石原さとみさんが4月9日スタートの主演ドラマ『Destiny』(テレビ朝日系・火曜21時)で初の検事役に挑戦! 3年ぶりという待望の連続ドラマ主演を機に、CLASSY. ONLINEでは2回に渡ってインタビューをお届けします。前編では〝20 年の時をかけたサスペンス&ラブストーリー〟という今回のドラマのお話を中心に伺いました。
――石原さんにとって3年ぶりの連ドラ復帰作。オファーを受けたときの率直な感想はいかがでしたか?
スケジュール的に育児と両立できるのかなという面ではすごく不安もありました。その不安は現場に入っても正直ぬぐえなかったんですけど、各部署のこだわりがとても強い現場だなと思って――。監督はじめ照明部、撮影部、音声部ももちろん、お芝居をしている役者さんのひとりひとりからもこの作品にかける思いみたいなものが伝わってくる現場だったので、とてもやりがいのある現場でした。地方ロケもありましたしスケジュール的には大変な現場でしたが、映像を少しだけですが見たら、頑張ってよかったなと救われる気持ちになりました。
――久しぶりに現場に戻られて、改めて感じたことはありましたか?
産後初の仕事は映画の撮影だったんです。その撮影で𠮷田恵輔監督からいろんなことを学んで…本当に貴重な現場だったんですね。お芝居ってこういうものなんだっていうことが知れたというか。それまでは役者の皆さんが「お芝居が楽しい、面白い、映画って最高」って仰っている本当の意味が正直、自分にはその時はわからなかったんですが、今回、それを理解できて知ることができたという喜びがありました。今作は自分にとってそんな大きな気づきを経験してからのドラマだったので、その面白さをこの現場でもう一度追及したいという気持ちになりました。連ドラだとオンエアに追われたり、時間の制限があったり、環境や天気などいろいろあるじゃないですか。だけど今作では皆さん妥協しないというか、監督の指示をはじめ、照明ひとつカメラアングルひとつとっても本当にこだわっていました。そのこだわりが作品をよくするって、皆さんが信じてるんですよね。先ほども言いましたが、各部署の皆さんのこだわりがすごく詰まった現場だったので、恵まれてるなと思いました。
――石原さんが演じた検事の西村 奏は〝愛する人は私がこの手で守り抜く〟という覚悟を持った女性。ご自身も〝愛する人は私が守る〟という強い思いなどに共感するところはありましたか?
正直、独身時代よりは強くなった気がします。やっぱり子どもを産んだことで、命をかけて守っていきたいと思う存在ができたので。奏は誰かが守ってくれるかもって他力本願で生きてきた女性ではないので、自分の大切な人は自分の手で守るっていう強さを持っているところは尊敬できる部分ですね。
――奏の同級生であり、初恋の相手を演じる亀梨和也さんはじめ、豪華な共演陣が揃いました。第一話では大学時代の初めての恋や青春を謳歌する奏の姿も描かれますが、撮影の様子はいかがでしたか?
クランクイン初日の撮影では、大学時代に仲よくなった5人のキャストが勢揃いして、いちばん仲がいい時代を撮らなきゃいけなかったんですよ。初日だし「大丈夫かな?」って感じじゃないですか(笑)。ですけど、めちゃくちゃ気が合ったんです。素晴らしいキャスティングだなと感動しました。皆さんプロフェッショナルだからそういう技術を持っていると思うんですけど、大学生だからちょっと浮き足だたなきゃいけないんです。声のトーンやセリフのテンポ、はしゃぎ具合も。ちょっとジャンプしてみようとか(笑)。そんなふうにしながら仲のよさは絶頂みたいに演じないと、その後のストーリーとのギャップが生まれない。それが一気に仲よくなれたし、その頂点に行くまでがものすごいスピードでした。全9話を通してそれが奏の原動力になるので、そのとき撮った写真はとても大切に〝お気に入り〟に入れてよく見返していました。そんな撮影がクランクイン初日にできたことなど、撮影の間引っ張っていただいたのは確実に亀梨さんなんですよね。亀梨さんがとても盛りあげてくださって、仲良くなるためにみんなをまとめてくださったし、とても笑わせていただきました。役のキャラクターも作品も、そのシーンの重要さもすべてわかったうえでの行動だと思うんですけど、本当に助けていただきましたね。
――なかでも特に心に残っているエピソードはありますか?
みんなでカラオケを歌ってるシーンやドライブしているシーンがあるんですが、その待ち時間もずっと楽しかったんです。最後には5人で車に乗って夕陽を見るシーンがあったんですが、夕陽が出るまでの待ち時間の間、みんなが亀梨さんに歌のリクエストをいろいろとしていて、その中でSMAPの『オレンジ』をリクエストしてくれたんです! グッジョブすぎて!(笑) 最高なリクエストしたなと思ってたら、亀梨さんは歌詞を見ずに歌い上げたんです。その前にもいっぱい歌ってくださってるんですよ。もう大感動しました。私、あの『オレンジ』にどれだけ救われたか。しかも夕陽も出てきてるんですよ!(笑) 素晴らしかったですね。そんな時間をふまえたうえで夕陽のシーンを撮ったんですけど、そのシーンが本当によくて…大好きなシーンです。同世代のとても大人な皆さんが12年前の大学生を演じるうえで、ちょっと浮き足だたなきゃいけないって頑張る感じも一緒だったから、同じ目的を持ったみんなとゴールに向かってその日を過ごせたという感じがして、とってもいい思い出です。本当に幸せな時間でした。
――最後に石原さんからこのドラマの見どころをお願いします。
映画を観ているようなロケーションや映像、長野など都心から離れた場所で撮る景色やそこでのお芝居をとても美しく感じました。映像も見ごたえがあるなと思ったし、サスペンス部分でも全話通していろいろ考察してもらえたら嬉しいです。ラブストーリーとしても、12年前の大学生時代の恋愛から検事として働きだしてからの現在まで、最後はどうなるのか――。運命に翻弄されながら揺れ動いていく感じがとても丁寧に描かれているので、楽しみにしていただけると嬉しいです。
石原さとみ
‘86年12月24日生まれ 東京都出身 血液型 A型●第27回ホリプロタレントスカウトキャラバン「ピュアガール2002」でグランプリ受賞。’03年NHK連続テレビ小説『てるてる家族』でヒロインに抜擢され、以降、数多くの作品に出演。最近の主な出演作はドラマ『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』『恋はDeepに』、映画『決算! 忠臣蔵』『そして、バトンは渡された』など。主演映画『ミッシング』が5月17日公開予定。
『Destiny』
横浜地方検察庁の検事・西村 奏(石原さとみ)は中学生の時に検事の父を亡くしたことをきっかけに母の故郷・長野県に移り住み、地元大学の法学部に進学。そこで出逢った4人の仲間とともに生まれて初めての青春を謳歌する。司法試験のためのロースクール入試を間近に控えたある日、事件が起こり…。奏の同級生であり、初恋相手となる野木真樹を亀梨和也が演じる。●4月9日放送スタート(火曜21時・テレビ朝日系)
撮影/木村 敦 ヘアメーク/猪俣真衣子 スタイリング/宮澤敬子(WHITNEY) 取材・文/駿河良美 構成/中畑有理(CLASSY.編集室)