【漢字】「教科書」は略した言葉だった!?実は知らない意外な「正式名称」4選

私たちが普段使っている言葉を、

私たちが普段使っている言葉を、改めて見直してみた時、「就活」「携帯」「プリクラ」「チューハイ」など、多くの「略語(省略語)」があることに気づきます。「就活」「携帯」ならば、「就職活動」や「携帯電話」という元がまだ見えていますが、「プリクラ」「チューハイ」になると、「プリント倶楽部」や「焼酎ハイボール」はもう思い出せないという人も多いかもしれません。
こうした「略語」は、何も今に始まったことではありません。当初ははっきり「略語」という認識のもとに使われていた言葉も、長い時を経て、もはや「略語」として意識されることがなくなり、一般化してしまった日本語も多くあります。たとえば、学校で使う「教科書」も、元は「教科用図書」ですが、「教科書」として定着していますよね。
今回は、そのような「もう略語と思われていない言葉」を集めてみました。「省略する前ではない、元の言葉」を考えてみてください。

1.「軍手」

最初は「軍手」です。年度末のこ

最初は「軍手」です。年度末のこの時期、引っ越し業者さんでなくても、お世話になることが多い「太い木綿の白糸で編んだ作業用の手袋」です。これ、実は省略語なんです。元の形は何でしょうか?

正解は、「軍用手袋」でした。その名の通り、元は日本の旧陸海軍兵士用に作られたものでした。丈夫なだけでなく左右の区別がないため、どちらか一方が破れたり、また無くしたりしても、片方を取り換えるだけですむので、無駄になりませんね。

2.「切手」

次は、「切手」です。これは「郵

次は、「切手」です。これは「郵便切手」の「郵便」を取ったものでしょう、と思うかもしれません。たしかに、そうですが、「切手」そのものが「略語」です。では、元の形を考えてください。

正解は、「切符手形(きりふてがた)」でした。「切符」と言えば、鉄道などの「切符」が想起されますが、それと同じく、「料金支払い済みであることを証明する券」であるわけです。「手形」は、現代でも「為替手形」「約束手形」などと使われるように、「印形を押した証書」のことです。

3.「経済」

最後は、「経済」です。今回一番

最後は、「経済」です。今回一番の難問です。「日本経済」「経済学部」と使う「経済」ですが、「略語」とは思えないかもしれません。しかし、これも「略語」です。さて、元の形は何でしょうか?

正解は、「経世済民(ケイセイサイミン)」または、「経国済民(ケイコクサイミン)」でした。
明治維新で、日本に欧米の文明が次々と入ってきた時、学問の領域では、さまざまな学術用語を日本語に翻訳する必要に迫られました。「economy(エコノミー)」という言葉を日本語に翻訳する時、参考にされたのが漢文の古典です。「経世済民」「経国済民」は、「世を経(おさ)め民を済(すく)う」「国を経(おさ)め民を済(すく)う」とそれぞれ読み、どちらも「国を治めて民を苦しみから救う」という意味になります。「人間の共同生活に必要な物資・財産を生産・分配・消費する活動」と現代では説明される「経済」という言葉には、本来、そのような「大きな」意味があったことがわかります。

いかがでしたか? この手の言葉はまだまだありますので、また機会があればどこかで取り上げましょう。では、今回はこのへんで。

《参考文献》「広辞苑 第六版」(岩波書店)/「新明解国語辞典 第八版」(三省堂)/「明鏡国語辞典 第三版」(大修館書店)/「新字源」(角川書店)/「難読漢字辞典」(三省堂)/「古語林」(大修館書店)

文/田舎教師 編集/菅谷文人(CLASSY.ONLINE編集室)

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