「100点満点が出ない自分の歌」も大切にしようと思えた…EXILE TAKAHIROさんが影響を受けたHIROさんの言葉とは？

—毎日を心身ともにヘルシー＆ハッピーに過ごすために、心掛けていることはありますか？
ここ数年、改めて健康について考えるようになりました。以前は問題なかったものが年齢を重ねると辛くなるというか、若い頃の不摂生が今になって出始めている節があって。お酒もどんどん弱くなってきました。昔はざるのように飲んでいたし、寝落ちすることもなかったのですが、最近は家飲みしているといつの間にか寝てしまうことも。そんな変化もあって、自分の身体について考え直さないといけないな、と。生活習慣を見直すようになりました。

—具体的にどんな生活習慣の見直しをしているんでしょうか？
早寝早起きと、毎日運動をして少しでも汗をかくことは心掛けています。口に入れるものはできる範囲で添加物の少ないものにするよう意識したり。みなさんの中には、運動＝辛い、というイメージの方もいるかと思いますが、1日10分、20分の運動でもいいんです。それを続けることで血流も良くなるし、代謝も上がる。ジムに通ってストイックに鍛えることを想像するとハードルが上がってしまいますが、24時間のうちの十数分だけ、と思えば無理なく続けられるんじゃないかなと。毎日短時間でも運動する習慣を継続すると本当に身体が変わるのでおすすめです。そして、身体だけじゃなく頭もスッキリするのも運動の魅力ですよね。もやもやするときにパッと運動すると気も晴れるし、頭もクリアになって、改善策が見つかりやすい。僕自身、よくジョギングをするのですが、その間にアイディアが浮かぶこともあって。昔はお酒の場で思いついたアイディアを試していましたが、それはあまりいいものではなくて（笑）。運動しながら生まれるものはポジティブに活かせることが多いです。

—1日をヘルシーに過ごすためのモーニング＆ナイトルーティンはありますか？
朝は、必ず冷たい水をコップ1杯飲みます。白湯よりも冷たい方が自分的には調子がいい。最近は、重曹とクエン酸を混ぜて飲むのもこだわりのひとつです。気持ちもシャキッとするし、胃腸が活発になる気もしています。お金がかからないのもいいんですよね。ただ、重曹には飲料用と掃除用があるので、気をつけてください。夜は、寝酒かな。楽しみでもあるので、寝る前は必ず飲んでいます。本当に飲みたくない日は調子が悪いときで、翌日あたりに熱が出たりするんです。寝酒が自分の体調のバロメーターになっています（笑）。

—TAKAHIROさんが考える“幸せ”とは？
コロナ禍もあり、最近は極端に大きな幸せよりも、今まで当たり前に感じていたことが幸せだったんだな、と思います。人に会うこともご飯に行くことも出来ず、お見舞いにすら行けない。当たり前が当たり前じゃなくなる事態を経験して、それまでの日常のありがたみを改めて感じました。些細なことでも幸せに思えると、明日がやってくるだけでも感謝できるんですよね。だから、コロナ禍も工夫次第で今しかできない時間を過ごせるかもしれない、とポジティブに捉えていました。ピンチはチャンスではないですが、前向きに発想の転換をして意識を変えていくと、自分が生きやすくなると思います。

—お仕事で落ち込むことはありますか？ その際の気持ちの切替方法も教えてください。
落ち込むことの方が多い職業な気がします。100点満点が出にくい職業でもあるので、いつも何かしら落ち込んでいる感じです。だから落ち込むことは当たり前にあると捉えて、それ以上に新たな発見を見つけていけば、いいバランスで進んでいけるのかな、と考えています。どんな職業であっても落ち込むことはあると思いますが、それだけに脳を染められてしまうとハートも蝕まれていくから、落胆したとしてもその中で得たものにフォーカスすることが大事かな、と。

—TAKAHIROさんのように長くキャリアを積まれても、100点は出ないものですか？
出ないですね。ちょっと前に制作した楽曲も、時を経て作り直したくなることもあります。どんどんアップデートしたくなるので、本当に答えが見えないし、100％大満足する作品にはたどり着くのはなかなか難しいなと思います。もちろん今回のようにアルバムが出来上がると「満足度の高いものができた！」と感じますが、1年後に聞くと歌詞やアプローチをブラッシュアップしたくなる。その繰り返しですね。

—常に走っているから、過去の自分が後ろに見える感じですか？
そうかもしれません。ファンからすると当時の楽曲の良さも絶対にあると思いますが、アーティスト本人は作品に愛があるからこそ、常によりいいものを追求したいし、その情熱も大きい。僕自身、デビューしたての頃は自分の歌が形になっていない気がしていて、全く満足できていなかったんです。それをやり直したい、と大昔にHIROさんに話したときに、「ファンの人たちは、その頃のTAKAHIROのアプローチや表現力が楽曲と相まった作品を聞いてくれていて、それにはいいも悪いもない。機会があれば新しいアレンジをしてもいいと思うけど、過去が悪いからやり直したいっていう発想は違うんじゃないかな」と言っていただいて。ファンの気持ちを考えず、自分のことしか見えていなかったな、と実感しましたし、届ける先を見据えて楽曲に向き合う大事さにも気づくことができました。