結婚前だけどセックスレスに悩むカップルが多いワケ【専門家に原因を聞いてみたら】

「したくてもしてもらえない」「してあげたいけどしてあげられない」。今、結婚前のCLASSY.世代カップルの間でも悩む人が多いセックスレス。「そもそもなぜレスになってしまうのか」という点から、専門家に取材しました。

CLASSY.世代の「セックスレス」体験談

お悩み1.「私が拒否してしまいます」

「交際歴2年の彼のことはすごく好きだし大切で、結婚するなら絶対にこの人がいいと思っています。でも数カ月前から彼のことを性的対象ではなく愛しい家族としか見なせなくなり、セクシャルな触れ合いをしたくなくなりました。きっかけを考えてみても思い当たる節はなく、決して彼を嫌いになったわけでもない。だから彼に迫られたときに拒否するのがすごく申し訳ないんですけど、どうしても受け入れられなくて。彼をもう一度性の対象として見られるよう自己暗示をかけてみたり、自分の性欲が高まるように運動を始めたり(笑)してみたのですが努力実らず。彼からは『こんなんじゃ結婚できない』と言われ焦っていて。ネット上に解決策も意外と書かれていなくてすごく困っています」(32歳・広告関連業)

セックスレスの根本的な原因は何?

――セックスレスはどのようなことが原因で起こるのでしょうか?
木村:まず身体的原因とパートナーシップ間の問題の2つがあります。身体的原因は、男性なら心因性勃起不全や射精機能の問題。女性側なら性交疼痛症といって、挿入した際の性器の痛みや、そもそも膣内に挿入することができない挿入障害の場合があります。子宮内膜症や子宮腺筋症などの病気が隠れていることもあるので、そのような方はまずは婦人科の受診をおすすめします。このような状態が継続したり進展してしまうと性欲低下につながり、性に対する嫌悪感まで出てしまうことがあります。それが原因で性行為中にプレッシャーや不安を感じると興奮も消失。これが度重なり、セックスレスにつながっていくと考えられます。

――うまくいかなかったらどうしようとか、相手に悪いなというストレスからくる気持ちということでしょうか。
木村:
そうですね。また、女性に多いのは性に嫌悪感を伴う性欲低下。セックスに関心がないばかりか嫌悪感があるので、これもセックスレスへと向かう大きな原因となります。こちらについては「性嫌悪チェックリスト」を確認してみてください。一般的に女性が性交を受け入れる条件として、相手に対する性欲(ときめき・発情)と相手に対する共感(尊敬・親しみ)の少なくとも一つが必要と考えられています。性嫌悪に陥る女性は、この心の動きがブロックされている状態で、過去のトラウマや幼少期の家族との関わりから来る性認識の歪み、宗教的な理由などから性的な気持ちを遠ざけてしまっていることがあり、これに対しては心理的なアプローチが必要になります。

性嫌悪チェックリスト
☑︎パートナーとセックスする気が起きない、行為に不安や恐怖を感じる。
☑︎セックス中に興奮せず何か冷めた感じになる。
☑︎セックスしてもオーガズムに達しない。
☑︎膣内性交はできるが挿入されると痛みがある。
☑︎マスターベーションをすることに嫌悪感がある。

セックスレス解消のためにできることはありますか?

【原因1】相手の身体的悩みにどちらかが歩み寄っていない

▶︎自分や相手の身体の不調、経験不足を責めたりはぐらかしたりしない。しっかり向き合い、話し合う
勃起の悩み(心因性ED)、性的スキンシップへの抵抗、経験不足などからセックスがうまくいかずレスになるパターン。「実はこういう悩みがあって」と素直に打ち明けることができて、なおかつパートナーがそれに歩み寄ることができれば基本的にはすぐ改善できます。しかし、頑なに自分の状況説明をしなかったり、自分と向き合おうとしなかったり、相手を傷つけたくないという想いから拒否を選択してしまっている人も多く、この場合は改善は難しくなります。本題をはぐらかしていると、いくら話し合いを重ねてもどれだけカウンセリングにお越しいただいても根本が改善しないので問題解決から遠のいてしまいます。まずはお互いがセックスレスの改善に向けて「本気で歩み寄る覚悟」を決めて、自分の体と向き合い、心の内を話しきれるかどうかがポイントとなります。

【原因2】相手のNOを軽視している

▶︎「伝え方を工夫して伝えなおす」「代替案の提示」など、言葉のコミュニケーションを軸に相手の認知の変化を目指す
拒否する側にはそれだけの理由があり、拒否する側からパートナーへすでに伝えたことがある場合が少なくありません。しかしパートナーが「NO」へ十分な理解を示さなかったり〝これくらい我慢できるでしょ〟と軽視してレスにつながっている場合があります。すると拒否する側は自分でもコントロールできないほどに拒否反応が膨れ上がり状況はさらに悪化。NOを軽視する側へ話を聞くと「本気でイヤだとは思わなかった(きっと大丈夫)」「時間が解決してくれると思った(自分は変わらなくていい)」「それって病気だから治療したら?(自分は悪くない)」といった言葉と、確証バイアス(自分に都合のいい情報だけを集める)の傾向が滲み出てきます。まずはこの状態を解消し、伝え方の工夫、NOの代替案の提示、理解してもらえない場合の関係解消について話し合ってみましょう。

状況から逆引き こんな場合はどうしたらいいですか?

イラスト/Erika Skelton 取材/野田春香 再構成/Bravoworks.Inc

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