堀田茜さん「忙しいときほど、寝なくちゃいけないのに眠れない…」睡眠のプロ・小林麻利子さんに相談してみたら…
堀田茜が「30代になってなんだか気になる…」と感じるタイムリーな話題を、今会いたい識者に直接聞きに行く連載11回目。この話、ほったらかしにしなくて良かったと思える日が必ず来るはず!
忙しいときほど寝なくちゃいけないのに眠れない…。オフの日は延々と眠れるのに、なんででしょう?
今回のゲストは...小林麻利子さん
【今月の茜のモヤモヤ案件】
「睡眠をちゃんと取らなきゃ」と焦ってしまいかえってよく眠れません。リズムを整えなきゃとわかってはいるものの、仕事柄不規則な生活で難しい場面も多いし昔から夜型体質です。夜しっかり眠って朝すっきり起きるためにはどうしたらいいですか?
「よく眠れる、と言われることは一通り試したのですが」(茜)
茜:聞きたいことだらけなのですが、まずは小林さんが今の仕事をすることになった理由をお伺いしたいです。
小林:堀田さん大好きなのでお会いできてとてもうれしいです。私は大学卒業後、メーカー勤務の会社員でした。始発で家を出て、帰ってくるのは22〜23時。夜食はスーパーで割引になったお惣菜。ソファで寝落ちして慌ててシャワーを浴び、また少し寝て出社、睡眠不足は当たり前という生活。その結果自律神経失調症と円形脱毛症になり、数日休むことになって。当時は何の健康知識もなかったけれど、さすがにちゃんとお風呂に入って睡眠時間を取ろうと思ったんです。それから4日目の朝、世界が見違えるほどに視界が晴れたんですよ。体が違うことを実感して「これは何事だ…」と思ったのがはじまりです。睡眠についての勉強研究をはじめ、12年前に睡眠改善のカウンセリングをスタートさせました。
茜:お風呂と睡眠の大切さに気づかれたんですね。会社員から睡眠改善を仕事にしようとする思い切りもすごいですが、12年前だとまだ根性論が強かっただろうし、睡眠が重要視されていない時代じゃないですか?
小林:そう。チャレンジでした。
茜:私も一時眠れないことがストレスで思い詰めるまでに至り、寝具を変えたり運動したり瞑想したりアロマを焚いたりと、できることは全部試したんです。それでもちゃんと寝るって難しかった。「今日はよく眠れたな」と思える日は今も年に1、2回です。周りにもそういう友達が多くて、人それぞれ眠れない理由があるんですよね。仕事へのストレスとか、未来に悩んでたりとか。
小林:カウンセリング業務をはじめて12年経ちますが、その間に現代人の睡眠への問題は何も変わっていません。眠りの質が良くなるアイテムが注目されることはあるし、しっかり寝たほうがいいと理解も進みはしたけれど、変わっていないどころか悪くなっているのが現実です。それと、日本の不眠治療は一次選択が薬。でもこれって根本解決ではない。欧米ではまずカウンセリングをして根本の理由を探り解決をするので、日本もそうなってほしいなと思っています。
茜:ということは私が色々やってみたことも、根本を探って改善しないと意味がないですよね?
小林:そうかもしれません。とはいえここでは実践的なことをお話ししていきますね。まずは、日の出後…季節ごとに5〜7時とラグがありますがその頃に起きる習慣をつけること。休日だから遅起きしてしまうと、社会的時差ボケ状態になってしまいます。そして、堀田さんお昼寝はしますか?
茜:します。早朝からのロケがお昼頃に終わって、次の仕事が夕方以降だと、お昼寝に数時間取れるのがうれしくてたまらないです…。
小林:堀田さんは恐らく睡眠負債が蓄積した状態ですが、残念ながらお昼寝は睡眠負債を解消する力は0ですし、長すぎる昼寝は夜の睡眠の質を格段に下げるので、やめましょう。昼寝をするなら昼寝で深い眠りが得られないように机に伏せて休むか、エスカレーターの傾斜角度より高く体を起こした状態で10分だけにしてください。これで午後のパフォーマンスは良くなります。日の出時刻を目安に朝起きる、お昼寝は適切に行う、これを3日続けてみて。とはいえ、お仕事柄難しいことも多いと思うので…。
茜:早朝ロケがあったり、深夜まで撮影があったり、海外に行ったりということもあって。
小林:「寝なきゃやばい」と焦って余計に眠れないと言ってましたね。そういうときは睡眠とは違うことを考えて体をリラックスさせる方へ持っていきましょう。たとえばベッドに入ったら好きな芸能人、好きな物事について思い描くとか。寝る前にそういう妄想をすることはないですか?
茜:あー、今の記憶のまま高校生に戻れたら何をするか考えるのは好きです(笑)。
小林:いいじゃないですか。楽しいですよね。そんなふうにニヤニヤできることを想像しているうちにリラックスして寝てしまうのが理想的です。
茜:寝なきゃって焦るより全然いいし楽しいですね。羊を数えるのって意味ありますか?
小林:羊数えて楽しいですか?
茜:いえ全然。
小林:心を穏やかにすることが大事なので、楽しいことを考えましょう。あとは「りらーっくす」と声に出しながら息を吐く呼吸法で体自体をリラックス状態に持っていくのも良い方法です(詳しい呼吸法については『小林式 マインドフルネス入浴法』/エムディエヌコーポレーションを参照してください)。
茜:小林さんは睡眠のための入浴法もメソッドがありますけど、何か実践しやすいポイントはありますか?
小林:40度ちょうどのお湯に15分浸かること。そうするとその後深いノンレム睡眠に入る回数が増えたという大学の研究結果があるんです。シャワーだけで終わらせるしかないときは、髪を洗っている間に足だけお湯に浸けても良いです。堀田さん、お風呂に入ってから寝るまで何してます?
茜:うーん、スマホいじりながら寝る直前まで1〜2時間はごろごろしてることが多いです。
小林:あまり良くないですね(笑)。動画や漫画を見るならまだいいかな。指先を使うゲームやSNSは刺激が脳に伝わってしまうので避けましょう。でも、せっかくお風呂に入っていい状態を作ったなら、スマホはもうベッドから離れた場所に置いて、リラックスする時間にしませんか?
茜:良くないことだとわかってはいるんです…。でもつい見ちゃう。
SleepLIVE株式会社 代表取締役社長・公認心理師/小林麻利子さん
JCSP日本睡眠カウンセリング主宰。科学的根拠のあるデータを基に生活に合った睡眠や入浴の指導が人気を呼び4,000名以上の悩みを解決。体験カウンセリングも予約可能(青森、東京、新潟、三重、福岡の他オンラインでも)。睡眠研究所を立ち上げ、睡眠研究も行っている。第32回日本睡眠環境学会奨励賞受賞。著書に「不美人習慣を3日で整える 熟睡の練習帳」(G.B.)他多数。TVやイベント出演など幅広く活躍中。
茜/ブラウス¥22,000(CADUNE)パンツ¥22,000(Arpege Story)
※小林麻利子さんの衣装は私物です。
撮影/杉本大希 スタイリング/阿部絵莉香 取材/野田春香 再構成/Bravoworks.Inc