【長澤まさみさん】久々の恋愛映画で佐藤 健さんと初共演!『四月になれば彼女は』が公開!【スペシャルインタビュー】

映画やドラマ、舞台で様々な役を演じ、幅広い層から支持を集めている長澤まさみさんが話題の映画『四月になれば彼女は』に出演。3月22日の公開を前にスペシャルインタビューを2回にわたってお届けします。インタビュー前編では、10年にわたる愛と別れを描いた今回の映画についてお話を伺いました。

――ベストセラーとなった川村元

――ベストセラーとなった川村元気さんの恋愛小説を原作に、米津玄師さん『Lemon』、あいみょんさん『マリーゴールド』などのミュージックビデオを演出した山田智和さんが監督を務める今作。出演を決めた理由を教えてください。
監督のショートムービーを観たとき、その世界観に惹かれて一緒に作品を作りたいなと思ったことと、信頼している川村さんからのお話だったこともあり、興味を持って出演を決めました。物語自体は川村さんの小説らしいなというか、少しこじらせてはいるけれど共感性を持った人物像が深く描かれていて普遍性があって――。日常の物語だし、ありふれた人生観や悩みがベースにあるんだけど、どこかファンタジーのように感じる独特な世界観はさすがだなあと思ったし惹かれるところがありました。

――久しぶりの純愛ラブストーリーへの出演でしたが、いかがでしたか?
今作は恋をするのを恐れていたり、恋に対して食わず嫌いのような人たちに向けて作られたラブストーリーなのかなと思うんですけど、恋愛に興味がないと言いつつも、人は恋愛にすごく惹かれるんだなっていうところが今の時代を映している作品だと思います。また、そういう人たちにも興味を持ってもらえるような物語だなという印象でした。自分自身、ラブストーリーは久しくやってなかったのでちょっと気恥しさはありましたね。愛することと愛されることに向き合うのは大切なことだなと常々、思うところがありますから、自分もいい勉強になったなと思いました。

――恋人役の藤代 俊を演じた佐藤 健さんとは意外にも初共演です。
‘10年からCMでは共演していて、何年か続いていたので撮影で時々会っていましたし、映画祭でも会っていましたが、作品で共演するのは初めてでしたね。現場では本当に頼りがいのある、いい人でしたよ。でも、いつもカッコイイから…こっちが恥ずかしくなっちゃうんですけど、本当に穏やかでサービス精神旺盛なとてもいい人。歳は二つ下なのかな。昔から、年下の俳優さんで「まさみちゃん」って呼んでくれる人が何人かいるんですけど、その一人です(笑)。でもそうやって接してくれるとこっちも楽ですし、気を使わなくてよくて。ときに年齢のせいでお互いに気を使いあって、もどかしいことがあるじゃないですか。そういうのがまったくないフラットな方でしたね。

――長澤さんが演じた坂本弥生は

――長澤さんが演じた坂本弥生は、幸せや楽しさを感じるとそれをなくしたときのことを思って悲しくなるという女性。弥生を演じるうえで挑戦だったことはありましたか?
弥生の行動が突拍子もなくて(苦笑)。急にいなくなったり、いなくなってからの行動だったり、「そんなことする?」っていう大胆な人なんです。なので冷静に考えるとちょっと理解しがたい部分はあったんですけど、その答えは演じている間に出てきたというか。藤代に対しての愛情が弥生にとってどれほどのものなのかというのが、大切なポイントだと思いました。独特な人だなあと思いながらも、愛情深くてとても純粋な人なんだなあと。ちゃんと愛や恋に対して正直というか、自分の思いに正直に行動している人だとも思いましたね。

――弥生の「幸せになるのが怖い」という恋愛観については、どう思いますか?
自分の幸せを考えたときに「誰かに求めるものなのかな?」って、ある程度大人になれば考えますよね。幸せは自分でもつかみにいけるし自分でやれることも増えていくし、男女の関係性も時代とともに変化しているはずだから、以前とは考え方も違うと思うんです。自分が本当に幸せになる方法って難しくて大事なテーマで、恋人どうしという関係性があるとしたら、やはりお互い寄り添わないといけないから自分だけを押し通せないですよね。そこをどういうふうに共有し合うのかが大切かなと思いました。

