【明日海りおさんインタビュー】大人気ファンタジー小説が舞台化、『精霊の守り人』で主演!

元宝塚トップスターの明日海りおさんが芸能生活20周年を迎える今年、日本を代表する劇場の一つである日生劇場開場60周年記念作品、音楽劇『精霊の守り人』の主演を務めることが決定。今回の舞台にかける意気込みをはじめ、明日海さんが最近気になっていることなど2回に分けてお届けします!

――『精霊の守り人』主演のお話

――『精霊の守り人』主演のお話がきた時の気持ちを教えてください。
お話をいただいてから作品を拝読しましたが、私が演じるバルサの脆さがありながらも芯が通っている女性としての生き方に魅力を感じました。また、立ち回りの多い作品だと思いますので、今まで培ってきたことを活かせられたらと思っております。

――世界中で愛されている大人気ファンタジー小説であり、ドラマやアニメにもなっている作品の初舞台化ですが主演を務めるのはどんな気持ちですか?
正直、怖いところもあります。この舞台の情報が解禁になったときに、たくさんの方から「この物語が大好き」という連絡をいただいたんです。「こんなにも多くの方に愛されているお話の初舞台化を引き受けたのだ」というプレッシャーを感じました。また、共演者の方は映像やストレートプレイを主にされている方が多いので、このような初めての環境に私が対応できるかも不安になりました。台本を読む限りでは、ドラマでは成立していた場面転換を舞台でどう成立させるのか感覚を掴むことができなかったのですが、演出の一色隆司さんからとても心のこもった手紙をいただいたんです。溢れる優しいお言葉に勇気をいただき、「やるしかない!」と決心しました。一色さんについていこうと思っています!

――明日海さんが演じるバルサに

――明日海さんが演じるバルサについて教えてください。
腕の立つ短槍使いで、それを見込まれて皇子の用心棒になります。どんな危険な状況におかれても機転を利かせられる頭の回転の速さを持っています。原作にも書いてありますが〝腹の座った人〟なので、そういうところを意識して演じられたらいいなと思っています。立ち回りは宝塚時代はできたら避けたいと思いつつも(笑)、10代の頃からほぼ毎公演やっていました。下級生時代は兵士や警官の役が多いのですが、いろんな時代の日本刀や洋刀、フェンシング等で戦ってきました。今まで殺陣の先生にたくさん教えていただきましたので、恥ずかしくない身のこなしや戦う時の呼吸感を出したいと思います。

――今までに演じた事のないようなタイプの役柄でしょうか?
女性の役としては初めてだと思います。このような世界観も初めてです。今、公演している『エリザベス・アーデンvsヘレナ・ルビンスタイン -WAR PAINT-』は時代も女性像もわかりやすい骨格があるのですが(※取材は5月)、今回はファンタジーなので。どちらも演じることで役者としての幅が出せそうだなと思っています。

――さまざまな役をどう演じ分けていますか?
まったく違う世界の人ですが、私のやることは同じだと思っています。それは、その人になって舞台で生きること。そうすることでオーラも変わり、バルサらしい精悍さや内に秘めたミステリアスさが立っているだけで出てくると思います。そして、バルサの中に真心が芽生えていく瞬間を、飾りではなく心の内側から発信していきたいと思っています。

――『エリザベス・アーデンvs

――『エリザベス・アーデンvsヘレナ・ルビンスタイン~』の舞台が終わって翌月から『精霊の守り人』の公演が始まるので、かなりタイトなスケジュールになりそうですね。
今まで3つの役を同時に取り込んだことがありますが、それは同じ作品の中でのことだったので対応できました。でも、今回はまったく違う世界の2つの役なので…。今の舞台が終わったらバルサに向けて一気にギアチェンジし、生まれ変わった気持ちでお稽古に入ると思います。役に入るとどっぷり漬かるというか頭までもぐってしまうタイプなので、2つの役をいい具合に同時にこなせる器用さはまったくないんです。

――バルサは梅田彩佳さんとのWキャストです。
バルサだけでなく他にもWキャストの役があるので、コンビネーションの違いがどう出るのだろうと楽しみにしています。また、子役さんと舞台で演じるのも初めてなので、心がどう動くのだろうとワクワクしています。

