8月3日に世界配信が開始された話題の Netflix 映画『ゾン 100〜ゾンビになるまでにしたい 100のこと〜』。主人公・アキラこと天道 輝の親友、ケンチョ(竜崎憲一朗)役を演じた栁 俊太郎さんがCLASSY.ONLINE に登場! インタビュー前編ではユニークなゾンビ作品として大注目の今作の見どころを伺いました。
――ゾンビを主題にした、今回の『ゾン 100』出演のお話が来た時の感想を教えてください。
このお話が来て内容を見た時は、「これをNetflixで『今際の国のアリス』でご一緒させていただいたプロデューサーが携わるなら、相当派手にやるんだろうな」っていうワクワクした気持ちが強かったです。断るなんてまったく考えもしなかったので、即答でやりますと言いましたね。むしろ、やらせていただけるんだって嬉しかったです。キャラクター的には俺で大丈夫なのかなって思ったんですけど(笑)、プロデューサーは「そのまんまだよ」って。そうかな?と思いつつ、期待してくれているならやりたいなと思いました。
――演じられたケンチョは「俺で大丈夫なのかな」と思ったとのことですが、プロデューサーさんとその答え合わせはされたんですか?
『今際の国のアリス』ではカメラが回っていないオフの時はすごいいじられキャラだったので、「その突っ込みが秀逸で面白いんだよ」って言われました。はたから見るとそれがケンチョっぽく見えたらしくて、「栁くんそっくりだよ」って。僕は自覚がないから「そうですか? 僕で大丈夫ですか?」って何回も聞いたんですけど、「いや〜、君は面白いね」って言ってくださったので、じゃあ頑張りますと。
――監督のコメントでは「キャストとスタッフみんなでアイディアを持ち寄った」とありましたが、栁さんはどんな提案をされましたか?
監督の石田雄介さんは元々映像の編集をされていたので撮りながら頭の中で編集しているような方で、「こういう流れでこんな絵が撮りたい」というイメージができているんです。俺はその流れの中に収まればいいから、「感情で動いていいよ。流れの枠から外れたら言うから自由にやってみて」と言ってくださって。それで俺なりの感情で動いてみようって思って、自分なりに考えて演じさせてもらいました。
――だから、漫画ともアニメとも少し違う、栁さんの〝ケンチョ〟という役柄に仕上がっているんですね。
ありがとうございます。
――『今際の国のアリス』で演じられていたラスボス役はかなりぶっ飛んだキャラクターで今回とは全然違う印象でしたが、役柄の振り幅や引き出しを作る点で意識されていることはありますか?
やっぱり新鮮に見られることって大切だなと思っていて。同じことをやれば堅いかもしれないですけど、飽きられちゃうのが僕は嫌で。新鮮なほうが視聴者の方も楽しく見られると思うので、普段から物事をフラットに見て、自分の価値観だけで判断しないように柔軟な気持ちで物事を見るようにしていますね。人の意見を聞いたら取り入れてみる。否定しちゃうと新しい情報が入って来なくなってしまうので、まずは取り込んでみます。10代の頃は〝カッコいいか、カッコよくないか〟みたいな基準で判断していて、カッコよくないものは避けてしまっていたんです。モデルだったらそれでもいいかもしれないけど、役者として生きていくならそうじゃねぇだろって。そういう役を演じなきゃいけなくなったらどうするかって考えたら、いろいろなものに触れて受け入れることが重要だなと気づいて、生き方自体が変わりましたね。
――生き方が変わったとのことですが、変わろうと思ったきっかけは何かありましたか?
そうですね、はっきりしたきっかけがあったわけではないですけど、「俺このままでいいのかな? 役者として面白いことができてるのかな」と思ったというか…。もっといい役者になりたいという気持ちが強く芽生えてきたんでしょうね。そこからわりと柔軟になってきました。きっとカッコつけだったんですね(笑)。プライドも高かったですし。モデルだったらそれでよかったのかもしれないですけど、役者やるなら違うだろうって思ったのがきっかけかもしれないですね。
――『今際の国のアリス』ではいじられキャラだったとのことでしたが、今回の現場はどんな雰囲気でしたか? 撮影中の心に残っているエピソードがあれば教えてください。
今回の現場でもめっちゃいじられました(笑)。北村一輝さんがすごく明るくて面白くていい方なんですけど、北村さんが僕をいじり始めて…そこから(赤楚)衛二も加わって「栁くんって天然ですよね〜」って言い始めて。僕は衛二のほうが天然だと思うんですけどね(笑)。きっと一緒くらいのレベルで天然で、それを北村さんがまとめて「お前ら本当に天然だな!」っていじって。白石さんはそのやり取りを見てクスッて笑っている感じで、すごく楽しい現場でしたね。
――栁さんはインスタグラムで今作の配信開始前に「配信するまでにしたい 100 のこと」というテーマでいくつか投稿されていますが、「今年が終わるまでにこれだけはやりたい」ということを教えてください!