――弥生が藤代に問う「愛を終わ

――弥生が藤代に問う「愛を終わらせない方法、それはなんでしょう?」というセリフが印象的でした。長澤さんが思う「愛を終わらせない方法」はなんだと思いますか?
どんな時もお互いに理解しようとする姿勢を持つことかなと思います。そのままにしてしまうと自分のなかの疑問や不安はなくならないし、お互い共有し合わないと解決できませんから、話し合える関係性はいいなあと思いますね。それは恋人どうしじゃなくても、どんな関係にも当てはまることかなと思います。気を使って言わないでおいたとか、そのままにしておいたとかそういう優しさもあるけれど、その関係性を維持していきたい、より成長させていきたいと思うのであれば向き合うことは必要かなと思いますね。
――ご自身は、疑問に思ったことはきちんと口に出して相手に問いますか?
そうですね、友達とそういう話をよくしますね。疑問に思ったときはちょっと巻き戻して「あのとき、こうだったじゃない?」って話し合いができるような友だちしかいなくて。そういう話ができる人としか、友達関係が続いてないと思います。

――全編通して一つ一つの言葉が美しく、登場人物たちの語る台詞が心に残りましたが、長澤さんが印象的だった言葉はありましたか?
やっぱり「愛を終わらせない方法」かな。みんな、先のことを心配しがちですよね。ずっと今を維持したい、安心したいというか、安泰を求めるというか。でも人の心は変化してくものだと思うから、自分の求める理想を相手に強要するのは違うかな。その問い自体がすごく矛盾している言葉でもあるなと思うんです。いい関係性を築きたいと思っている人と共有すべきことなのにって。これは弥生の弱さなのかなとも思います。そういうふうに先の心配をして物事に向き合ってしまうと、築けるものも築けなくなってしまう。言葉って力が強いから、自分が思ったことをどういうふうに伝えるかも重要だと思うんですよね。とってもいい質問だったとしても伝え方が悪いと相手を傷つけてしまって、いい方向へ導かれるはずだったのに相手と共有できなくて破綻していく可能性もある。言葉の責任って、すごく重たいと思うんです。それをうまく扱えるようになるといいなあって、いつも思っています。だからいい言葉を知りたいし、いい言葉を喋る、発することができればいいなあと思いながら…、いつも反省ばかりですね。

――ハイテンションなコメディの

――ハイテンションなコメディの『コンフィデンスマンJP』シリーズやアクションの多い『キングダム』シリーズとはまったく違う色合いの作品でした。今作を通じて、どんな感想をもちましたか?
今作の登場人物はみんな受け身というか、どこかで運命を期待していたり天から何かが降ってくるかのように待っている人たちが多いなと思ったんですよね。自分から行動を移さないで自分の悩みとぶつかっている。恋愛って自分が特別になりたいし自分が一番でありたいし、自分の欲求が強く出てくるものじゃないですか。恋に落ちてるからこそ周りが見えなくなったり、恋に対する理想を描いたり、現実を見られなくなるのが恋の不思議なところだと思うんです。でもどうしてみんな自分が与える側になろうと思わないのかな。与える側になったっていいじゃないってことと向き合わされる感覚が、この作品にはつまってる気がします。

長澤まさみ
‘87年6月3日生まれ 静岡県出身 血液型A型●’00年 第5回「東宝シンデレラ」オーディションでグランプリ受賞。以降、映画やドラマ、舞台で活躍。’04年、映画『世界の中心で、愛をさけぶ』で第28回日本アカデミー賞 最優秀助演女優賞など数々の賞を受賞。最近の主な出演作は『コンフィデンスマンJP』シリーズ、『MOTHER マザー』『マスカレード・ナイト』など。Netflix映画『パレード』が配信中、主演映画『スオミの話をしよう』が9月13日公開予定。

『四月になれば彼女は』
累計40万部を突破したベストセラー恋愛小説の映画化。ウユニ、プラハ、アイスランド、東京とラブストーリー史上最高峰のスケールで紡がれる純愛映画。結婚を控えた精神科医・藤代 俊を佐藤 健、謎の失踪を遂げる藤代の婚約者・坂本弥生を長澤まさみ、学生時代の恋人で世界中を旅する伊予田春を森 七菜が演じる。他の出演/仲野太賀 中島 歩 河合優実 ともさかりえ 竹野内豊ほか。原作/川村元気『四月になれば彼女は』(文春文庫) 監督/山田智和 主題歌/藤井 風「満ちてゆく」●3月22日(金)全国東宝系にて公開

撮影/木村 敦(Ajoite) スタイリング/仙波レナ ヘアメーク/スズキミナコ 取材・文/駿河良美 構成/中畑有理(CLASSY.編集室)

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表紙モデル:山本美月

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