――今作は日生劇場開場60周年

――今作は日生劇場開場60周年記念の公演ですが、明日海さんにとって日生劇場はどんな劇場ですか?
今までは観に行くばかりの憧れの劇場でしたが、『エリザベス・アーデンvsヘレナ・ルビンスタイン~』で初めて立たせていただき、今回の『精霊の守り人』では60周年記念公演に出演させていただくことになりました。立ってみて思いましたが、いい湿り気のある劇場です。劇場も生き物だという言葉を改めて感じました。いい湿り気の中には、充実した舞台をおくった役者の温もりが残っているのはもちろんですが、苦しさや悔しさも感じました。演者だけでなくスタッフやお客様の思いも詰まっているなと思います。素敵な天井やサイズ感も好きですし、音響もよくて私にとってすごく大好きな場所です。宝塚でい
うところのバウホールのようなアットホームさを感じます。先日の『エリザベス・アーデンvsヘレナ・ルビンスタイン~』の東京公演千秋楽ではスタッフの方達が「また夏に!」と送り出しくださったのがとても嬉しかったです。

――明日海さんご自身は今年で芸能生活20周年ですが、これからの抱負を教えてください。
20周年だからとあまり意識はしていませんが、20周年というタイミングで巡り合えた作品には意味があると思っていますので、感謝して自分の新しい財産にしたいと思っています。先日お稽古をしている時に、いろいろな引き出しを無意識に開けたり閉めたりできるようになっているなと感じたんです。今までは「自信ない、自信ない」と思ってやってきましたが、自分自身で試行錯誤できるようになったのは今まで20年やってきたお陰だと思いました。新しいことに挑むのは毎回大変ですが、自分の中にある物を存分に活かして前に進んでいきたいと思っています!

日生劇場開場60周年記念 音楽劇『精霊の守り人』
世界中で愛される大人気ファンタジー小説『精霊の守り人』初の舞台化! 人の世と精霊の世が交錯する世界、新ヨゴ皇国の第二皇子・チャグムは、精霊の卵を宿したことで父である帝と、卵を狙う異界の魔物・ラルンガから命を狙われている。思わぬことからチャグムを守ることになった短槍使いの女用心棒バルサ。幼なじみのタンダや大呪術師トロガイたちとともに、命をかけた戦いに臨む。【原作】『精霊の守り人』上橋菜穂子作 (偕成社刊)【演出】一色隆司【音楽】かみむら周平【出演】明日海りお 梅田彩佳(Wキャスト)/ 渡部 秀 水石亜飛夢 小野塚勇人(劇団EXILE) 健人 唐橋 充/黒川想矢 込江大牙(子役・Wキャスト)/ 雛形あきこ/村井良大 山崎樹範(Wキャスト)/ 麻実れい(声の演出) / 池田美佳 及川崇治 杉浦勇一 東間一貴 福本鴻介 森山晶之 矢島みなみ 吉田彩美 7月29日(土)~10月1日(日)日生劇場ほか9都市で全32公演 https://moribito.nissaytheatre.or.jp/

明日海りお
‘85年6月26日生まれ。’03宝塚歌劇団に89期として入団。‘14花組トップスターに就任。タカラジェンヌとしては初となる横浜アリーナでコンサートを開催したことも話題に。’19年に退団、大劇場主演数は史上最多となる。退団後はNHK連続テレビ小説『おちょやん』ほか、『大病院占拠』などドラマにも出演。ミュージカル『ポーの一族』『マドモアゼル・モーツァルト』『エリザベス・アーデンvsヘレナ・ルビンスタイン-WAR PAINT-』で主演を、『ガイズ&ドールズ』ではヒロインを務める。

【明日海さん着用衣装】ドレス¥352,000(エンポリオ アルマーニ/ジョルジオ アルマーニ ジャパン 03-6274-7070)リング¥75,900<ハットン ラブス>イヤカフ(右耳)¥74,800、(左耳)¥61,600<ともにヒロタカ>(すべてエストネーション 0120-503-971)
撮影/木村 敦 ヘアメーク/山下景子 スタイリング/大沼こずえ 取材/よしだなお 構成/中畑有理(CLASSY.編集室)

 

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最新号 202412月号

10月28日発売/
表紙モデル:山本美月

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