女優・白石聖さん「年下でもキャリアが長い人はたくさんいるので、年齢に捉われずみんな先輩のつもりで接しています」特別インタビュー
「白い背景に白い服で髪の色が浮いて見えるので、縛ったほうがいいですか?」と提案してくれた白石さん。「カッコいい白石さんを撮影したい」という意図を汲んで主体的に取り組む姿勢は、インタビューでも伝わってきました。自分のペースを崩さずに仕事する方法は、私たちの参考にもなりそうです。
人との距離感を保つこと、興味のないことには無理に手を出さないこと。フラットでいることでWell-beingを保っています
シャツ¥49,500パンツ¥49,500(べレック/タク&コー)シューズ¥103,400(ジミー チュウ)リング¥18,700(シャルロット ウーニング/フラッパーズ)ピアス¥23,100(メラキ)
思っているだけじゃ見ている人には伝わらないから
子どもの頃から音読が好きで、自分は声で表現することが嫌いじゃないな、と感じていました。読むことや発表することをよく褒められていたこともあり、徐々に声の仕事に興味を抱くようになりました。
芸能活動をはじめたのは、進路を考えていた高2の夏に、事務所の方に声をかけていただいたのがきっかけです。俳優業も声優業も芝居をする上では通ずるものがあると思い、17歳でこの世界に入りました。ありがたいことに事務所に所属して間を空けずにオーディションを経て芝居の現場に入りましたが、日々学びと気づきの連続でした。
2018年放送のドラマ『I”s』は、私にとって初めてひとつの役に長期にわたってしっかりと向き合えた作品で、みんなで創り上げる楽しさも学ぶことができた現場でした。2019年に出演したドラマ『絶対正義』では、役柄の感情を抱いているだけでは見ている人に伝わらない、と指導してもらえたことが転機になりました。気持ちを作ってそのマインドになっていたとしても、客観的に見てさらに伝わる表現方法を探ることが不可欠だし、自分の中で生まれたアイディアは一度やってみる価値がある。さらに、そういうチャレンジは受け入れてもらえる、という様々な気づきがありました。
それからは、自分の考えを周りに伝えたり、どう演じたらいいか監督やスタッフさんと積極的にコミュニケーションを取ることを心掛けています。自分の意見を発言するのは勇気がいりますが、言わないことで自分が引きずったり、帰宅してもやもやするのは避けたいので、現場の空気を読みながら相談するようにしています。
年上も年下も、なるべくフラットにいるように
現場では、同年代や年下の人と一緒になる機会は少なく、自分が最年少になることが多いです。
事務所に入りたての頃を振り返ると、当時から大人に囲まれても物怖じはしていませんでした。そのときから根底にあるのは「年齢が違ってもみんな人間だから」という考え。そう思っていると、年上や大先輩とご一緒する場でも自分がプレッシャーに潰されないで済むんです。
だからと言ってフランクには話しかけられませんが、礼儀を大事にしつつ、なるべくフラットに接することができたらいいなと思っています。それは年下にも同じで、私より年下でもキャリアが長い人はたくさんいるので、人の年齢には捉われず基本的にみんな先輩のつもりで接しています。
最近素敵だなと思う大人の方は、周りが気づかないくらいさらっと、気遣いができる人ですかね。そういう力はどうやったら身につくんだろうと考えています。私の場合は「こういう風に言ったら変な感じになるかな」とか「だからと言って何も言わないのも違うな」という場面に出くわすと、対応に困ってしまいがちなのですが、振り返ると助け舟を出してくれている人がいて。その場では気がつかなかったけれど、後からサポートしてもらえて助かった…と思うこともよくあります。
誰も傷つけず、その場の空気を重くすることもなく振る舞える人に憧れるし、私もそんな人になりたいですね。
白石 聖さん
1998年生まれ。神奈川県出身。2016年デビュー。その後、BSスカパー!「I”s」では、ヒロインを演じた。2019年にはフジテレビ「絶対正義」に出演。同作での演技が評価され、第15回「コンフィデンスアワード・ドラマ賞」新人賞を受賞。近々では、NHK「大奥」、テレビ東京「とりあえずカンパイしませんか?」、フジテレビ「合理的にあり得ない〜探偵・上水流涼子の解明〜」など数多くの作品で活躍。俳優業にとどまらず、ナレーションや美容雑誌のモデルも務める。
撮影/酒井貴生〈aosora〉 ヘアメーク/高橋里帆〈HappyStar〉 スタイリング/早川すみれ 取材/坂本結香 再構成/Bravoworks.Inc