富良野に行きたいと思っていたのは、先日行けたので〝やれたこと〟なりました。あとは、海外に行きたいですね。コロナ禍に入ってから全然行けていないので、海外サッカー観戦とか行けたらいいなと思いますね。
――この作品は「やりたいことができず死んだように働く日常」と「死と隣り合わせだけど、やりたいことができる非日常」という対比があったかと思いますが、突然この環境になったら、栁さんならどのような選択をすると思いますか?
そうですね、主人公のアキラが突然あんな(ゾンビに囲まれた恐怖の)環境に放り込まれたのに、「『やったー!』じゃねえよ」ってみんな突っ込むと思うんですけど(笑)、実はコロナ禍で家から出られなくなった時に「やったー! 明日会社に行かなくていいんだ」って喜んだ人って結構いたんじゃないかなって思うんです。憔悴してる時って、意外と自分ではあんまり気づかないのかもなと。自分も振り返るとそんなことがあったなって今になって思いますし。だからそういう環境になったら、やっぱり僕は人との繋がりを大切にすると思いますね。コロナ禍では地元に帰れなくなったから友達や家族に会いたくなったので、まず「大事な人に会いに行く」という選択をすると思いますね。
――この作品はゾンビがたくさん出てきますが、栁さんが〝ゾンビ”〟にならないために日頃気をつけていることはありますか?
健康的でいることがやっぱり大事かなと。精神的に落ち着くためにも必要だなと思いますね。いろいろ実践してみて、効くかはわからないけど朝は早起きして日光浴びてみるとか。調べてみるとどんどん興味も出てくるし、試すモチベーションも出てきますし。あとは人に優しくしなきゃいけないなとか、一番忘れちゃいけないことを忘れないようにしています。当たり前のことが大事だったということをコロナ禍でみんな感じたと思うので。
――激務に耐え、パワハラを受けながらも自分の声を押し殺してずっと働き続けていたアキラが変化していく姿に背中を押される人もいると思うのですが、現代にこの作品を届ける意味は何だと思いますか?
自分を押し殺して生きてる人が多いから、〝少しは自分を開放して生きてもいいんじゃない?〟というのがメッセージだと思うので、見た方がもっと自分を大事にして心を解放できるようなきっかけになればと。自分自身もそうだったんですけど、これを見てくださった方がちょっとでも解放感を得ていただけたら、この作品に参加した自分としては嬉しいなと思います。逃げたり笑ったり叫んだりしている姿を見て、爽快になってほしいですね。あとは自分のやりたいことを考えてみてほしいです。アキラのようにまず「親友に謝りに行く」とか「好きな人に告白しに行く」とか「遊びに行く」といったような、〝やりたいこと〟を思いつくよりも、「英語を習わなきゃいけない」などの〝やらなきゃいけないこと〟を思いつく人が意外と多いんだなと、僕自身も〝やりたいこと〟を書いてみて気づきました。みんな〝義務〟のほうが先に思い浮かぶと思うから、〝やりたいこと〟を改めて考えることで、いい指標になると思います。
栁俊太郎
’09年に第24回メンズノンノモデルオーディションでグランプリを受賞。パリコレクションやミラノコレクションなどに出演。’12年に俳優デビュー。世界 190カ国に配信された Netflixシリーズ『今際の国のアリス』をはじめ、映画やドラマで話題作に続々出演。’22年は10本以上のドラマ、映画に出演し、直近ではフジテレビ連続ドラマ『スタンド UP スタート』に出演。現在、テレビ朝日連続ドラマ『ハレーションラブ』に出演中。
Netflix 映画『ゾン 100〜ゾンビになるまでにしたい 100のこと〜』
ゾンビ×パンデミック×ブラック企業社員を描いた人気マンガがNetflixで実写映画化。主人公アキラを赤楚衛二が務め、栁さんはアキラの親友でパンデミックをともに生き抜く仲間の一人、ケンチョを演じる。8/3よりNetflixにて独占配信中。監督/石田雄介 原作/麻生羽呂・高田康太郎(「月刊サンデーGX」連載中) その他の出演/白石麻衣市川由衣 川﨑麻世 早見あかり 筧 美和子 北村一輝
撮影/平井敬冶 ヘアメーク/速水昭仁(CHUUNi)、伊藤省吾(sitor) 取材/門脇才知有 構成/中畑有理(CLASSY.編集室)