公開中の映画『春に散る』に主演している横浜流星さん。クールなビジュアルと真摯な思いがあふれるインタビューが大反響を呼んでいるCLASSY.10月号では伝えきれなかった未公開カット&コメントをお届けしています。後編では公開前から大きな話題を集めていたボクシングシーンについて詳しくお聞きしました。
――窪田正孝さん演じるチャンピオン中西との試合シーンは壮絶であり圧巻でした。何日もかけて撮影したそうですが、どんなことが大変だったでしょうか。
集中力が本当に必要なんです。集中力をとぎらせないようにするのが本当に大変でした。撮影1日目は1~5ラウンドを撮って、2日目は試合の途中から撮らなきゃいけなかったんですが、朝イチからいきなり6ラウンドを撮るのは無理なので、また4~5ラウンドから撮り始める。その度に汗をかくし疲労がたまっていくんですが、それがいい疲労だったりもするんです。なにより一番勇気づけられたのは、ボランティアで来てくださっていたエキストラの皆さんの応援。本当にパワーになったと思います。
――実際に拳を当てているところもあるという試合シーンは、闘う相手との強固な信頼関係がないとできなかったかと。どんな思いで闘っていましたか?
相手とのキャッチボールなので、芝居と同じだと思います。お互いに熱くなってくると相手の動きも変わってくるから、自分も変えていかないといけないし、怪我をしないようにどこかで冷静でいなければならない。相手がいなきゃ成り立たないことですし、会話はないけれど体でぶつかり合って芝居をしている感覚でした。実際の格闘技でも、格闘家同士が煽りあっていても試合が終われば相手への感謝をする。そういうのっていいですよね。拳を交えてわかり合えるものや格闘家の彼らにしかわかり合えないものがあると思うんですが、自分も翔吾を通してそれを感じられた気がしたのは嬉しかったですね。
――今作の撮影が終わった後もトレーニングを続けてプロボクサーライセンスを取得したことも話題になりました。プロテストを受けた理由を教えてください。
この作品のためです。「このくらい本気で作りあげたんだぞ!」ってことを伝えたかったですし、多くの方に観ていただいて、少しでもボクシングを盛りあげたいっていうそれだけです。
横浜流星
‘96年9月16日生まれ 神奈川県出身 血液型O型●’11年、俳優デビュー。最近の主な出演作は主演映画『アキラとあきら』『線は、僕を描く』『ヴィレッジ』、’22年『流浪の月』では第46回日本アカデミー賞優秀助演男優賞を始め、複数の映画賞を受賞。‘25年にはNHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)〜』で主演を務める。
『春に散る』
アメリカから40年振りに帰国した元ボクサーの広岡仁一(佐藤浩市)と、不公平な判定で負け心が折れていたボクサーの黒木翔吾(横浜流星)。仁一に人生初ダウンを奪われたことをきっかけに、翔吾は仁一にボクシングを教えてほしいと懇願。二人は世界チャンピオンを⽬指し、命を懸けた戦いの舞台に挑む。他の出演/橋本環奈 窪田正孝 山口智子ほか監督/瀬々敬久 原作/沢木耕太郎●全国公開中
【衣装】スーツ¥460,000シャツ¥98,000ネクタイ¥24,200<ともに参考価格>(すべてディオール/クリスチャン ディオール)
撮影/酒井貴生(aosora) ヘアメーク/永瀬多壱(VANITES) スタイリング/伊藤省吾(Sitor) 取材・文/駿河良美 構成/中畑有理(CLASSY.編集室)