死ぬまでにかかるお金を計算したら「毎月約23万8,000円を貯金しないといけなかった」という衝撃…

止まらない物価上昇に引き換え、上がらない賃金。「貯蓄から投資へ」とする政府のスローガンにもどう対応すればいいのかよくわからなくて不安。それでも服は欲しいし旅行にも行きたい!一体いくらあれば、私たちは安心できますか!?

全部乗せをしてさらにゆとりのある生活を送るためには...

30歳から65歳までの間に“約1億円”が必要!?

マンション購入、特定不妊治療、出産、子供を育てる、医療費、老人ホームに入居など…大きな出費すべてをまかなう前提に加え、好きなことへの出費も惜しみなく、と思ったら最低でもこれくらいの金額がかかる結果に。どう貯めていけばいいか、お金の専門家・横川楓さんに教えてもらいます。

死ぬまでにかかるお金を計算したら「毎月約23万8,000円を貯金しないといけなかった」という衝撃…

【パターンA:貯金でまかなう】

毎月約23万8,000円を貯金しないといけない!?

「30歳時点で貯金を0からスタートさせるとして、定年退職する65歳までに1億円を用意するとしたら単純計算でこの金額に。日本の平均年収で考えると非現実的な数字です。当然ですが現金貯金はそれ以上増えることがありません(銀行に預けていれば金利はつきますが100万円を1年間預けていても10円です)。損するリスクがないメリットはありますが、物価上昇などもある中で今のお金の価値がそのまま維持されないデメリットもあります。

現在あらゆる物の値上げが続いていますが、それに伴い賃金を上げようという動きはあります。なので必ずしも現金が損をするわけではないですが、私たちの生活に賃金アップの施策の効果が反映されるには時間がかかるので、そういう端境期を乗り切る力も必要です。この貯金をまかなえるほど高収入な方や銀行預金主義な方はもちろん貯金のままでいいと思いますが、『絶対に貯め続けるんだ』という強い意志も必要になるでしょう。

また、会社員の方は老後に厚生年金が月平均14万円受け取れますが、フリーランスの方がもらえる国民年金は月平均6万円です。後者の方は年金のみに頼ると生活ができないので、もっと多くの貯金が必要となることには注意が必要です」

【パターンB:投資で資金形成をする】

新NISAやドル建て保険などを活用し定年後も〝増やし続ける〟

「パターンAが無理だと感じたらまずは各種NISAを検討してみてください。NISAは金融庁が作った投資の制度。NISAの投資枠で得た利益に対しては非課税という大きなメリットがあります。これまではつみたてNISAと一般NISAがありましたが、2024年からは新NISAが開設され、株式投資と積立投資が併用できるように。これを利用して1億円を35年で形成する場合、運用利回り5%で計算すると、月約88,000円の積立。元本約3,696万円で達成できることになります(金融庁他各証券会社のサイトでシミュレーションできますのでご活用を)。退職後も無理のない範囲で続けていけば増やし続けることが可能です。

もちろん損をしなかった場合の仮定ですし、投資商品を定期的に見直す必要はありますが、パターンAに比べれば現実的かつゆとりも生まれますよね。いきなりこの額でスタートさせるのは抵抗があるようでしたら、NISAは100円からでも始められるので少額から試してみるのもいいかもしれません。

金融商品のよいところはいろいろなお金の持ち方ができるところ。株に替えて利益や配当金を得たり、ドルなどの外貨に替えて増えることを期待したり、保険に加入して保障を受けたりということもできます。リスクが怖いという方も多いですが、こうしたメリットも加味してぜひ検討してみてください」

\教えてくれたのは/

やさしいお金の専門家/金融教育

やさしいお金の専門家/金融教育活動家
◼︎横川 楓さん
経営学修士(MBA)、ファイナンシャルプランナー(AFP)などを取得。等身大の目線でわかりやすい金融知識の普及に取り組む。2022年に一般社団法人日本金融教育推進協会を設立。著書に『ミレニアル世代のお金のリアル』(フォレスト出版)。

※2025年4月からの「65歳までの雇用確保」に準じ65歳まで働き続ける前提で試算。また一定のリズムで貯める前提の試算であり、必要なときに必要なお金を確実に用意するためには別途時間計画も必要です

漫画・イラスト/谷口菜津子 取材/野田春香 再構成/Bravoworks.Inc

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表紙モデル:山本美月

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