しいです…。
瀧波:グイグイくるってことは、その男性は自分が選ぶ側だと思っているわけですよね。そして相手の関心が薄れて関係が切れたというのは、お店に陳列されている商品を手に取ってお会計をする前に「やっぱいらない」と返した状況。
A:え、人間でもない!?
瀧波:そうならないためにお店から街に出ていっても、それって商品が歩いているだけなわけで。まずは商品でいることをやめる必要がありますよね。
A:無意識のうちに自分=選ばれる商品って思っていたかも…。
瀧波:でもこれはAさんのせいではなくて。漫画でも映画でも女性向けのものって主人公が男性から選ばれることがストーリーの要になっていることが多いのですが、それって極端な話、紛争地帯の子供がひたすら戦闘映像ばかり見せられ、5歳ぐらいの段階で「この銃で敵をやっつける!」と洗脳されているのと同じだと思っています。このような洗脳がジェンダーという枠組みの中で起きている。
A:なるほど…怖い!
瀧波:男性がグイグイいくことは悪いこととはされていないけど、女性がこれをやるとまだまだ「あばずれだ!」と言われてしまうのが今の日本。男性にはよしとされていることが女性には適応されない。
A:「この人興味あるかも」程度の段階では自分から動けるようになったのですが、好意が高まると結局相手からのアプローチを欲しがっちゃう(笑)。
瀧波:「ここからはグイグイ来て『選ぶ男』のロールプレイをしてね!」と求めてしまうんですね。その時、Aさんも「選ばれたい女」のロールプレイをしているはず。声とか高くなってません?
A:確かに男友達には「声低っ」なんて言われたりしますが、好意のある人には同じ人間とは思えないトーンで話してます。
瀧波:そもそも私たちが暮らしている社会は、女性は自分軸で頑張るより選ばれるために努力するほうが生きやすくできてしまっている部分もあって。突然ですが、宝くじで10億円当たったら男性への態度って変わると思いませんか?
A:「男たちよ、そこに並べ」と女帝のような気分になりそう。
瀧波:そういうことです(笑)。経済力や自活力があると、「選ばれないと」に捉われなくなる。「最終ひとりでも生きていけるわ」というぐらいの経済力、自活力を持って、お互いが好きで「一緒にいることを選ぶ」ができる人をかきわけて探したいですよね。
\一緒に考えてくれたのは/
漫画家 瀧波ユカリさん
『臨死!!江古田ちゃん』ほか、著書多数。現代の女性を取り巻く現状を高解像度で描く『わたしたちは無痛恋愛がしたい~鍵垢女子と星屑男子とフェミおじさん〜』が各世代の女性読者の共感を集める。
葛藤中読者・Aさん
相手からグイグイ来て始まる恋愛が毎度うまくいかない、迷える33歳。「猿山のボス」的存在に恋しがち。
イラスト/菜々子 取材/岸本真由子 編集/陣内素実 再構成/Bravoworks,Inc.